第20話 錬金術師

 みんなで淳子ちゃんの家に遊びに来ました。


「「「「こんちわ。」」」」

「いらっしゃい。遠慮せずに上がって」


 一度遊びに来たことのあるお姉ちゃん以外は、家の広さと立派さにビックリです。

「ええー……話に聞いてたけど……何これ……」

「日本にこんな家あるの?うわぁ……」

「ってか何LDK?」


 リビングに集まって皆でワイワイ楽しく喋ってます。

「うわ……こんな紅茶飲んだことないし……美味しい……」

「淳子のケーキは相変わらずうまいねー」

「手づかみは止めて!お姉ちゃん!」


 お菓子を食べたり、おしゃべりしたり、ポッキーゲームしたり(最後のは何で?)楽しい時間はあっという間に過ぎていきます。

 あっという間に夕方に……


「さすがにお腹すいてきたね」

「あ……それじゃ何か作るね?」

 淳子ちゃんがそう言いましたが、お姉ちゃんが横から……

「あー、淳子に色々作ってもらってるし、淳子は座ってなよ」

「へ?小春ちゃんが作ってくれるの?」

「いや、小雪が」

「「「他力本願!」」」


「いやいや、そうじゃなくて、小雪の作る料理って面白いんだな」

「えー?面白いって……」

「ダークマター系?」

「いやいやいや!そんなの錬成しないし!私何系の魔導士⁉」


 と、言うことで……

 淳子ちゃんに手伝ってもらって夕食を作ることになりました。


「このキャベツ全部使っていいかな?」

「いいけど、丸ごと全部?」

「うん、あとベーコンとサラダチキンと……」

 キャベツの合間に、切ったベーコンと薄くスライスしたサラダチキンをはさんで……

「これ借りるね」

「「「土鍋?」」」

 土鍋にキャベツを丸ごと入れて……

「何で煮るかなぁ?えーと……」

 冷蔵庫をあさって……

「トマトジュース⁉」

「しかも結構入れてる!」

「コンソメとか入れないの?」

「大丈夫、多分ベーコンで出汁でるよ。多分ね」

「小雪そんな雑な性格だった?」


「ケチャップある?淳子ちゃん」

「あー……ごめんね、切らしちゃったみたい。」

「そっか、んじゃ……」

「小雪!ドッカリ砂糖入れてるけどマジ⁉」

「酸味押さえるからね。砂糖溶かすために追いトマトジュースっと……」

「小雪がマジ適当……」

「えー……意外な一面を見たっていうか……」

「あ、溶けるチーズもある、適当にドバっと……」

「適当って言ったぞコイツ!」

「ドバっとって言ったぞコイツ!」

「これを火にかけて……」

「闇鍋⁉ダークマター鍋⁉」


 出来ました。

 試食タイムです。


「なん……だと……」

「ウソ……」

「すごく美味しい……」

「甘ったるくて食べれるものじゃないかなって思ったら……程よくケチャップぽい甘さ……」

「チーズのしょっぱさがイタリアンぽく甘いしょっぱいループだし……」

「ベーコンとサラダチキンもいいね。キャベツいくらでも食べられそう!」

「どうかな?」

「「「いいね‼」」」


「ごちそうさまぁ……」

「うーん5人分だとちょっと物足りないけど……」

「そだね。でも美味しかった。」

「あー……キャベツ丸ごとでもさすがに5人じゃ少ないかぁ……」

 戸棚を探してみます。

「淳子ちゃん、これ使っていい?」

 鯖缶と残りの冷ご飯がありました。

「うん、いいけどどうするの?」

「これに入れちゃう。」

 残りのトマト(ジュース)スープに、鯖缶ほぐしてドボドボドボ……

「トマトに鯖缶⁉」

「いやいやいや!それは無理!」

「そこに冷ご飯を……」

「チャレンジャー過ぎ!」

「やはり小雪も小春の忌まわしき血が……」

「誰が忌まわしいだとおっ!」

「悪かった!だからお約束の鷲掴みはやめろお!」


「どうかな?」

「美味しい!」

「鯖トマトリゾット⁉嘘でしょ?」

「信じられないくらい美味しい……」


 小雪は錬金術師でしたとさ。

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