第7話 ボクにはまだブラは早いよ……寄せてあげるブラ? そんなのあるの?
人混みで見えなかっただけで、広場を横に入ったところに商店街のような街並みがあった。
居並ぶ露店には、果物類やお肉や魚など食料品が数多く並んでいた。
値段も非常に安い。値段表記を見ると、G(ゴールド)という単位が使用されていた。
貨幣の単位を変えないと、以前のお金との兼ね合いで問題がでるからなのだろう。
それに売り子さんは恐らくNPCなんだと思う。
人間と見分けが全くつかないけど、転生したばかりなのにこんな所で商売してるはずがないから。
「そういえば、お金ってどうなってるんだろね」
ボクは何気なしに姉ちゃんに聞いてみた。
「やっぱり何らかの手段で稼がないといけないわよね……初期金とかはないのかしら?」
姉ちゃんはスカートのポケットを探っている。
ボクもつられてポケットを探したが、中には何も入ってなかった。
「ゲームっぽい世界だし、なんかこう……ステータス画面みたいなのはないのかしら? 操作説明もないと困っちゃうわねぇ」
「そうだよね」
街を歩いていると、見ず知らずの男の人が声をかけてきた。
「いやぁ、こんにちは、お嬢さん方。ボクは綺羅星 游耶(きらぼし ゆうや)っていうんだけど、聞いたことないかな?」
ボクはその顔と名前を知っていた。元人気アイドルグループのメンバーだ。
TVで見かけたときと同じ顔を再現してあり、ものすごいイケメンだ。
TVでは、『王子』と呼ばれて女性に大人気の人物だ。
ボクは有名人に出会えた驚きで、その顔をまじまじと見つめてしまった。
「ふふ。わかるよ、その有名人に出会えたっていう驚き。でもね、今の僕は新たな生を歩みだしたばかりの一個人でしかない。そう気負わないで欲しいな」
自分の元の知名度をいきなり言い出したのに、気負わないでといわれてもそうはいかないだろう。
「ごめんなさい。興味ないので知りませんでした」
姉ちゃんは冷静に返事をして、そのままボクの手を引いて歩き出そうとした。
「あ、ちょっとまって! 実は僕とこれからを一緒に歩んでくれるパートナーを募集しているんだ。
特に君! 僕の好みにぴったりなんだ。一緒にどうだい?」
どうやらこの人は姉ちゃんが気に入ったようだ。
「とても光栄ですが、丁重にお断りします」
足早にボクを引き連れて離れる姉ちゃん。
「有名人だよ? よかったの?」
「うふふ。まあ、正直嬉しいわよ。あんな有名人に言い寄られるなんて、一生に一度あるかないかでしょうしね」
「ならどうして……?」
「言ったでしょ? あたしには萌生がいるから」
「でも……」
「ほらほら、そんなことよりここに入ってみよう!」
ボク達はポーションの看板が掲げてあるお店に入ってみた。
「いらっしゃいませ。回復ポーション、解毒ポーション、地図にキャンプ用品、何でも揃ってますよ。見て行ってくださいね」
中にいたのは若い女性の店員さんだった。
ボクは思わずお辞儀をしていた。
姉ちゃんはボクをみてクスッと笑った。
でもその目はあのいたずらっ子姉ちゃんの目だ。
変な事しなければいいけど。
「NPCなんだろうけど……どんな感じなのかな。試してみよっと」
そういうと姉ちゃんは店員さんのそばまで歩いて行く。
「お姉さん、このお店には下着類はありますか? 寄せてあげるやつ。ワイヤー入りでパッドポケットついてるやつ。
あとブラからはみでないちいさめのふわふわパッドありますか? お姉さんも着けてます? それとも自前です?」
姉ちゃんの連続攻撃がはじまった。
どれだけ反応できるのか試してるのだろう。
「ごめんなさい。うちでは扱ってないんです。裁縫店が近くにあるのでそちらに行ってみてはいかがでしょうか? ちなみに自前です♪」
店員さんは自分の胸を手で持ち上げて、にっこりわらって答えた。
結構大きなお胸様をお持ちのようだ。
姉ちゃんより大きいかもしれない。
「うわ、すごい反応! あ、それじゃポーションについて教えてください。怪我したら飲むだけで傷が治るんですか?」
すると店員さんは、後ろの棚から2種類のポーションを取り出し、カウンターの上に置いた。
「こっちの赤いポーションは、冒険者向けの治療ポーションで、いわゆるHP(ヒットポイント)を飲むことで回復させる効果があります。
こっちの金色のポーションは、欠損箇所の回復に使います。高級品ですのでお値段はそれなりにしますけど。
それに、多少の傷でしたら赤いポーションを飲むことで徐々に治っていきます。即効性ではないですけどね」
