好きの言葉が消えたなら
好きの言葉が消えたなら、
吐き出せなくなった言葉は、
私のなかに溜まって、身体に染みついていく。
言葉として吐き出していたそれは、
やっぱり私から何かを切り離していて。
その損失を代償に、
私はあなたにそれを渡していた。
それは甘さだった。
甘やかな、優しさだった。
甘さが染みついた身体を、私はずっと持て余していた。
音にならない感情は、
型にはまらないチョコレートのように
どんどんと外へ流れ出してしまうから。
マグカップに注いで飲み干した、
あの日の夕方、
君と交わした温度だけが、
未来へと続いていく。
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