第39話 200人以上の男性全員とやりましたの

「なんだと!」


 カルナインはマイクからの連絡を受けて急いで走り出す。

 走りながら急いで美乃梨とエレットへと連絡する。

 そしてカルナインから話を聞いて美乃梨の元へと駆けつけてきてくれたエレット達。


「今パーティーメンバー以外にも緊急招集を掛けましたわ。少しは集まって下さると思いますわ」

「ありがとエレット。ほんと助かるわ」

「フルムーンの噴水に来ていただけます? そちらを集合場所にいたしましたの」

「了解」


 マイクからの連絡によると、萌生達が連れ去られたのはフルムーンの南にできた新しい街の中だそうだ。

 NPC至上主義者達が作り上げた新たな街だそうだ。

 その街の名前はリベラ。スペイン語で解放を意味する言葉を街の名前に付けたようだ。

 NPCとしての役目からの解放。自由に生きることを掲げている彼らにはそういった名前にしたほうが受けが良いのだろう。

 

 美乃梨とエレット達は何日かぶりのフルムーンへと戻ってきた。

 噴水へと駆けつけると、思った通り人でごった返していた。


「集合場所がここだと判別がつきにくいわね……一般の人達だらけだわ」

「美乃梨、何を言ってますの? これ全員招集に応じてくださった方達ですわ」

「は……?」


 美乃梨は周囲を見渡してみると、ざっと100人以上の人が集まっており、しかも全員が男だった。

 エレットのパーティーメンバー20数人を合わせると120人以上はいることになる。


「わたくしのフェローは200人以上いますの。先程全員に一斉送信したばかりなので、さすがに全員はこれなかったようですわね」

「あんた200人以上の男全員とフェローID交換したの?」

「そうですわ。200人以上の男性全員とやりましたの」

「あんた……あたしよりあんたが首領やった方が絶対いいでしょ」

「正直わたくしを姫に掲げて国を作ろうという連中もいることはいますの。でもそれは今じゃなくても構いませんし」

「さすが『お姫様』ね。人望あるじゃない。それにしてもこれだけいると心強いわね」

「うふふ。ちょっとした軍隊のようですわね」


 エレットは集まった人たちに手を振りながら噴水の前まで歩いて行った。

 男達は一斉にエレットへと注目し、エレットの元へと集まってきた。


「皆様、お集まりいただきありがとうですの。実は緊急事態が発生いたしまして、わたくしのお友達の萌生ちゃんが悪者に連れ去られてしまいましたの。

これから萌生ちゃんを奪還しに行きますので、皆様の力を貸してほしいんですの」


 エレットの援軍要請に男達は「おおー!」という威勢のいい掛け声で応じる。


「これは……すごいわ……」


 これなら大事な萌生を救い出せる。

 美乃梨はそう確信していた。


 


