金木犀

金木犀が香るとき、

それは君に恋をするのと同じだと思った。

遠く、冷たく、美しく、

宙を舞う君の影。

君の香り。君の気配。


ふらりと誘われて上を見ると、

そこには太陽しかなくて、

君は陽の光と同化してしまう。


金木犀って、宇宙でも香るのかな。

オレンジ色の小さきものを見かけたら、

みんな金木犀だと思ってしまうよ。

猫が鳴く。

おひさまだって金木犀なのだから、

乳白色の大きなものが君になったって、

それでいいと思うんだ。


夕焼けを見て、金木犀が香って、

僕は君の声を聞く。

ぱちぱちと弾ける火花が、

どこか遠くの星の光になったとき、

また宇宙はよろこぶんだと、

そう、神様が教えてくれた。

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