第11話 やるだけやっちまえ!

 ウチのクラスに柚原ゆずはら淳子じゅんこって子がいます。

 こういう言い方は失礼ですが、いい子ですが地味な感じの子です。

 その子が、男子に告白された様です。

 やったね!


 お昼休み、いつものように4人でお弁当を食べてます。

「柚原さん告られたんだってさあ」

「らしいね、結構噂になってる。」

「いい話じゃん、ね?お姉ちゃん」

 ばきっと箸が折れる音がしました!

「う……うらやましい……」

 3人で思わずツッコみました。

「「「あなたこの前告って来た男子ふったばっかですよね⁉」」」


「でも意外なトコから告白された感じだよねえ?」

「そうそう、告った男子って、チャラいっていうか、遊んでるっていうか……」

「遊んでる女子に飽きたとか?うわ……そうだったらひくわー」

「まあ、柚原さんって地味な感じの子だけどいい子だし、そこが良かったんじゃない?」

 折れた箸をご飯に突き刺してるお姉ちゃんが言いました。

「う……うらやましい……」

 3人で思わずツッコみました。

「「「そんなにうらやましかったら、告って来た男子に土下座して付き合ってもらってこい!」」」



 放課後

 2人で階段を降りていると、チャラ系男子が4人ほど集まってました。

「いや~、罰ゲームったってあれに告ったのはマジまいるわ……」

「負けたお前が悪いんだろーが」

「でも柚原地味子はねーわ、罰ゲームが「ガ〇使」並みにキツくね?」

「明日謝れよ?ルールだし」

「柚原に泣かれるかもよ?」

「うわー、女子泣かしてる男子いまーす」

「あはははははは」


 ひどい!

 女の子の事何だと思ってるの⁉

 …………と、思ったら…………

 お姉ちゃんが隣で思いっきり動画撮ってました。

 どうやらキレ気味です。

 うわ……メンドくさいことになりそう……


 男子たちがお姉ちゃんに気付きました。

「おい橋本。何勝手に撮ってんのよ?」

「皆さんの顔と会話がイケメン過ぎたので盗撮しました。はい」

「ふざけんな!何してんだよ!データ消せよ!」

 お姉ちゃんがスマホを私に渡しました。

「はい小雪、これ持って教室まで全速力。死しても全力でデータを守れい」

「へ?お姉ちゃん、意味わかんない」

「いいから走る!はい!回れ右してReady Go!」

「はっ!はいっ!」

 お姉ちゃんがキレ気味だったので、大人しく教室に走っていきました。


「ふざけんな!今すぐ妹呼び戻せや!」

「は?ふざけてんのはそっちだし。女子舐めてんの?」

「お前関係ねーだろ⁉」

「うん、関係ないよ」

「なんだよ!明日柚原に謝ればいーんだろ?なんで橋本勝手にキレてんのよ?」

「ちょっと女子舐めすぎなのがムカつくかなーって」


 ぶちぶちぶちっ!

 私はネクタイをシュルっと抜いて、一気に自分のブラウスを左右に引き裂いた。

 そして……すぅー……

 思いっきり叫んだ!

「らめえええええええええええええええええええええええええええええええええっ‼

犯さないでええええええええええええええええええええええええええええええっ‼」

「「「は?」」」

「さてさて男性諸君、これでみんながやってくるよ。」

「何考えてるんだよ!このバカ女!」

「大騒ぎになるね」

「ふざけんな!オメーが勝手に服脱いでるだけだろうが!」

「弁解はもうすぐ集まる野次馬と先生に言いなよ」

「ねつ造もいいところだろ⁉」

「うん、そーだね。でもさっきとった動画は本物だし、あの動画を野次馬と先生と世論に問うてみようか?」

「ふ……ふざけやがって……」

「何自分脱いで自爆テロしてんだよ……この女ガチでヤベえ……」

「柚原さんに謝ってそれで終わりにするつもりだったんでしょ?柚原さんが泣こうがどうしようが関係ないって感じで。女子なめんな!アンタらも晒し者の刑だ!逃がさないし!」

「こ……こいつイカれてんのか……バカ女……」


 野次馬が集まってきた。

 先生の声も聞こえてきた。

 私はチャラ男隊を睨み付けて叫んだ。

「さあ大騒ぎだ!お覚悟を!」


 後日


 チャラ男隊は「悪ふざけと呼ぶにはあまりにも悪質」ということで反省文

 お姉ちゃんは「騒乱を起こした」「わいせつ物陳列」ということで反省文

 どっちも初犯ということで、停学は免れました。


「なんでJKのブラが『わいせつ物陳列』なんだあっ!ブルーの可愛いヤツだったのにっ!」

 と言いながら、自爆テロ犯として全く反省しないまま、反省文を書いてます。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る