第22話 奥まで入り込んでて……きつくて……苦しいよぉ……はぁ……はぁ……

「なあアリサ、こうやって性別がかわるのって女体化っていうんだよな」

「唐突だね、ニナ。性転換やTSってやつだよね」

「そうそう。転生前に調べたんだけどゴーグルトレンドだと女体化って言葉が一番使用されてて、ロリやラブコメよりトレンド高いんだぜ」

「そうなんだ。もっとマイナーでニッチなキーワードなのかと思ってたけど、予想以上に一般化されてるってことなのかな」

「ただTSって単語が車の型番と被ってて、調べても意味のない物になってたりまだ一般化まではいってないかもね」

「へぇ~」

「まあ、何が言いたいかって言うと、俺達の時代が来たってことさ」

「あはは。でもうちらってTS王道な感じじゃないよね」

「だなぁ」


 何気ない雑談をしながら街を歩き、そして一軒のお店の前で立ち止まる。


「おい亮太、この店なんかいいなじゃなか?」

「また本名で呼んでるぞ信也」

「あ、すまん、アリサ。どうも癖が治らないよ」


 俺は元男性の信也改め、現女性のニナでアーチャーをやっている。

 胸を大きくし過ぎたせいで、おっぱいアーチャーと呼ぶ奴もいる。


 今日は親友の亮太……じゃなくて神官のアリサと二人で洋服を買いに来ている。

 ここ数日、美乃梨達と結構しっかり依頼をこなしていた成果もあって、俺達はそれなりにお金が貯まっていた。


「とにかくここの店入って見よう」


 俺達は女性向けの洋服店に入ってみることにした。


「やっぱさ、せっかく女になったんだから色々着てみたいよね」


 俺は店内をぐるりと見まわし、色とりどりディスプレイされている可愛らしい服を見渡す。


「だよねだよね。俺さ、ゴスロリとか着て見たいんだよね~。そういうのあるかな~」

「あーわかる。私も一度は着て見たいって思ってた。あ、あれなんかどう?」

「あれはゴスロリじゃねーよ。メイド服だな。でもそれもいいな」


 俺達はメイド服を着ているマネキンへと向かった。


「ニーソ履きたい」


 アリサが突然そんなことをいいだした。


「絶対領域か……試着してみる?」

「うん。してみよう」


 お互いフリルの沢山ついたゴスロリ風メイド服一式を持って試着室に入った。

 しかし、どう着ればいいのかわからないパーツがいくつかあった。


「なんだこれ……? この大きさだと手に巻く奴かな? これは首輪? まあ適当に着けてみるか」


 なんとなく適当に試着し、鏡に映った自分を眺めてみる。


「やっばいよなぁ……ほんとにこれが自分なんだもんなぁ……」


 俺は強調されている胸を持ち上げ、上下にたぷんたぷんと揺らしてみた。


「あぁ……夢の様だ……だけど、少し違うんだよなぁ……確かに俺は可愛い。超絶可愛い。それは間違いない」


 前かがみになって両腕を揃えて前で下に垂らし、自分の胸を腕で挟んでみる。


「うひぃ~やっべぇ……強烈」


 スカートの裾を掴み、ちらりと捲り上げ、露わになる下着と自分の太もも。


「うん、超絶興奮する。でも……違う。やっぱ、これは俺自身だからなのかな。可愛い俺っていうより、可愛い相方が欲しい。

可愛い相方を触りまくりたい。めちゃくちゃにしたい」


 試着室からでて、隣の試着室のカーテンをこっそり捲ってみる。

 中でスカートの裾を捲り上げて、自分の下着姿を見ていたアリサと鏡越しに目が合ってしまった。


「おいこら、覗くな」

「えっへへ……すまんすまん」

「おい、何故入ってくる。この変態が! しかもお前独り言聞こえてたからな。私を触りまくりたいとかめちゃくちゃにしたいとか言ってただろ」

「まじ? 聞こえちゃった?」


 俺はカーテンをしめ、狭い密室でアリサと並んで鏡を見る。


「聞こえちゃったから開き直るけどよ、お前だって思わねーか? 確かに俺達可愛くなったよ。そりゃ物凄い美少女だよ。

でもさ、自分の姿を鏡で見たり、一人で自分の体触りまくってもさ、何か違うなって思わね?」

「まあ……いいたいことはわかる。ぶっちゃけると、私もお前のおっぱい揉みたい。揉みしだきたい」

「変態だなお前……いや、まあ元男なら誰でもそう思うよな。俺もお前のふとももに顔を挟まれたいし」

「ニナの太ももだってすごい魅力的だよ。絶対領域なんてさ……画像かイラストでしか現物見たことなかったけど、いざすぐそばにあるとたまらないよね」

「だよね。あのさ、良かったらだけどさ……お互いに相手の好みの服を買いあってさ、ちと宿戻って触り合いっこしない?」

「ニナは自分の欲望に正直だよね。まあ……いいけど、その代わりこっちも触りまくるよ?」

