(5)

「玲奈」

「あ、せんぱ」

「私の絵、どこにやったの」

「何の話ですか」

「惚けないで」

「落ち着いて下さい」

「私の絵をどこにやったの」

 ヒステリックに問う先輩の声は最早悲鳴に近しい。珍しいな。こんな時なのに呑気にそう思う。

「どうしたんですか」

 問う声は、自分のものとは思えないほど冷たい色をしていた。




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