第62話【風前の灯】

【風前の灯】


蝋燭がまた一つ消えてゆく

その篝火は燭台から散り懸かり陽炎に

地獄で倒錯する燈火たちは

クルクルとからかわれる


狂苦流と来留繰くるくるとくるく 

くくると

辛嗄れ攣れて枯れてつらかれつれてかれて


仕舞いにしたかったと。

 

換われるのならと。


病床でうつつを彷徨う魂は

幻灯と魅せ続ける

一定の速度をもって保ち続け

現実に繋ぎ留める


死神の瞳には凪が溢れて

悔改めて救いを求める二人の罪を

独りおいて行こうとするヒトを

安らかに召されるようにと天に祈る


蝋燭は独り いまだ消せやしない

封前のㇶ

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