#2 サッカーイタリア代表の写真をアップすると似た構図の棋士の写真が送られてくる

2-1

 将棋は日々の努力が大事である。研究量が増えることにより、準備ができているという安心感も生まれてきた。今期は今のところ勝ち越していて、成績にも反映されている、と思う。そして成績がよくなると、研究していても焦らなくなる。いい循環になっている。

 ネタ将も同じらしい。初めての投稿以来、美鉾は将棋をより楽しんで観ることができるようになったようだ。そして普段の投稿も、自然とできるようになっていた。将棋ファンは、常に誰かが面白いことを言っている。中継を見ながら一言。タイトル戦のブログを見て一ボケ。「ネタ」は常に展開されていて、そのエネルギーが一か所に集まった時に、皆が一つのお題で盛り上がる流れができるようだった。

 ただ。そんな中で美鉾は、あることにとても悩んでいた。

「なかなかその……交流ができません」

 美鉾は、まだSNSに参加し始めたところだ。フォローしてくれる人も少ない。

「そうかあ。僕もそこらへんはさっぱりわからないなあ」

「あと私、まだ『リスト』に入れてもらってないんです」

「リスト?」

「リスト機能というのがあって、一人前のネタ将と認めてもらえると、追加してもらえるんです。やっぱり、まずはそこに入れてもらえないと」

「明確な目標があるなら、良かったじゃないか。目指そう、リスト入り」

 とはいえ、そのために何をしたらいいのかはよくわからない。

「そうだ、あの人に聞けばいいかもしれない」

「あの人?」

「先輩だよ。昔から将棋界のことに詳しくて。研究会に誘われたこともあるんだ」

「え、プロ棋士ですか?」

「そう。武藤さん。知ってる?」

 美鉾が、口をぽかんと開けている。

「どうした? 期待の新四段だからね、美鉾なら知ってると思ったんだけど」

「……神」

「え、なに」

「神なんですよ、武藤先生!」


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