第14話 漫画研究部

 ふんわりガーリッシュ系の友達、前野まえの友香ゆうか

 彼女は漫画研究部、いわゆる漫研に入ってます。


 放課後


 私たち姉妹と多香子に淳子、4人で漫研に遊びに行きました。

「やっほ友香。遊びに来たよ」

「おいでませ」

 昼休みに「今日は陸上部休みなので行ってみない?」ということで多香子に誘われたのです。

 もっとも、帰宅部の私達(陸上部の多香子以外)を「隙あらば入部させちゃえ」って感はあるのですが……


 みんな色々楽しそうにやってます。

 落書き感覚でイラストを書いてたり

 本格的にペン入れしてトーンやベタのアナログしてたり

 PCで彩色やエフェクトしてたり……


「おー、PCでって本格的だよね。」

「今は主流だよ、楽だしね。もう主線からタブで書くのも少なくないよ」

「くっ……ブルジョワが……」

「値段高い物に無条件で嫉妬するのやめようね?お姉ちゃん」


 PCの中で可愛い女の子が完成していきます。

「おー、萌え萌え!」

「可愛いよね。こういうイラストがあっという間に出来るんだぁ」

「CV〇木〇って感じだね」

「あー!そんな感じ!わかるわかる!」

「小雪にCV当てるとしたら〇田〇沙とか?」

「伏字だらけになるからやめて!」

「ねーねーみんな。私にCV当てるとしたら、声優誰?」

 全員一致

「「「木〇昴!」」」

「ジ〇イ〇ンじゃねーか!青い耳なしタヌキぶち込むぞ!」

 もう伏字だらけで……本当にゴメンなさい……


「おー、同人誌も作ってるんだ」

「うん、やっぱ2次創作が多いけど、オリジナルもやってるよ」

「薄い本だ!夏と冬には厚くなるヤツだ!」

「その言い方やめて!」

「あ、この表紙の人物、ウチの制服じゃん」

「ウチの制服可愛いしね。オリジナル作品では登場人物に着せてる人多いよ」

「まさか実在の生徒モデルにしてないよね?」

「それはさすがにないと思うよ」

 友香と話してると、ヒマを持て余したのかお姉ちゃんが同人誌の並んでる本棚をあさり始めました。

「ガサ入れ開始!」

「エロ本とか隠してないし!」


 お姉ちゃんが何かを探し当てた様です。

「お?何でこれだけプラケに入ってるの?」

 いきなり友香が慌てて……

「そ、それはダメ!今度の原稿だから!」

「おーっ!ということは未発表作!」

「すごい!見せて見せて⁉」

「原稿なんて見たことないしね」

「わ……私も、見てみたい……」

 4人ともテンション上がりまくりです。

「ダメっ!その原稿だけはダメえっ!」

「良いではないか良いではないか。減る物ではあるまいし」

 お姉ちゃんが無理矢理「Spring&Snow Love」と書かれたプラケから原稿を取り出しました。


「…………」

「…………え?」

「……………………ええ?」

「えええええええええええっ⁉」


「何これ!レズエッチ?高校生が何を書いてんの!」

「しかもこれ!超ハード!」

「ふゎ♡♡♡♡♡♡……」

 淳子が内容の凄さに、真っ赤になってへたりこみました。

「淳子!大丈夫⁉顔真っ赤だし!」

「死ぬな淳子!傷は浅いぞ!立てるか自分の足で⁉」

 友香があわあわしてます……

「だ……だから……ダメだって言ったのにぃ……」


 私は1枚の原稿を友香の顔の前に突きつけて問い詰めました。

「ってかこの『美春』と『美雪』って、お姉ちゃんと私だよね⁉」


「この部屋まんま私の部屋じゃん!背景ガチすぎだろ!」

「私なんで『美春』に首輪とリードつけてるの?」

「うわ……何で『美春』いいなりになって脱いじゃってるの⁉マッパだし!」

「『美雪様』って……様って何⁉様って!」

「いやいやいや!『美雪様』すっごい悪役令嬢顔なんですけど!私今までこんな悪い小雪の顔見たことないし!」

「何か生えてる!『美春』の股間から……っていうかそれ無理矢理ツッコんでるのって私なの⁉」

「おい!『美春』のお尻から出てるでっかいネックレス!これは例のアレか?アレなのか⁉」

「お姉ちゃん!このページよだれよだれ!色々見せられない顔になってる!」

「その顔踏みつけてる『美雪様』のいい笑顔!」

「『美雪様』がポニテ掴んで、泣いてる『美春』の頭引っ張りあげてるし!」

「『暴力描写あり』の表示が必要だなおい!」

「レーティング変わっちゃうでしょ!」

「そんなレベルではない!カクヨム小説投稿ガイドラインに引っかかるわ!」

「ふわあああああ!」

「ふわあああああ!」


 私達2人の前に正座している友香がいます。

「これから裁判を開廷します。被告人、弁明があったら聞いてやろうか」

「あ……あはは……小春めっちゃ怒ってる……よねえ?」

「遺言は『あ……あはは……小春めっちゃ怒ってる……よねえ?』でいいのかな?」

「ごめんなさいごめんなさい!ほらほら2人って百合百合しいし、ネコタチ逆転ってギャップ萌えじゃん?趣味で書いてみただけなの!ごめんなさいごめんなさい!」

「判決を言い渡す」

「早すぎ!」

「被告人を乳揉みの刑に処する」

「法の加護を!」

「我が六法全書に弁護士と減刑の文字はない!」

「ごめんなさいごめんなさい!」

「安心して友香。私は完全平等主義者だから、小っちゃくても小雪と同じ位揉み倒してあげるよ(にっこり)」

「ひい……」


 漫研部室に友香の泣き声が響き渡りました。

 自業自得です。

 部員たちは、スケッチしたり写真を撮ってPCに取り込んだりしてます。

 さすがです。

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