第8話 ぼったくり喫茶
やがて、私とフィリップと忘保の3人は遊園地を満喫しながら、その中にある喫茶店で
お昼を食べる事にした。
しかし、中に入った途端、出されたメニューに書いてある金額に私は呆然としてしまった。
これじゃあいくらなんでも高すぎる…
しばらくして、ぶすっとした顔の従業員が注文した料理をもって現れた。
だが、その料理の味は不味いの中の不味い、
まさに最底辺の味だった。
こんな店…それこそ詐欺師の店じゃないの…
「やあ。気分が悪そうだね?ならいっその事このまま家に帰った方がいい。」
「…そうね。」
ところが、フィリップの前に客らしき人間がたちはだかって直ちにスマホの画面を見せた。
「これはお前か?」
「そうだ、それはそいつだ。おい、誰か警察を呼べ!!」
その言葉を引き金に、客がざわめき始めた。
「なんだと!?金なら俺だって欲しい」
「おいこら、俺だって金無いんだぞ」
いうまでもなく、たちまち大喧嘩が始まった。
「待て、話を聞いてくれ!おい!!」
「あ、あのー」
「ちょっと!!」
三人は話し合おうとしたが、誰も耳を傾けない。
やがて私はテーブルをドンッと叩いた。
すると、皆私に注目してきた。
「よして下さい!!」
私は思い切っ切り怒鳴った。
「この人は…この人は私の大事な人なんです。だって夢を叶えてくれる人だから。だからその人を離して下さい!!皆さんにも夢があるんでしょう!?」
その時、無愛想だった店員が言った。
「夢なら俺だってあったさ。俺の夢は世界一のシェフになる事だったんだ。」
客の中の一人も言った。
「俺の夢は教師になる事なんだ。」
そして全員揃って私と忘保を見つめてきた。
フィリップは何も言わなかったが、その目は
「やるじゃないか。」
そう言っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます