夢から覚めた世界

【少年】

「おじさん! 大丈夫!?」


【宣篤】

「ハッ!」


気が付くとそこは、俺が眠りに就いた公園だった。朝の白い陽光に照らされ、ところどころ眩しく輝いている。

マラソンをする人や通勤途中のサラリーマン、どこかの学生や犬の散歩をする老人。


その中に彼女の姿を探すが、見当たらない……


【少年】

「おじさん、夢を見てたの?」


おじさんか……まだ一人立ちもしていない、ガキなんだけどな……


【宣篤】

「夢、か……君は見るのか?」


最近は起きていても眠っていても、心が落ち着かず、夢を見る事はなかった……


【少年】

「うん! 見るよ!! おじさんのはどんな夢?」


【宣篤】

「そうだな……Sweetな夢だ……」


【少年】

「Sweet……あっ、知ってる甘いって意味だ!

じゃあ、プリンとどっちが甘い?」


【宣篤】

「プリンよりSweetだ」


【少年】

「ケーキより?」


【宣篤】

「そうだな、バースデーケーキや、

クリスマスケーキよりも最高にSewwtだ」


【少年】

「へぇ! すごい!!」


【少女】

「ほら! 早く行かないと遅刻するわよ!!」


【少年】

「あっ、待ってよ! おじさん、じゃあね!!」


【宣篤】

「学校にはちゃんと行くんだぞ」


【少年】

「うん」


少年は朝の光にも勝る元気な声で返事をすると、揚々と立ち去って行った。


【宣篤】

「そういう俺は、今日の授業サボるんだけどな……」

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