第29話 妹の小春ちゃん
放課後
えらい事が起きちゃいました!
一緒に帰ろうと靴箱の前に行くと、階段の上から……
「きゃあああああっ!」
段ボールを持った女子が足を滑らせて、階段落ちしてきました!
お姉ちゃん疾走!
ホントにウチの姉は脊髄反射で生きてるなぁ。
「おうりゃあああああああっ!」
転げ落ちてきた女子を抱えて、自分の体をクッションにしてキャッチ!
派手に下まで落ちてきましたが、女子は無事でした。
が……
「きゅう……」
お姉ちゃん頭打って気絶しちゃいました!
大変!バカが加速しちゃう!
保健室
私と淳子ちゃんと転げ落ちてきた女子で保健室に運んできました。
そして保健の先生に診てもらいます。
「ありゃあ……派手にやったねぇ?でもけがはなさそうだし、たんこぶできてるから脳内出血にはなってないね。多分大丈夫だよ。」
転げ落ちてきた1年生も診てもらいましたが、大丈夫でした。
「ごめんなさい……橋本先輩ごめんなさい……ごめんなさい……」
半泣きになってる後輩を淳子ちゃんと一緒になだめて、今日は帰るように言いました。
「混乱してるだろうし、今日は帰ってちょっと落ち着いた方がいいよ」
「うん、あとは私と小雪ちゃんが見るから」
「ごめんなさい……橋本先輩ごめんなさい……」
泣き出しちゃった後輩の顔をハンカチで拭いてあげて見送りました。
と、言うわけで……
2人でお姉ちゃんの様子を見てますが、いきなりむくっと起き上がりました。
「あれぇ?ここどこぉ?」
涙目の淳子ちゃんが抱きつきます。
「小春ちゃん!よかった!大丈夫だったんだね⁉」
「むぅ……お姉ちゃん、誰ぇ?」
はい?
会話を続けて解ってきたのですが、頭打って幼児退行しちゃったみたいです。
雑な頭の造りしてると思ったのに……
こんなトコだけ微妙に繊細!
「淳子お姉ちゃんと……小雪お姉ちゃん?」
「うん、でも小春ちゃん?(この呼び方なんか違和感有り過ぎ)小春ちゃんは私のお姉ちゃんなんだよ?」
「えー?お姉ちゃんおっきいじゃん」
お姉ちゃん(あー!今回この呼び方ややこしい!)が胸を触って来ました。
ぺちっと手をたたいて叱りました。
「そういう事シちゃダメ!」
「こ……小雪ちゃん……小春ちゃん頭打って混乱してるんだし……」
淳子ちゃんがかばってきましたが、当のお姉ちゃんは……
「ご……ごめんなさぃ……小雪お姉ちゃんごめんなさい……もうしません……」
ベッドの上で涙目で謝り始めました。
やだなにこの可愛い生き物
話を聞いた美鈴ちゃん、部活が終わった多香子と友香も保健室に来ました。
小春ちゃん(もうメンドくさいしこの呼び方でいいや)を見てみんなビックリ。
「わぁ、お姉ちゃんが一杯増えた」
小春ちゃんは無邪気なものです。
「小春ちゃん、これからは多香子お姉ちゃんとも仲良くしてね?」
「うん!多香子お姉ちゃん!」
素直でいい子だな。
「小春ちゃん?これからは敬意をこめて『美鈴先輩』って呼ぶんですよ?わかりました?」
「はいっ!美鈴先輩っ!」
素直でバカな子だな!
「小春ちゃん、プリンあげるからマンガのモデルになってくれる?」
「プリン⁉なるなる!」
「それじゃ部室行ってお絵かきしようね?お洋服脱いで友香お姉ちゃんの言うとおりのポーズするんだよ?」
「はーい」
親友がド〇ネーターで執〇モード〇ーサルされる危機です!
犯罪臭がしたので、全員で友香を止めました。
帰り道
「えへへぇ、小雪おねーちゃん♡」
ずーっとべったりです、恥ずかしい……
「小雪おねーちゃん大しゅきぃ♡」
「はいはい」
「だからコンビニでアイス買って♡」
そう来たか!
ぺちっ
「買い食いはいけません!」
小雪お姉ちゃんなめんな!怖いぞ!
「ごめんなさぃ……我慢するぅ……」
涙目で謝ってきます。
仕方ないので、一番安いアイスを買ってあげたら大喜び。
はぁ……私も甘いな……
かえってお父さんとお母さんに説明しました。
2人とも素直に受け止めました。雑っ!
晩御飯は小春ちゃんだけお子様ランチ。
「やったー♡」
ちょっとだけうらやましい!
お風呂に入れてあげて、髪を乾かしてあげて……
その後はずーっと私に張り付きっぱなしです。
「おねーちゃん♡おねーちゃん♡」
やだなにこの可愛い生き物
寝るときも一緒のベッドで寝ました。
「絶対お胸触らないからぁ……さびしいよぉ……」
昼間の教育の成果が生きてます。
可愛いなあ、もう。
翌朝
「ふっかあああああっ!」
お姉ちゃん元通りに戻っちゃいました!
戻らなくていいのに!
「昨日の分も小雪成分を補充!十秒チャージ!」
「朝から胸揉むのやめてええええええっ!」
騒がしいバカ姉が戻ってきましたが、「ああ、お姉ちゃん戻ってきた」って嬉しさが上回っています。
私も毒されてるなー。
それにしてもウチの姉、脳みその構造が簡単なんだな。
昭和の家電か!
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