星の瞬き

星が瞬いている間だけ、

わたしの感情の一部が、私の心に根付いていくような、

そんな錯覚をする。


いつも、錯覚をしている。

わたしたちが生きているのだと。

君は、隣にいるのだと。

大切な人が、息をしているのだと。


星空に打ち上げられた人工衛星が、地球を回っている間、

わたしたちは地球に縛り付けられて、空を見ている。


わたしはわたしでしかないはずなのに、

いつの間にか、私はわたしを忘れてしまい、

私にしかなれないわたしが、水溜りの中、

ぽちゃりと息をして、波紋を広げていく。


海に映る月こそが綺麗だと、あなた、空の月に言えますか。

言えてしまうのが人間だと、気がつくのが遅すぎた。


だれがわたしを、殺したの。

そんな問いに意味を求めるほど、隣の芝が赤く見えてしまったから、

この世界は、きっと、もう、天国だったんだね。

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