第八十六話 帝都で色々とやってきた。


 帝国歴二六三年 真珠月(六月)


 脳筋オリンピックでの圧倒的な総合優勝からのーー、帝都に来ていたノット家当主ヨアヒムとの間に結んだ秘密協力協定。


 その他、帝都で色々な人と面会&交渉をしてきて、最近やっとアシュレイ城に帰ってきた。


 お仕事成果その一!


 帝都の大商会、ヴァザーリ商会のアシュレイ支店開設決定!


 やった! これで帝国内の色んな物を金さえ払えば、それなりの数量で手に入れることができる。


 ヴァンドラ商人たちも、いい仕事はするんだけど、エランシア帝国しか産出しないものだと、手に入れられないものもあるしね。


 うちにもとからいた商人たちも育ってきたものの、数量を揃えるとなるといささか厳しい。


 帝都に本店を構え、各地に支店を出してるヴェザーリ商会は取り扱う量が桁違いに多いんで、支店開設はうちからの物資も売りやすくなるし、買い集めてもらうのも楽になるって感じ。


 あと、ヴェザーリ商会の支店が開設されるってことは、エランシア帝国内でも経済力のある地域だと周囲に知らしめる効果もある。


 もとから商業は盛んだったが、さらに発展させて膨大な税収を産み出し、子や孫が路頭に迷わないですむくらいにはしておくつもりだ。


 はい、次。お仕事成果その二!


 ヨアヒム派重鎮のカーマインさんと面談してきた!


 カーマインは、ヨアヒムの母親の父で爵位は侯爵。いわゆる当主の外戚って人。


 先代当主のもとで内政の要職を務めてた人だけど、今はオライト派に戦争主導のまずさを突かれて職位を解かれ、当主相談役として実権を取り上げられてた。


 そう、ヨアヒムの屋敷で俺たちを先導してくれた執事さんが、カーマインさんだったのにはビビった。


 性格は温和で、とても知的な紳士。


 調べさせた情報によると、エランシア帝国内ではレアな鉄鉱山開発に尽力し、街道整備など、色んな利権が絡む物をうまく調整して行っていた優れた内政官。


 内政畑をずっと歩いてきた人なんで、戦争による功績はゼロに近いけどね。


 内政を取り仕切ってたこともあり、情報収集の者たちを抱えていたため、今回の秘密協力協定ではノット家側の担当者になってもらってる。


 温和な彼もオライトたちに戦争責任押し付けられて、クビにされたことに憤りを感じてるみたいで、せっせと情報を集めに奔走中。


 ノット家の遂行している戦争の情報は集まりつつあるんで、こちらの情報も整理を続けておく。


 はい、次。お仕事の成果その三!


 こちらは相手が勝手に押しかけてきた。


 とっても迷惑な面会者だったよ。マジで!


 なんでかって言うと、帝都の宿舎で嫁とメイドとのイチャイチャタイム満喫してたら、いきなり天井裏から短刀持った人がいっぱい押し入ってきたんだぜ!


 まぁ、でもうちの頼れる嫁が裸を見られて大激怒して、襲ってきた連中を返り討ちにしちゃったけどさ。


 うちの宿舎を襲って来たのは、帝都のスラム街を根城にする鼠人族たち。 


 その中でも『倉鼠』って呼ばれる連中で、金で暗殺や情報収集を請け負う裏家業の連中だった。


 襲ってきた連中の中に親分らしい子がいて、マリーダが捕獲。


 小柄でクリっとした目をした愛らしい顔の女の子は、その場で即座に性欲大魔王とドSメイドの餌食にされた。


 まさに餌食でしたよ。


 ハムスターがライオンと猫にいいように弄ばれるようなものでしたからね。


 いやー、マジでいいもん見せてもろた。


 え? あ、まぁ、もちろん俺もご相伴に預かりましたよ。


 そりゃあ、嫁の愛人は俺の愛人ですし、色んな意味でケアしてあげないとヤバそうな感じだったんでね。


 マリーダたちに悦楽墜ちさせられちゃった子はクラリスちゃん。


 まだ一五歳のピチピチギャル。


 最近死んだ父親の跡を継いで『倉鼠』の親分になったのはいいけど、競合する他の組織に部下たち引き抜かれて追い込まれて、怪しい依頼に飛びついちゃったらしい。


 おかげで人類最強の脳筋暗殺なんて無理ゲーやるはめになって、見事に返り討ちにあい悦楽墜ちしちゃった可哀想な子。


 あまりに可愛そうなのと、マリーダが小柄な女子が大好物なこともあり、残ってた『倉鼠』ごとエルウィン家がお持ち帰りすることになったわけ。


 諜報や暗殺の腕はそれなりだけど、今は諜報要員の大増員期間だったことと、わりとお安く組織ごと買い上げれたんで拾い物だったかなと思う。


 ちなみにクラリスに無理ゲー依頼したのは、赤熊髭派閥のバスフェミ家のブモワ君。


 そう! キモ豚君だよ!


 自分ところの親分に恥をかかせたマリーダに暗殺者を送り込むなんてことして……。


 うちの脳筋が怒り狂って襲い掛かり、首と胴体が離れても文句言えないぞ。


 とりあえず、舐められたら負けなので、ワリドに頼んで奴の寝ている間に、股下に剣を突き立てておいてもらったからいいけどさ。


 こんな感じで帝都の滞在期間を忙しくしてたわけだけど。


 帰ってきたら、また仕事が溜まってたんでそっちも片付けないといけない。


 アレウスたんやユーリたんとも触れ合いの時間を取らないといけないし、身体が四つくらい欲しいぜ!



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