涙袋


そのふっくらとした膨らみの中に、

何を溜めるのか。

哀しみ、苦しみ、憤り、

そういったものを抱えておくための袋を、

私たちは抱えて生まれてきた。


ふっくらと抑えても、

醜くない感情の発露を、

近づいてくる知人を、

そっと過去に置き去りにして、

私は歩いていきます。


遥かなる旅路。

遥かなる宇宙。

広大さに引け目を取らず、

歩いていきます。


冷たい雪の中を、

吹き荒ぶ風の中を、

きみと手を触れた熱の中を、

歩いていきます。


そっと手を伸ばすと、

触れることのできる温もりが、

決して消えることはなく、

それだけが、私の支えとして、

息をしている。


ふらふらと散り出す雪が桜に変わったら、

いつか、

散歩に行きましょう。

あの、夏の階段まで。


漂っている雲に、

未来が詰め込まれている。

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