 リベラの街にある領主館に萌生達は連れ込まれていた。


「おら、大人しく入ってろ!」


 乱暴に狭い部屋へと投げ入れられる萌生達。

 両腕ごと体を紐で縛られていたため、投げ入れられた拍子に三人は転んでしまう。


「痛い! これ、女性はもっと丁寧に扱わんかい!」


 ともが男達に抗議の声をあげる。

 すると男はともへ近寄り、嫌らしい顔つきをしながらともの髪の毛を手で掴む。


「ほほう、女性らしく扱われるのが望みなのか? ならご要望道り女性らしく扱ってやろうか?」


 そういうと男はともの顎を手で掴み、無理やり自分へと向けさせる。


「馬鹿な事するでない!」

「いいねぇ~やっぱ抵抗してくれた方が楽しみは増えるってぇもんだ。なあ?」


 男はそういうと指でともの唇を撫でまわし、その柔らかさを下舐めずりしながら指で味わっていた。


「儂なら構わんが、他の二人には変な事はするでないぞ?」

「ほほう? ならたっぷりと楽しませてもらうとするか」


 その時、男達の後ろから萌生の見知った顔の男が現れた。


「あ、あの時の……」


 萌生が思わず声をあげ、入ってきた男は萌生の方を向く。


「フン、俺様を覚えていたか、人間。まあいい、おいお前、そいつから手を離せ。こいつらはそういう目的で攫ってきたんじゃねえんだ」

「あん? 人間は好きにしていいっていうから俺はこっち側についてんだ。邪魔すんじゃねーよ」


 入ってきた男と、ともを掴んでいた男が睨みあう。


「ああ……そういう約束だったな。だが今は駄目だ。全部終わった後なら好きにしていいさ」

「ちっ……しゃーねえ、楽しみは後にとっとくか」


 そういうと男はともを離して扉から外へ出て行った。


「儂らを攫った目的はなんじゃ? こんなことをすればお主達の立場も危なくなるんじゃないのかい?」

「俺達の目的? ああ教えてやるよ。俺達の目的はな、人間の根絶だ。フルムーンを俺達NPCだけの街にする。その為には宗野美乃梨が目障りなんだよ。

あいつのせいで俺様がフルムーンの首領になれなかったんだ。あいつを消すためにお前達を利用する」

「じゃがそんなことをしたらお主達の評判が下がるぞい? 既にお主達の横暴な行いに批判的なNPCも沢山出ておる。NPCをまとめ上げる障害になるぞい?」

「ああ、その通りだ。だからそれは最終手段だ。その前に交渉だ。お前達全員フルムーンから出て行け。そうすれば余計な血は流れなくて済む。

お前らも無事に解放してやろう。まずこの中から一人だけ宗野美乃梨に交渉しに差し向けるやつを選ぶ。そいつがやつを説得しろ。失敗すれば人質の命の保証はなくなる」

「何故そんなに人間を憎むのじゃ? NPCの自由の中には人間と行動を共にする自由だってあるはずじゃろうに。お主らがやっているのは自由をかさに着たただの犯罪じゃ」

「俺が人間を憎む理由は俺の根源だからだよ。『人間嫌い』って根源が俺にはある。そのせいで人間が憎くて憎くて仕方がない。人間を見るだけで殺したくなるのさ」

「そんな根源を……狂っとるわい……設計者は何を考えておるんじゃ……」


 男は視線をともからリテアへと変える。


「おい『役立たずのリテア』お前が交渉役だ」


 びくりと体を震わすリテア。


「わ、私は…‥もう役立たずじゃ……ありません」


 反論するも声はか細く震えている。


「ふはは。そうだったな。ユニークモンスターをテイムしたそうじゃないか。今度俺達とパーティー組もうじゃないか。お前はNPCだから特別扱いしてやってもいいぞ」

「お、お断り……します!」

「本当はこの銀髪の方が口が立ちそうだが、こいつはさっきのやつが欲しがるだろうからな。お前が行け。なあに、失敗したらしたで俺は一行に構わん。なんならそのまま逃げても構わんぞ? そしたら人間どもを皆殺しにするまでだ」

「そ……そんな……」


 男はリテアを無理やり立たせると横にいた男に突き出す。


「こいつを外まで連れていけ。紐は着けたままで構わん。どうせやつらが外すだろうからな」

「了解」


 そのままリテアは男に連れ出され、部屋から出て行った。


「さあて、邪魔者はいなくなったところで楽しもうじゃないか。NPCの女には見せられないからな。ふっふっふ」

「なんじゃと? そういう目的で攫ったんじゃないって言っておったじゃろうが!」

「リテアは利用価値があるからな。余計な所は見せない方が扱いやすかろ?」

「極悪人め……」

「おい、さっきのやつを呼んでやれ。この銀髪は最初にあいつにやるって伝えろ」


 別の男が先程の男を呼びに部屋から出て行った。


「じゃあ俺様は……このロリっ子を頂くとするか、なあ? 萌生ちゃん?」


 男は萌生へと近づいて行った。


「な、何するの……や、やめてぇ……」

 

 

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