第11話 ブルジョアジーが読む本

「今回はブルジョアジーが読む本です」

「金持ちが読む本ね」

「そうです。今、世界一のお金持ちの職業って何かわかりますか」

「知らん。カジノ経営か何かじゃないのか」

「ちがいます。知らないんですか、世界一の大富豪を」

「ゲイツだろ」

「ちがいます。数年前に交替しました。」

「知らん」

「ジェフ・ベゾスです」

「誰だ、それ」

「アマゾンの社長です」

「ああ」

「今、世界一のお金持ちの職業は、本屋なんです」

「本当か?」

「そうです。アマゾンは本屋です」

「DVDとか、ゲームとか、ファッション、工具まで売ってるぞ」

「そうですね。でも、もともとはアマゾンは本屋なんです」

「それがどうした」

「だから、今、世界一需要のある仕事は、本屋なんです」

「ほう」

「読書がいちばん需要の高い仕事なんです」

「信じられない」

「そういう解釈もあるということです」

「信じられん」

「それでは、ブルジョアジーが読む本です」

「それ、読むと金儲けできるのか」

「ちがいます」

「なんだ」

「ブルジョアジーが読む本は、藤子水子正武「正忍伝」、プラトン「パルメニデス」です」

「どんな本なんだ」

「どちらも、中古でしか手に入らず、数万円もする高価な本です。どちらもすごく面白いですよ」

「高いわ」

「金持ちしか買えないです」

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