第10話 ちょっと珍しいコンビで……

 今日は一人でお出かけです。

 お姉ちゃんは休日出勤(追試と言うとキレる)です。

 欲しい本があるので、駅の方に行きます。


「おー、小雪じゃん」

 前から多香子が来ました。

「やっほ。多香子1人?」

「そっちこそ愛しのお姉ちゃんは?」

「休日出勤」

「なるほど……」

 さすが友達、察してくれたみたいです。


「どこ行くの?」

「本屋」

「あっ、私もなんだよね」

「ホント?んじゃ小雪、一緒に行こうよ」


 お互いにお目当ての本を手に入れて、ドーナッツショップでお茶してます。

「えへへ、買いすぎちゃった」

「んだよねぇ。たまに本屋きたらこれが怖い」


 ちょっと多香子の方を見てます。

 私と変わらない背格好だけど、ショートカットでスポーティな感じ

 ブカッとしたカーディガンにTシャツ、Gパンにスニーカー

 ボーイッシュな感じが、お姉ちゃんに似てるなって思いました。

 いつもは大体4人だから、2人きりで話したことないけど……

 ちょっとカッコいいかな?


 桜井さくらい多香子たかこと申します。

 ちょっと小雪の方を見てます。

 私と変わらない背格好だけど、ガーリーな感じのセミロングの髪

 ウエストがリボンベルトになってるスカートにレース素材のトップス

 こういうの、私、殺人的に似合わないんだよなぁ……

 友香なら似合うんだろうけど……

 あー、小雪ってマジ可愛い。小春がかまいたがるのわかるわー。


「ん?どしたん?」

「あ……なんでもないよ?多香子こそ何かあった?」

「ん?いやいや別に?」

「ふふっ、多香子変なの」

「小雪もじゃん。あはっ」


 お茶が終わって、店を出ます。

「エレベーター混んでるね、階段で降りない?」

「そだね?下りだし」

 誰もいない階段を2人で降りていきます。

「うわっ!」

 サンダルだったので、階段の端で足を滑らせました。

「危ないっ!」

 多香子がガシッと受け止めてくれました。

 

 ち……

 近い近い近い近い近い近い近い近い近い近い近い近い……


***小雪sideビジョン***


 え?近いよ……顔……

 ってか、まずいってこの距離!

 うわ……多香子マジ王子?

 目綺麗だし、切れ長で……

 肌きれい……

 唇薄くて……え?何考えてるの私?

 ちゅーされちゃう?え?


***多香子sideビジョン***


 え?近いよ……顔……

 ってか、まずいってこの距離!

 うわ……小雪まじ可愛い……

 眼鏡の奥、目がパチってしてて……

 ほっぺ柔らかそう・・・

 唇ぷにってしてて……え?何考えてるの私?

 ちゅーしちゃいそう?え?


 バッと離れました!

「あ……ありがとう!多香子!」

「ど……どういたしましてっ!」


 帰り道、なんだか変な空気でした。

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