第4話 題名はよいのに中身が惜しい小説

 小説は題名って重要ですよね。ほんのひとことですが、小説の売上は、二割方、題名だけによって決まるという話もあります。

 人の人生も、名前だけで二割決まるといわれます。

 なぜなら、第一印象は重要なものであり、人の名前は人生の間、ずっとその人の第一印象になるのです。

 そして、自分の名前と関係ある情報を、人は人生の中で優先的にそれを調べるように選択していってしまうものなのです。

 作家も、自分の筆名はものすごい考えてつけます。ネット作家の筆名を見ても、ものすごく格好いい名前を付けている作家さんがたくさんいますね。

 そんなわけで、小説の題名です。

 今回は、題名がすごく良いのに、そんなに面白くもない惜しい小説です。


「ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件」

 橋本治の推理小説です。

 この題名、めっちゃ格好良くないですか。題名だけで楽しめる。この題名に著作権が発生するのは本当にうずうずしてしまいます。良い文章は無限の想像力を引き出す。めちゃくちゃ二次創作したくなります。

 二次創作したくなる作品というのは、面白い作品の評価基準にもなります。ついつい二次創作したくなる小説というものは、ものすごくたくさんありますね。


「私の本気をあなたは馬鹿というかもね」

 牧野修の空想科学小説です。喜劇な題名と悲劇な題名とあると思いますが、これは悲劇の題名に属するものですね。すごい好きです。


「金を払うから素手で殴らせてくれないか」

 木下古栗の現代文学短編集です。怖い題名ですね。暴力性についてはものすごく傑作な題名だと思います。


「人のセックスを笑うな」

 山崎ナオコーラの小説です。この一行の概念を普及することだけのために、この小説を普及する価値があるのではと思いますね。

 「セックスが下手で何が悪いんだ」。セックスはうまければよいというものではないと思います。ヒトには、本能的に「自分のセックスを自慢したい」という衝動があるのでしょうね」。

 失礼しました。


「メロディ・リリック・アイドル・マジック」

 石川博品のラノベです。すごい良い題名ですね。これも格好いいです。


 他にも、「探求」柄谷行人、「音楽」三島由紀夫、「存在論的、郵便的」東浩紀、「とらんぷ譚」中井英夫なども題名はすごく良いけど、中身は惜しい本です。

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