第6話 御神体

 祠へと辿り着いた三人は眼前の光景に唖然とした。


「祠が破壊されている。一体誰がこんなことを……」

「なんて濃いマナだ……」

「分からない、けれどこの痕跡を見るに祠を破壊したのは魔物かもしれないわね」

「そうだ御神体!」


 ルインとレイヴは慌てて祠の残骸をどかし御神体を探し始めた。

 一方アーニャは何やら思案を巡らせながら御神体を探す二人の様子を眺めていた。


「なぜマナはこの場所から……原因が土地にあるならもっと前からこうなっていたはず。ここでマナが大量発生する何かが起きたってこと?」


 アーニャが考えている間にもルインとレイヴの二人は黙々と作業を続けていた。

 そしてついに二人は瓦礫の中に埋もれていた御神体を見つけたのだった。


「あった。これが御神体だな。それにしてもこの周りだけやけにマナが濃いな」

「実物を見るのは初めてだな。なんせ普段は祠の中にしまわれていたから」

「見つけたの?」


 二人の声を聞きつけ御神体を確認すべく近づいてきたアーニャは思わず声を上げた。


「こ、これは、この御神体は巨大なスフィアよ!」

「スフィア? この御神体がか」

「ええ、それもあなた達に渡したような物とは全く別物。この中にどれだけのマナが内蔵されているのか想像も出来ないわ」

「ってことはこの異変はこれが原因か」


 その時ルインは光り輝くスフィアの中に黒い闇を見た気がした。

 そしてまるでその闇に惹き寄せられるかのように、無意識にスフィアへと手を伸ばしていた。


「迂闊に触れては駄目!」


 アーニャの叫びも虚しく、次の瞬間辺りはスフィアから放たれた闇に包まれた。

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