第7話 追跡者
条件を説明する前に、私はとある場所を見た。そして声をかけた。
「いるんでしょ?忘保。出て来なさいよ。」
「あ、気づいてらしたんですね…先輩…ww」
「当たり前じゃない。相棒なんだから。」
「お、お前、どうしてここに…」
「はあ?」
今度はこっちが言う番だった。忘保がどうかしたのだろうか?
「あ、えーと…この子がどうかした?」
「あ…いや…なんでもない…」
少し気になったが、私はそれを心に留めておくだけにした。
まだ、信用できるかどうかすら分からないのだから。
と、いうか…
「大体、貴方なんでこんなとこにいるのよ?w」
「いえその…偶然見かけましたので。ここ、家の近所ですから…」
「そう…」
そろそろ時がきたようだ。私は手早く手元のスマホを操作して、彼に画面を提示した。
それは、とある専門学校のオーディションのホームページだった。
「私、このオーディションを受けたいんだけど、私が申込んだらすぐにバレるから、代わりにネットで、申込んで欲しいの。」
「冗談じゃない。僕はネットの世界からは追われている身なんだ。わかっているだろう?」
「ええ、だからこそお願いするの。そうでもしない限り、私は貴方を信用できない。もし…貴方が私の夢を叶えてくれたら、信用して、付き合ってあげるわ。」
「本当かい?」
「大丈夫よ。私は約束を破るような事はしないから。」
彼は嫌そうにため息をついて、
「しょうがない。君が望むようにしてあげるよ。但し、少し時間を貰うけどね…」
私は、無言でうなずいた。
その時、忘保が口を挟んだ。
「あの~…とりあえず、ここ遊園地なんですから、三人で楽しみません?話はその後で…」
そうだ。あまり長話をしているとかえって不自然だ。忘保に言われて気がついた。
「ま、まあそうね。確かに、とりあえずそうしましょうか。」
「ああ…」
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