006 冬の寒さに打ちひしがれずにⅥ
昼休みも刻々と短くなっていき、残り三十分程になっていた。
急いで桜が作ってくれた弁当を食べ、俺は風呂敷を包み直すとバックの中に入れ、
「俺、職員室に用があるからちょっと抜けるわ……」
と、言い、颯太と桜をその場に残して俺は職員室へと向かった。
一年から三年が在席している中央校舎から職員室へ行くには渡り廊下を渡って、南校舎に行かなければならない。
中央校舎の一階から南校舎の二階を繋いでいる渡り廊下を俺はゆっくりと歩いていた。この学校の造りは南校舎のみが一階分低い場所に造られており、中央校舎と北校舎は少し高い位置に同じ場所に建てられている。
南校舎に渡り終えると、二階から職員室のある三階へ階段を上る。
三階のフロアでは、昼食を終えた生徒たちが集まっていた。教師に用がある生徒、授業の問題集を解きに来る生徒、再テストをしに来ている生徒など、ほとんどが勉強に関する事がやたらと多い。
階段から手前にある職員室の扉をノックした。
「すみません、一年三組の
「はい、どうぞ……」
と、近くにいた男性教師が返事をした。
いや、あなたに言ったんじゃないんだけど……。まぁ、いっか……。
俺は渋々、奥平という名の教師を探し、そして、見つけた。
× × ×
国語教師であり、俺の担任である
こうして公開処刑されながら聞いていると、自分の進路についてあまり真剣に考えていない事に気づかされる。確かにおかしい所は書いていないのだが、問題は俺よりももう一人の方であることだ。分かりやすい思考が見透かされる気分だ。
さては、これを理由に桜を呼ばずに俺だけを呼び出したのだろう。
もちろん、俺と彼女の関係を先生は知っている。
奥平先生は読み終えると額に手を当てて深々と溜息をついた。
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