遅れてきたサンタさん

勝利だギューちゃん

第1話

クリスマスが終わって、街は一気にお正月ムード。

クリスマスから、元日までの1週間はやたらと長く感じる。


でも、お正月がやってくれば、元に戻る。


元旦の夜、つまり日付が変わり年明けた直後の日、

俺は家にいた。


神社へ、2年まいりをする人もいるが、俺は人ごみが嫌いだ。

なので、かなり遅れて行くようにしている。


「ふぅ、そろそろ寝るか」

そういって、寝室に来た時、いきなり窓が開いた。

サンタの格好をした、女の子がいる。

なぜ?


「メリークリスマス!」

「えっ」

「今宵は、聖なる夜。今年一年いい子にしていた君に、

お姉さんは、プレゼントを持って来ました」

「あの・・・」

「そんなわけで、畑中悟くん、メリークリスマス」

「ですから・・・」

人の話を訊いていない。


「あのう、お姉さん・・・」

「何?悟くん」

「あなたが、本物が偽物かは、わかりませんが・・・」

「私は、本物よ。免許証見る?」

「そうではなくて・・・」

「じゃあ、何?」

「今日は1月1日です。クリスマスはとっくに過ぎました」

女の子は、固まった・・・


女の子はスマホを見る。

最近は、サンタさんをスマホを見る。


「あー。本当だ」

「で、どうして遅れたんですか?寝坊ですか?」

「子供じゃないんだから」

「じゃあ、大人の理由を教えて下さい」

「実はね」

「はい」

「用意は早目にすませたんだけど、アニメのDVDを見たら、止まらなくて」

子供以下だな、この人・・・


「で、俺に持ってきてくれたプレゼントは、何ですか?」

「私よ」

「なんですって?」

「だから私が、君へのプレゼント」

「その心は?」

「クリスマスを一緒に過ごす彼女がほしいと願ってでしょ」

「でも、あれは七夕さまで・・・」

「男の子でしょ、細かい事は気にしないの」

いや細かくない。


「だから、私というクリスマスプレゼントを、君に贈ります」

「ですから、クリスマスは過ぎました。」

女の子は、考えて・・・


「じゃあ、今年のクリスマスまで、一緒にいてあげる」

「えっ、そういうことは・・・」

「だめ、私の気が済まないから」

ふぅ、言っても無駄のようだ。


仕方ない。騙されてやるか。


「わかった、好きにしてくれ」

「ありがとう。私はマイル。よろしくね」

「ああ、よろしく」


でも、これからどうしよう。

まあ、悪くないな・・・


よろしく、マイル。

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遅れてきたサンタさん 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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