第15話 ちょっと珍しいコンビで……(Part2)

 柚原ゆずはら淳子じゅんこです。

 地味な私ですが、最近友達が何人か出来ました。

 でも、みんなに言えない事があります。

 私は、橋本小春が好きです。大好きです。

 友達としても当然ですが、それ以上の感情で……


 図書館に来ました。

 本は大好きです。

 出来るなら全部買ってしまいたい位ですけど、さすがにお金が……

 数冊本を持って貸出窓口に行くと、知った顔に出会いました。

 小春ちゃんの妹、小雪ちゃんです。


「あれ?。やっほ」

 最近は名前で呼んでくれるようになりました。

 ちょっと嬉しいです。


「こんにちは小雪ちゃん。1人なの?」

「お姉ちゃんが図書館に来るわけないし」

「くすっ、確かに……」

「私はラノベ返しに来たんだけど、淳子ちゃんは?」

「私は借りに来たの」

「おー。結構難しそうなの読むんだぁ」

「活字中毒だから」


 せっかくなので、ファミレスでお茶する事にしました。


「淳子ちゃん、いっぱい借りたね?」

「本大好きだし、すぐ読んじゃうから」

 フルーツヨーグルトとパンケーキが来ました。

「いただきます」

「いただきまーす」

「友達とファミレスくるなんて初めてかも」

「そうなんだ?これからみんなと一緒にこようよ。楽しいし」

「うん、ありがと。小雪ちゃん」


「あ、そのパンケーキおいしそ」

「一口食べる?小雪ちゃん」

「いいの?ありがと」

「はい、小雪ちゃん。」

 淳子ちゃんがフォークにとって私の顔の前に……

「いやいやいや!それは恥ずかしい!」

「え……あ……そうだよね……」

 淳子ちゃんが真っ赤な顔をして、パンケーキを自分で食べちゃいました。


「淳子ちゃんて、慣れてきたらぐいぐい来るね?」

「あ……ごめんね?友達ってほとんどいなかったから、距離感おかしくて……」

「ううん、ってことは親近感持ってくれてるんだよね?」

「うん、小雪ちゃん好きだよ……でも……」

「ん?」

「ちゃんと言っておかなきゃって……」

「何を?」

「私……小春ちゃんが……好きなの……」

「へ?」

「小春ちゃんの……大切な妹だから……ちゃんと言っておかなきゃって……」


「えええええええええっ!なにそれっ!嘘でしょおおおおっ⁉」

 ……ってことは言いませんでした。


「そっかぁ……何となくそうかなって。」

 淳子ちゃんが逆に驚いています。

「え?そんな反応?あ……あのね……友達としてじゃなくて……ほら……」

「うん。私はそういうのよく解んないけど、そうなのかなって思った」

「何で?」

「お姉ちゃんが淳子ちゃんの家に遊びにいった後、一緒にお昼食べるようになったでしょ?淳子ちゃんベッタリだったし」

「それだけ?」

「お姉ちゃんを見てる表情がちがうんだもん。私も恋ってしたことないけど、恋したらこんな何とも言えない顔するのかなあって……」

「……」


 少し沈黙が続きました。

 淳子ちゃんが口を開きます。

「おかしいよね?女の子同士なんて……でも……小雪ちゃんには……嘘言っちゃダメだって……大切な友達で……小春ちゃんの妹だから……」

「んー……でも、女の子同士とか百合とかって感覚はよくわかんないけど、お姉ちゃんが好きって感じはわかるよ」

「どうして?」

「私も、お姉ちゃん好きだし」


 淳子ちゃんが驚いた顔をして見てます。

「これって、ひょっとしたら百合っぽい感覚なのかな?よくわかんないけど、お姉ちゃんといると楽しいし、もうお姉ちゃんいない生活って考えられないかな?」

「そ……それは……恋愛感情とは……違うんじゃ……」

 淳子ちゃんの言葉を遮るように言いました。

「あのね?淳子ちゃんがお昼休みにお姉ちゃんとベタベタしてるの見て、こう思ったんだ」

「?」

「私とお姉ちゃんの16年に、昨日今日好きになったからって割り込まないで。お姉ちゃんの隣は私の場所だ……って」


「あ……」

 淳子ちゃんが顔を真っ赤にして、下を向いちゃいました。

「ごめん……小雪ちゃん……」

「ううん、私は淳子ちゃんも好きだし、そう思った自分にビックリしただけ。淳子ちゃんはそのままでいてよ。ね?」

 赤い顔の淳子ちゃんが、私を見て言いました。

「たぶん小雪ちゃんも、本当に小春ちゃんの事が好きなんだね?」

「んー……どうなんだろうねぇ?」


「好きだってお姉ちゃんには言ったの?」

「うん……女の子どうしってのはわかんないって……」

「ひどいなー。お姉ちゃんは言葉がストレートというか雑というか……」

「でも『改めて、ちゃんと友達になろうよ』って言ってくれた……そんな小春ちゃんが大好き……」

「お姉ちゃんはぶれないなぁ……」


「くすっ……」

 淳子ちゃんが笑いました。

「くすっ……」

 私もつられて笑いました。


「くすっ、ひどい女の子だよね。小春ちゃん。」

「ホントだよね」

「ちゃんと小雪ちゃんに話せてよかった」

「私も聞けてよかった」

 しばらく2人で、お姉ちゃんの話をしました。

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