不公平
世界から音がなくなってしまったような日、
空腹に耐えかねて起き出すわたしの体と、
音のない朝は、
一体化して、
消えていく。
わたしは、
いつでもわたしを越えようとしていて、
出て行こうとするその意思が目指すドアには、
もうとっくにノブはない。
金魚が一匹死んだとて、
何一つ変わることのない世界は、
君が死んだら、崩れてしまうみたいです。
不公平だと誰かが言ったが、
不公平なのは世界の方だった。
世界に音があるから、
なくなると、悲しくなる。
生きることに特化した体は、
その実他人も生かしたがっていて、
その代表例が君だった。
でもわたし、結局、
世界でしか生きられないのよ。
世界が壊れても、わたしは変わらず息をして、
新しい君を見つける。
不公平だなんて、笑ってしまうけれど、
不公平な世界に生まれたのだから、
仕方がないのでしょう。
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