第4話あーちゃん

浅見輝幸は、アメリカへの輸出手続きをある通関会社に依頼していた。その会社に谷口朱美が居た。いつも仕事を谷口にやってもらっていた。輝幸が谷口に電話を掛けた

「谷口さん、またアメリカへの輸出をお願いしたいんですが」

「はいわかりました。浅見さんがこちらへ来て頂けますか」

「はいそのつもりです、ちなみに谷口さん、今度お茶しませんか」

「ええ、喜んで」

 翌日4時に輝幸は旭川通関を訪れた。

谷口「このメモの喫茶店に5時半に待ち合わせましょう」

谷口「お待たせしました」

浅見「きょうはありがとうございます」

谷口「今日はどういう風の吹き回しですの」

浅見「前から谷口さんの事かわいいなって思ってたんですけど、なかなか言い出せなくて、昨日は勇気を振り絞って、お茶にお誘いしたんですよ」

「嬉しいですわそんな風に言ってもらって、私も浅見さんのことをステキだなって、前々から思ってたんですよ」

浅見「以心伝心ですね」

 二人は家の電話番号を交換した。

 輝幸は、谷口朱美のことは日菜子に隠し通せると思っていた。

 翌週の日曜日の朝10時に、輝幸は谷口朱美に電話をした。

「浅見です。おはようございます。朝早くからすみません。実は、今日デートできないかって思って」

「えー」

「この前話しして、朱美さんのことをすごくステキな人だなと思いまして」

「えー、嬉しいわ。ぜひ喜んで」

「さっそくなんですが、今日の1時はいかがですか」

「ええ、いいです」

「では1時にこの前の喫茶店で」

浅見「お待たせしました。すみませんねえ、突然呼び出したりして」

谷口「いいえ、嬉しかったです」

「食事は済みましたか」

「いいえ、まだです」

「じゃあ、一緒にお昼ご飯食べましょう。何がいいですか」

「何でも」

「アベノにおいしいレストランが有ります。『マルショウ』と言って、オヤジが一人でやってる店ですが、なかなかおいしいです。そこへ行きましょうか」

「すてき、おいしそう」

 アベノの『マルショウ』に着いた。

「オヤジ、ハンバーグの特大一つ」

「中一つください」

「それとライス二つ」

 二人は店を出て天王寺駅の方向に向かった。浅見がホテルの前で立ち止まった。

「ちょっと、休憩していきましょうか」

「えーっ。ウソでしょう」

「本気です」

「わかりました。ご一緒します」

 二人は結ばれた。

輝幸「ねえ、二人にニックネームつけようよ」

「そうね」

「あけみちゃんは長いからあーちゃんはどうかな」

そうね、いいわね。じゃあ、てーちゃんね」

「てーちゃんはおかしいから、てるくんだな」

「どうしてなの」

「いや、ただ何となく」

「じゃあ、てるくんでいいわ」

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