私の足の裏
君が私の世界のすべてだと思っていたのに、
それでも君は、夜の浜辺、
サラリとした砂に潜む小さな貝殻のように、
私の柔らかい足の裏を、刺してしまう、
それだけの存在でした。
世界にとって。
私という、宇宙の中で。
手を振った。
愛していると伝えるために。
挨拶をした。
それだけで、よかった。
絡まり合う私の足と冷たい海水が、
月の光を沁みこませ、
生命をその身に宿す。
宇宙が広がっていく。
海の冷たさが、海月の優美さが、
足の裏の痛みを消していく。
幻想が、記憶の中だけで息をし始めた頃、
私は世界の広さに、
そして、あなたの小ささに、
驚くのです。
君が世界のすべてだと信じていた、あの日を、
私は忘れられないのです。
君は今、どこにいますか。
今もまだ、私の足の裏で、息をしていますか。
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