ハーバリウム

いちばん綺麗な瞬間を、ハーバリウムに閉じ込めて

時を止めた花は死んでいるのと変わらないね、と

笑った君の笑顔は、

ゾンビのようだと思った


生と死の狭間

そこに存在する花を愛でる時、人は虚空に触れている


生きても死んでもいない存在は、

だからこそ美しくて

人の手によって生を留めた花は、

この瞬間で止まってしまえればと望む人々に、

救いを齎すのか


ハーバリウムが揺れる

瓶の中のオイルが漏れだす

空気に触れた花の時が動きだす


死をこぼした時、

それは生になるから


だから、

こんなにも、

ヌメヌメとして

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る