甘いパイは、コーヒーと一緒に飲み下して。

ふわふわと足元が溶けていく。

浮遊感。

脳内の電子回路が緩くなって、

私は空間に染み出していく。


夜空に浮かぶ星の並びのように、

いつか消えてしまうのなら、

今すぐ消えればいいのにと願う記憶が

一つ。

二つ。

いや、もっと。


夢にすら見る景色は、

いつも私を捉えたまま。


きっと恋は電磁気力。

重力よりも強いその力は、私をこの星から引き離す。

ふわふわと浮かんで、私はブラックホールに落ちていく。

電子レンジに入れたホットパイが温まって、

私の目覚めを誘う。


上がったパイの温度のように、私の心も熱を上げるから、

甘いパイは、コーヒーと一緒に、飲み干して。

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