ペン先の夢

【宣篤】

「はっ!」


【克行】

「お前、また夜中走り回ってたのか?」


チャイムの音と同時に目を覚ました俺の目の前に、友人の呆れた顔があった。


【宣篤】

「バイクに乗ればわかるさ。

お前だって、ログインボーナスだけ受け取るだろ?

走るのはそれと同じだ」


【克行】

「いや、意味わかんねぇから」


【先生】

「おい、お前ら、静かにしろ!

ホームルームを始めるぞ!!」


【克行】

「お、おい! あれ見ろ!!」


【宣篤】

「なんだよ?」


再び眠りに就こうとした俺は友人の声に反応して顔を上げる。


ほとんど時が止まったようだった……


大人びた容姿の少女が、一歩、また一歩と進み、教壇の中央に立つと、不安そうな曇った表情を上げた。


【幸恵】

「今日から編入して――」


彼女が息を呑むと同時に俺も息を呑み、時計の針が音を立て、教室中がざわめく。


後ろめたさを感じたように伏し目がちな彼女へ、俺は明るく笑いかけた。


長く長く待ち焦がれていた太陽のような笑みが花開く……


世界に光と色が満ち溢れ、その輝きは行くべき場所を指し示す。


夢という名の、前人未到の領域。


俺達はここから……そこへ踏み出すんだ。

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ペン先の夢 白鳥一二五 @Ushiratori

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