「うん……」


 俺達二人は鏡を通して見詰め合う。

 すごい恥ずかしい事を言ってしまった自覚はある。

 なんだか超えてはいけない一線を大きく超えてしまいそうな予感がする。


「やっぱ俺達ってさ……まだ心まで女になるのに時間かかりそうだよな。ていうか、なれる気がしねー」

「うん。同じくそう思う」


 俺はアリサのおっぱいを肘で突いてみる。

 ニナもお返しと肘で俺のおっぱいを肘で突き返してくる。


「アリサはどんな下着が好み?」

「私は……そうだなぁ。テカってるのとか派手なのは苦手かな。やっぱ柔らかそうな白い絹の下着に興奮する」

「あーなんとなくわかる」

「ニナはどんなの好き?」

「ヒモパンとかは……一度履いてみたいって興味はあるけど、好みっていったらやっぱ縞パンかな。青と白、もしくはピンクと白」

「おっけー。じゃあお互いそれ買ってみよう」

「お互いの好みを聞いて、その下着買うってなんか超絶恥ずかしいな」


 俺達はメイド服と下着を買って店を後にした。


 ふらふら歩いていると、見知らぬ男の二人組に声をかけられた。


「お嬢さん可愛いね。飯奢るけどよかったらどお?」


 お、ナンパか?

 ちょうどお腹も減ってたことだし、奢ってもらうのもいいかもね。

 アリサを見ると、頷いている。


「おっけー。奢ってくれるならいいよ」


 ふふふ。都合よく利用させてもらうぜ!


 俺達は大衆酒場のような場所に連れてこられた。

 オシャレとは程遠いけど、元男の俺にとっては、飲み屋を連想させるここの方が落ち着く。


「ここはさ、この葡萄酒がすっげー旨いんだよ! あんたらも飲んでみたらいいぜ」


 葡萄酒だって? よく小説やゲームなどでは定番の酒だな。

 正直ワインと何が違うのかまったく知らない。


「じゃあ私はそれで。アリサもそれにする?」

「うん。じゃあ同じので」


 こうしてどんどん勧められるまま、色んな酒を堪能させてもらった。


「ひさびさろおさけ……おいひいわぁ~」

「おいひいおいひい~!」


 お酒だけじゃなく、焼き鳥や魚の料理も最高だった。

 元理系の大学生だった俺は、よくゼミの連中と飲みに行っていた。

 こうやって飲むのは本当に久しぶりで、思いっきり酒を飲んでしまった。


「いひひ。嬢ちゃんたち、もっとうまい物飲みたくないかい?」

「飲みたーい!」

「飲む―!」

「じゃあ……これから俺らの宿にこいよ。いい物飲ませてやるぜ!」

「ひゃっほーい!」


 俺達は完全に酒に飲まれてしまっていて、男の誘いに乗って店を出た。


「いひひ。こいつらほんと馬鹿っぽいな。こんなちょろい女なら楽勝でヤれそうだぜ」

「ああ、今夜は楽しめそうだ。ぐへへ」


 俺はまっすぐ歩く事も出来ないほど酔っていて、ふらふらとよろけて壁にぶつかってその場で転んでしまった。


「しょーがねー嬢ちゃんだな。ほれ、肩貸してやる。よっと……うほっ。すっげー胸の弾力」


 もう一人の男はアリサの腕を取り、腰に手を回してアリサを引きずって歩く。


「いっひひ。もうすぐ俺達のおいしいミルクをたっぷり朝まで飲ませてやるからな」


 その時、一人の男が目の前に飛び出してきた。


「待てお前ら! その子らをどうするつもりだ!」


 剣を抜き、じりじりと距離を詰めてくる男。

 どこかで見た顔のような……


「なんだてめえ! 俺達のじゃますんじゃねーよ。こいつらは俺らの獲物だ」


 剣を持った男は俺を担いでいる男へと蹴りを放った。


「ぐはっ」


 その勢いで男と俺が後ろへと転ぶ。


「その子達は俺様の大事な子の友達なんだよ! つまり、俺の嫁達なんだよ。人の嫁に手を出すんじゃねーよ!」


 おかしい。こいつが何を言ってるのか理解できない。

 酔っているからなのだろう。


「このマイク様の嫁に手を出す奴はただじゃおけねー!」


 マイクはもう一人の男にも蹴りを食らわせた。

 倒れる男に剣をつきつけ、去るように言うマイク。

 逃げ去る二人の男を確認し、マイクは俺とアリサを両肩に担いで歩き出す。


「んじゃ俺の部屋にいくか」


 ずるずるひきずられる二人。

 そこへ現れたのは、先程の様子を伺っていた集団。


「どこにいくとおっしゃいました?」


 現れたのはエレット率いる10人の男達。

 素早くマイクを取り囲んだ男達は、全員剣を抜きマイクへとその切っ先を突き付ける。


「彼女達を救った所まではよろしかったんですけれど。その後がいただけませんわ」


 エレットは俺に近寄り、手をかざす。

 