姉ちゃんはすっかり感心した表情で店員さんを見つめていた。
「会話の対応力がはんぱないわぁ」
店員さんはそんな姉ちゃんをみてクスリとほほ笑んだ。
「私達もあなたたちと同じ電子脳をベースに動いていますから。同じ人間と思っていただいて構わないと思いますよ」
すっかり感心してしまったボクと姉ちゃん。
「それじゃ店員さんも、ステータスとかスキルとかあるんですか?」
「ありますよ」
といって右手の指をくるっと一回転させる。
すると、何もなかった空中にモニターのような画面が映し出された。
「私の場合、職業は商人です。お店や露店を持っていれば就ける職業です」
「何それ!?」
姉ちゃんは真似して指をくるりと回す。
すると姉ちゃんの前にも画面が広がった。
「おおー!! でたでた! 萌生(もえ)もやってみて!」
ボクも真似して指をくるり。
するとボクの前にも画面が表示された。
画面の右列にはタップして開けるボタンが並んでいる。
装備、アイテム、ステータス、スキル、フレンド等様々な項目がある。
スワイプすると更に他の項目が表示された。
画面の左列には自分自身のモデリングデータが表示されており、指で動かすと見る角度を変えられるようだ。
当然真下から覗いてみるとどうなるか確認してみた。
結果は期待道り。
ボクのパンツが丸見えでした。
虫眼鏡のアイコンをタップしてみると、バッチリ拡大されていた。
細部まではっきりと。
衣服の装備は今着ている物だ。
だったら、着替えたらこの画面も変わるのだろうか。
下着を着けていなかったらどうなるんだろうか。
ゴクリ。
姉ちゃんがいない時に確認しなければいけないな。
ふと目を画面下に移すと、所持金額という項目があるのを発見した。
ボクのところには50,000Gと表示されている。
「姉ちゃん、お金持ってたみたい。5万Gもあるよ!」
「ほらここ」といってボクはお金の箇所を指さす。
「ほんとだ! この5万っていうのは多いのか少ないのかまだわからないけど。少なくとも1文無しじゃないっていうのは嬉しいわ」
姉ちゃんに褒めてもらえるかなと期待して見上げると、何故かニヤニヤした顔をしていた。
「えっちな萌生ちゃんね」
姉ちゃんはボクのステータス画面を指さしていた。
その指先には、ボクがさっき拡大していたボクのパンツが映し出されていた。
「あわわ……どうやって画面消すんですかー!」
お店の店員さんがボクらのやり取りを見て笑いながらアドバイスをくれた。
「画面をダブルタップすれば消えますよ。それからお金は、基本的にはこれから毎月月末に、街への貢献度に応じた報酬金が支給されることになるはずです。
冒険者ギルドに登録して、依頼をこなしていくのが貢献度をあげる早道ですよ」
冒険者ギルド……まるでゲームの世界のようだ。
ボク達も魔物を倒したりして依頼を達成したりできるわけか……
「説明も何もなくて困ってたとこなの。本当にありがとう。助かったわ」
姉ちゃんは店員さんに丁寧にお辞儀をしてお礼をした。
「実はその辺も設計通りなんです。チュートリアルがないから、NPCに聞くしかないわけなんですね。
そうすれば自然と交流もできますし、NPCだからといっておろそかにできなくなります。
みなさんもNPCに頼るしかなくなるわけですから」
「さすがねぇ……」
表情も人間そっくりだし、そもそもボク達も電子脳の個体なんだよね。
そうしたら、NPCとの差ってなんなんだろう。
「お礼ついでに……赤いポーションをとりあえず5本ください。あと地図はおいくら?」
「地図は1枚1,000Gです。購入の仕方は、ここのカウンターをタップして品物を選んで購入ボタンを押すだけです。
ポーションはアイテムリストに、地図は購入すると自動的にマップ機能が追加されますよ。
街中だけは既にマッピングされていますけど、外に出たら一度行ったところじゃないと表示されませんので注意です」
「なるほど……萌生(もえ)も買っといた方が良さそうね。あ、そうそう。マジックポイントを回復するポーションはあります?」
「ありますよ。そういう時は、先ほどみたいにカウンターをタップしてみると、購入可能リストが見れますよ」
「あ、そうだったわね。じゃあ萌生、地図とMPポーション5個くらい買っておきなさい」
ボクは姉ちゃんに言われた通り、地図とMPポーションを5個購入した。
「使うときはいちいち画面開いてアイテムリスト開いて……とかやんないとだめなの?」
「ショートカットのページがありますよね。そこで設定できるんです。おすすめは武器や盾とポーションですね
