今宵の満月様は春の宴を催す


今宵の満月様は春の宴を催す

下界に興味ありげの御様子。

天の霞も覗き 違う面を除く

ちゐとした 悪戯心は

ひとひとひら 鳴りて成りて

春の嵐と申しましょうか

その姿はだけましょうか、ねえ。

魔性の宙にくらくら暗く

満月様、お美しゅうと

見上げる人々の恍惚と易々(いい)

その余韻に浸り酔った醜態に

勢いとでもゐゐ魔性か

生けるものの性でしょう

宵に喰らい闇に堕ちる桜のえみも

ふふ ふるる と ゐって

星は煌めきお散りになって

はらはらはらりと幾星霜も

波乱で孕んでも好いと

赤い営みに意図繋ぐ

瞬く星の輝きは

手に入れたいと思うもので

その生命は美しいと

輝く幾ばくかの人の性

うつくしゅうと憐れに見えて

滑稽だ空(から) 愉快遊界の悦い

せいもあいも さくらん 乱 嵐

爛々と散って 蒔かれた解き

おひらきとなりましょう

花は咲いて散ってゆく定まり






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