第7話 おじさんが格好つけるのに使う一冊

「ここは読書的ディストピア」

「はい。今回は、おじさんが格好つけるのに使う一冊です。」

「そんなもんいるかあ」

「えええ」

「本なんて読むとバカになるんじゃあ」

「そういう意見も多いですね」

「そうじゃあ。本だけ読んでも何にもならん。丸山眞男も「政治の世界 他十篇」でいっていたわ。「下手に政治学などやると、かえって生きた政治がわからなくなる」と。おまえらみんな、そんな大バカじゃあ」

「ぼくは、本を読んでいるだけのおじさんなわけですが、平均よりは読んでるんじゃないかと思います。確かに、本なんて読まない人も多いと思います。しかし、『好きな本が一冊だけある』というのも、格好いいおじさんなんじゃないかと思いますよ。そこで、ぼくが「こんな本を読んでいたら、格好いいおじさんなんじゃないか」という本を推薦します。。本なんて興味ないよという人にも、「まず一冊」をすすめてみたいと思います。」

「はよせえ」

「ええと、おじさんが格好つけるのに使う一冊は、」

「おう」

「村上龍「インザ・ミソスープ」ですね」

「春樹じゃないんか」

「龍の方です。ドラゴンです」

「どう格好いいのか説明せえ」

「性風俗のジゴロの話」

「気に食わん。もっと女受けのいい本にしろ」

「いやです。この一冊から始めてください」

「おまえのおすすめは読まない」

「勝手にしろ」

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