「キュアドランク」


 一気に俺の酔いがさめ、曖昧だった記憶と現実の祖語に混乱する。


「キュアドランク」  


 アリサも俺と同じく酔いを醒ましたようだ。


「エ、エレット嬢……いや、俺はただ彼女達を助けたかっただけで、べつに卑しいことは何にも……えへへ。じゃあ後はまかせたぜ!」


 マイクは猛ダッシュで走って逃げてしまった。


「まったく……あまり関心しない行為でしたわね。知らない殿方と泥酔するまで飲むなんて。今後は気を付けることね」


 そういうと、エレットは男達を引き連れて去っていった。


「あ……エレットさん、ありがとう」


 振り返らずに手をひらひらして答えるエレット。


「俺達……もしかして危なかったみたいだな……」

「うん……お持ち帰りされてたのか……まったく気が付かなかった」

「やっぱ女としてちゃんと普段から意識しないとまずそうだな……」


 こうして俺達は宿に帰った。

 今日はアリサとの約束もあり、アリサは俺の部屋に来ている。


「それにしても、ほんと男ってキモイな。胸ばっかみられてたよ」

「ほんとほんと。胸とかふとももとか。視線がきもかったよ」


 俺は雑談しながら買ってきたメイド服と下着を着始める。

 インベントリ画面からではなく、しっかりと自分の手で着る。

 少しでも女性という体験を自身の手でやりたいのだ。


「ところでアリサ……ふともも色っぽいな。絶対領域が反則級だな」

「ニナもおっぱいすごいね……揉んでもいいんだよね?」

「あ、ちょっとまって! 一度どうしてもやってみたかったことがあるんだ!」


 俺はそういうと、ロープを取り出した。


「よくあるじゃん、おっぱいとおっぱいを押し付けるやつ。ロープで縛ってるやつ! あれやりたい!」

「あーあれかぁ……まあいいけど」


 俺達は二人でぴったりとくっついて向き合いおっぱいの位置を調整する。

 そして、紐で二人の体をぐるぐるに縛り付け、きつく結んでみた。


「く……苦しい……」

「だな……だけど……すごい柔らかさと弾力が……たまんね」

「うん、ニナの胸……やばいよ」


 お互いの胸と胸がぶつかり合い、物凄い圧力がおっぱいと胸の内臓にまでかかってくる。

 そのため呼吸が思うようにできず、余計苦しくなるのだ。

 更に、紐が体に食い込み、食い込んだ場所がひりひりと痛む。

 胸だけじゃない。お腹とお腹もくっつきあい、アリサの柔らかいお腹の感触が俺のお腹を押し潰そうとしてくる。

 ふとももとふとももを絡ませ合い、すべすべでいて柔らかいふとももの感触を思う存分堪能できる。

 そして自分の肉が押し潰される気持ちよさ。

 だがやはり、一番神経を集中しているのがおっぱいだ。


「アリサ……乳首起ってる……動くと、硬いのが胸に擦れてきてる」

「そういうニナだって……胸が大きいから、揺れる度に固い乳首が大きく動き回るんだよ。固いのが私の胸を這いまわってるみたいで…‥なんだか……変な気持ちに……」

「ニナのふともも……すべすべでふわふわですっごい気持ちいい」

「アリサが私のふとももぎゅって挟み込むから、変な感じになってきちゃう」

「あぁ……最高だな……やっぱ私達付き合っちゃう?」

「それも……いいかも……超えちゃいけない階段上ってみる?」


 二人はじっと見詰め合いながらお互いの体の感触を堪能している。


「ところでさ……今気づいたんだけど、腕まで縛っちゃって、これどうやって解くつもり?」 

「こんなの力入れれば……んっ……んくっ」

「んぅ……くはぁ……んっ……んんっ……んぁ」

「はぁ……はぁ……」

「奥まで入り込んでて……きつくて……苦しいよぉ……はぁ……はぁ……」


 結局二人は紐が緩むまでの五時間ほど、きつく縛られたままだった。

 そして、疲れ果てた二人は狭いベッドで抱き合って眠りについたのであった。

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