004 冬の寒さに打ちひしがれずにⅣ
「あ、今日のおかずはメンチカツがメインとして作ってありますし、それに栄養のバランスも考えてあるんですよ」
「ふーん、そこまで考えているんだな。知らなかった……」
「はい、そうですよ。じゃあ、食べましょうか」
俺は手を合わせた後、
箸を持って食べようとした時だった。
「ちょっと待て、なんでお前ら二人だけで先に食べ始めようとしているんだ? 少しは俺や友理奈を待ってくれてもいいだろうよ」
と、颯太が急いで売店で買ってきたパンを袋に入れて俺の机の上にドサッと置く。
「嫌だな。お前、さっきのこと忘れてはいないだろうなぁ? あれは本気でお前を殺そうとしている目だったぞ」
「その事ならとっくに終わっているぞ」
「はぁ? お前、どんな話術を使って彼女を口説いたんだよ……」
俺は卵焼きを箸で半分に割り、口の中に入れる。
甘くてふんわりとした触感は、隠し味に
そんな事を思いながら俺は彼の話をしっかりと聞く。
「まぁ、簡単に言えばプレゼントだよ。お詫びの印に何か奢ってやると言ったら結構な値段の物を買わされたけどな……」
颯太は財布の中身を確認しながら、まだ大金が入っている事を心思いに浸っている。
一体、何を買わされたのだろうか。気になってしょうがない。
「どんなプレゼントを贈ったんですか?」
その話を聞いていた桜が楽しそうに颯太に訊ねる。
「可愛いネックレスよ。前から欲しいと思っていたの……」
と、桜の背後から可愛らしい弁当箱を持ってきた友理奈が、桜の前の席に座った。
「ネックレス?」
俺は疑問詞を浮かべながら、小さく溜息を漏らす。
「そうなんだよ。あれ、結構な値をしてたんだよ」
颯太が俺の耳元でささやいて、買わされたネックレスの画像をスマホで俺に見せてくれた。
俺はそれを見て、下にスライドすると、値段が表示される。
一万五千円————
高校生からしてみれば高いと言えば、高すぎると言ってもいいくらいの値段であり、それプラスで税金、送料を加えたら千円プラスだろう。俺は苦笑いと小泉が颯太に対する恐ろしさが目に浮かぶ。
「お前、彼女を大切にしてやれよ。ありゃあ、離婚とか
「それはお互い様だろ? 桜ちゃんも同じだと思うぞ」
「そうかもな……」
俺と颯太は女の恐ろしさの想像が増して、増しているようだった。
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