それとスキルは特殊なんですけど、武器を取り出してスキルや魔法名を口に出せば発動します」
「なるほど……あ、そうそう。宿屋みたいなのってあるの?」
「はい、各自無料で利用できますよ。部屋の中は個別に対応したインスタンススペースに移動するので、一軒の宿屋で全員分まかなえます」
「それは嬉しいわ。宿屋が無料なら大助かりよ!」
店員さんは嫌な顔一つせず、親切に教えてくれた。
「ありがとう。本当に色々教えてもらえて助かったわ。また色々教えてね」
「是非また来てくださいね。」
こうしてボクと姉ちゃんは道具屋を後にした。
「姉ちゃん、色々教えてもらえてよかったね」
「ほんとよね。助かっちゃた」
「コミュ障のボク1人だったら絶対わからなかったよ……」
少し歩くと、宿屋らしい建物が見えた。
「萌生いってみよ」
姉ちゃんに連れられて宿屋に入った。
中に入るとそこはロビーになっていた。
その奥は二つに分かれていて、宿用のカウンターへ続く入口と酒場兼食事用のカウンターへ続く入口があった。
宿屋っていうから、てっきりアニメなどでよく見かけるいわゆる古い西洋風の宿屋っていうのを想像してたけど、これはまるでビジネスホテルだ。
全員が住むところだからなのかもしれない。
こういうとこだけ近代化されていて違和感があった。
姉ちゃんは宿用のカウンターへ近づき、スタッフに話しかける。
「いらっしゃいませ。こちらは宿泊施設となっております。
このカウンターをタップしていただきますと、ご利用可能な部屋が表示されますのでお好きなタイプをお選びください」
姉ちゃんはカウンターをタップし、色々な部屋を見ていた。
「お二人でご利用ですか?」
スタッフが話しかけてきた。
「はい。二人一緒の部屋を探してます」
「え!? 一緒な……むぐっ」
姉ちゃんはボクの口を塞いでどんどん話を進める。
「ベッドはツインとダブルがございます。トイレと浴室は別々で部屋に備え付けてあります」
「じゃあこのダブルの一部屋借ります」
姉ちゃんはぱっぱと部屋を借りてしまった。
「あれ? 姉ちゃん、ダブルってベッド一つじゃなかったっけ?」
「そそ。よく知ってたわね」
え、なんで姉ちゃん平然としてるの?
姉ちゃんと一緒のベッドで寝るってことだよね!?
部屋は借主がドアに触ると、ネームプレートに名前が表示され自動的に各自の部屋へと繋がる仕組みになっていた。
部屋を開けると、姉ちゃんはベッドにジャンプして飛び込む。
「うわぁ~ふかふかしてて気持ちい~」
どれどれ……
ボクがベッドに近づくと、姉ちゃんはボクの腕を引っ張って抱き寄せた。
「わぁ!」
姉ちゃんに強引に抱きしめられ、ベッドに横たわる二人。
「姉ちゃん! 何するの!?」
「えへへ~萌生~もう逃げられないぞ~?」
姉ちゃんはボクに頬を擦り付けてすりすりしてきた。
「や、やめてぇ~」
じたばたもがくボク。でも姉ちゃんは逃してくれない。
「今日からここで萌生と二人で暮らすのかぁ~しかもベッドまで一つで。萌生やーらしー!」
「ボクじゃないよね? 借りたの姉ちゃんじゃないかぁ~」
姉ちゃんはボクを仰向けに寝転がせて、その上に覆いかぶさってきた。
「で、萌生。どうなの? 女の子になったけど、性欲どうなった? あたしにムラムラしちゃってる?」
何いきなりとんでもないこと聞いててんの!
「ほら……もう転生したし、姉弟じゃなくなったんだし。てゆーか、男と女ですらなくなったわけだけど」
「そ、そんなのわかんないよ……」
「わからないならわかるまでテストしないと……ね?」
そういうと姉ちゃんはボクの上着をまくっておへそが露わになった。
姉ちゃんはボクのおへその周囲を軽く指でなぞってくる。
「や、やめてぇ……」
全然姉ちゃんを振りほどけない。以前よりまったく力が入らなくなっていた。
しまった……幼女にしたから、力が全然ないんだ!
完全に姉ちゃんのなすがまま、体中を弄り回された。
結論から言うと、性欲は消えていなかった。
姉ちゃんのせいで異様にムラムラさせられ、体中がほてってどうしょうもなくなってしまった。
しかも、何故か以前よりも体中が敏感になってる。
まだ女の子になったばかりだからなのかもしれない。
おかしいよね。だって女の子って性欲ないはずだよね。
あれ? でも姉ちゃんは性欲あるような気が……?
じゃなきゃボク女の子になった意味ないしね。
もう少したてばきっと性欲消えるはず。
うん。頑張ろう。
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