真っ暗やみ

空を飛んで、

君が溶けた水槽の中を、

すやすやと飛翔する。


嘘をつくときに、

目元に手をやるのが君の癖。

シャボン玉が、僕の目を眩まして、

君のことを語っている。


自分勝手だ。

魚が泳ぐ。


空の放物線だけが、

虹の切れ端にたどり着くなんて、ずるい。

君が泳ぐ。


どうして世界が優しいんだろうねと、

溢した声がシャボン玉になって、

水面に浮上する。


この世界に夜なんてないよ。

ただ、真っ暗やみがあるだけで。

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