ラストドロップは苦い
コーヒーが泣いている。
フィルターの上で熱湯をかけられて、
ポトポトとカップに涙を落としている。
涙は私の体内に染み入って、
苦味で誤魔化された痛みと調和して、
体から滲み出る。
しょっぱくなったコーヒーは、
空気に溶け込んで、
味も香りもなくなった頃に
宇宙に染み込む。
宇宙が冷たいのは、きっと、
そういうこと。
ラストドロップまで絞り出されたコーヒーと私。
一緒にゴミ箱に捨てられて。
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