第10話 オタクが読んでる本
「今回はオタクが読んでる本」
「ああ、永遠の謎だわ。どこの誰が何が楽しくてあんなもん流行らせてるのか」
「ええ、実はぼくもぜんぜんわかりません」
「きみにわからないんなら、おれはもっとわからないわ」
「心配な人は多いでしょうね。日本の子供たちも困ってるらしいですよ。このままじゃ日本は終わりだとか。もう日本の大人は見捨てて、子供だけでこの国を立て直そうとか」
「で、オタクは何を読んでるの」
「まあ、読書家で集まっても、みんなが共通する本を読んでるなんて場面はめったに遭遇しません。だから、オタクも、他のオタクが何を読んでるかなんてわからないですし、非オタが好んでる本とかがかぶることも珍しいです。インターネットがあれば、共通した本を読んでる読書仲間と知り合えて、話がはずむなんてことにはなりませんでした。そんなことは奇跡でしかありません」
「そうなのか」
「はい。わかりやすく例をあげると、世界一売れてる漫画「ワンピ―ス」ですね。これは単行本が毎回400万冊売れます。では、1億2000万人いる日本人で、ワンピースの漫画を読んでる人に遭遇するのは、どれくらいの確率だと思いますか。単純な確率の計算ですが、わかりますか」
「わからん。ワンピースくらいみんな読んでるんじゃないのか」
「そうですね。あなたが読んでるくらいですからね」
「ワンピースでもおれには勝てないけどな」
「ええ。では、日本でワンピース読者に会う確率は何人中何人でしょうか」
「知らん」
「はい、それは、30分の1です。日本人に手当たりしだい話かけても、30人以上に話しかけないと、ワンピース読者は見つかりません。世界一売れてる漫画でも、このくらいなんです」
「確かに意外と少ないな。」
「そうです。」
「うん、ちょっと勘ちがいしていたかもしれないな」
「そうですよ」
「で、オタクが読んでる本って何なんだ」
「裕時悠志の「俺の彼女と幼馴染が修羅場すぎる」です」
「本当か」
「もちろん、嘘」
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