第2話良いペット見つけました2

「まぶし…」




 カーテンの隙間から、陽射しが真っ直ぐ私に届いていて、手で遮りながら身を起こした。




 隣のベッドには、橙がまだ眠っていた。


 気持ち良さそうに眠る友人を見て感心する。




 よく眠れるなあ、今日は選抜試験なのに。




 不安でなかなか寝付けなかった私は、なんだか頭がぼやっとする。ベッドの上で、立てた膝に額をくっつけて考える。




 正直私には才能がない。


 なんでここにいるのか不思議なくらいだ。




 ここは聖女候補者の唯一の学校に隣接する寄宿舎。


 18になる私は、ここで10年暮らしている。


 家族とは、手紙のやりとりだけ。


 里帰りは許されていない。


 なんでも、家族が人質になってもためらうことのないように、精神を鍛える為だとか。




 つまり、情を断ち切れというわけだ。手紙さえ年に3回とか、本当寂しい。




 でも、それも終わりだ。




 18になる聖女候補対象の最終選抜試験。


 私は、この試験で…落第点を取って故郷へ帰る!!




 ふふっ、この才能ない私が試験に受かるわけないわ。




 聖女候補者は、スカウトされる年齢はばらつきがあるけれど、18になればこの試験で今後が決まる。




 試験に受かるのは、毎年一人か二人。たまに全員受からない年もあるとかで、すんごく難しいのだ。


 容赦なく落とされた者は、即刻お役御免。




 でも故郷へ帰った元聖女候補は、結構重宝される。畑を荒らしたり、家畜を食べちゃうような魔物は、そこそこいる。彼女達は、それらを倒したりして故郷を守る職に


 大体就く。


 元聖女候補というだけで、ありがたがられて町の有力者とかと結婚した人もいるそうだ。




「やっと、やっと帰れる……よね」




 不安なのは、万が一つにでも受かったらどうしよう、なんていうアホな妄想のせいだ。




「……んなわけないわ」




 一人ぶつぶつ喋ってたら、いつの間にか起きていた橙が、気持ち悪そうに見ていた。




「深紅、いつものことだけど……こわっ」


「あ、おはよ!橙」




 さあ、いざ選抜試験へ!




 顔を洗って、白いワンピースみたいな聖女候補の制服みたいなのに着替える。皆一緒なシンプルな…ダサい服。




 もうすぐこれともおさらばよ。




 腹が減っては落第もできない。




「ちょっ、待ってよ」




 橙がついてくる。行き先は勿論食堂。




「はりきってるのね?深紅」




 まるで待ち伏せするかのように佇んでいた銀色の髪の少女に声を掛けられた。食堂の入り口にいるあたり、ちゃんとした待ち伏せか。




 ちっ、嫌な人に朝から会った。




「おはよう、翡翠」




 あんたとも、もうすぐお別れだね。だから我慢我慢…




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