読み専だった人が受賞して思ったこと。

あさぎ珠璃

プラベコンで受賞した理由(妄想)


 はじめましての方も、おひさしぶりの方も、おはこんばんちは。

 「樹里」改め「あさぎ珠璃」です。


 え~、この度「カクヨムプライベートコンテスト Vol.02~カクヨム編集長篇~」にて大賞を受賞させていただきました。ありがとうございます。


 家族に報告したものの「ふ~ん?」ってな感じで全く盛り上がりませんでした。

 しょうがないのでネットのあちこちで呟いてます。悲しい……。


 挙げ句の果てには「それってすごいの?」なんて聞かれる始末。

 おい、天下のカドカワ様が運営されているサイトやぞ?


 そりゃまあニッチなお題だし、応募作品総数も122ですからね。すごい賞金もらえるわけでも、書籍化やコミカライズされるわけでも、担当編集が付くわけでもなし。あ、なんか書いててますます悲しくなってきた。


 

 ただですね。今回のこの受賞で、個人的にちょっと吹っ切れたといいますか、自身の執筆活動の方向性が明確になりまして。

 そういう意味で、すごいターニングポイントになったなぁと感慨深いものがあるわけです。



 というわけで、このエッセイの初回は「万人受けを狙わなくても、こだわりを持って書いていたらピンポイントで刺さる人はいる」といった感じのお話をしていこうかなと思います。

 ちなみに、間違ってもPV増えたりとかには繋がらないです。実際、受賞したからといって爆発的にPV増えたとか、お星さまがきらきらしたりとかありませんから(笑)



 さて。あいかわらず前置きが長くなりましたが……今回の「カクヨムプライベートコンテスト Vol.02~カクヨム編集長篇~」以下プラベコン2について、自分なりにここが受けたのではないかな? というポイントを考えてみようと思います。


 まず基本的な話から。このプラベコン、お題は「ブロマンス」でした。

 募集要項ページ→https://kakuyomu.jp/info/entry/2018/09/12/174401


 引用します。


***


ブロマンス(英:Bromance)とは、精神的につながりの深い男性同士の友情をさす言葉。

――「ニコニコ大百科」より引用


たとえばホームズとワトソンのように、たとえばカークとスポックのように精神的につながりの深い男性同士の友情が出てくる小説


もちろん「ブロマンスって何ぞや?」と思われる方でも、男同士の友情が濃く描かれた作品であればOKです。


***


 人によって捉え方はさまざまだと思いますが、とりあえず求められているのはBLじゃない、と。あくまで友情。でも普通の友だちではない。


 ここで引っかかるのが「深い」や「濃く」というワードです。

 で、応募要項を見てみますと……


・文字数に制限はありません。ただし選考は1~2万文字を目途に行います。


 実際の選考は応募総数の関係から1万字程度だったようですが、この文字数で2人の関係性を書き込まないといけないわけです。


 ここがまず迷いどころ。出会いを丁寧に描写していては、文字数が足りない。かといって2人の人となりがわからなくては、感情移入できない。


 もちろん最初からすでに友情が成立していてもいいわけですが、そうすると、このお題の場合においては難易度が高くなる気がするんですよね。

 だって、すでに仲が良い2人をそれ以上の関係にしようと思ったら、それはもうBLになってしまうのでは……(偏見)。

 かといって進展させずに話を進めるのは難しい。すくなくとも、私には無理です。


 

 というようなことを考えた結果、私が導き出した答えは「登場人物の設定を極力説明しない」でした。

 では、どうするか。


 ネットだけの交友なら、外見の描写いらないじゃん?


 というわけで、「TPS」はネットゲームのお話になったわけです。


 

 外見もプライベートも知らない同士で、ただ趣味嗜好が似通っているというだけで仲良くなっていく、という流れ。

 そのぶん、話し方やゲームのプレイスタイルで2人の対比を意識しました。あと相手側の情報をあえて出さないことで、謎の人物感を強調するとか。


 余分な描写を省いたぶん、ゲーム内での交流を書き込めたのが良かったのかな、と。

 正直、自分では展開が遅くてダレるかなぁと心配していた部分だったのですが、逆にそこが評価していただけたポイントだったようです。



 編集長さまからいただいた感想を見ると、あえて最後まで2人を対面させなかった点も評価されています。

 ここは作者自身もこだわった部分なので、言及されたことは本当にうれしいです。


 どうも短編を書くと、オチをはっきり書かないクセがあるみたいで……良く言えば「想像の余地を残す」、ぶっちゃけると「読者さまに丸投げ」っていう(笑)



 で、この「想像の余地を残す」こと。これがキモでした。


 登場人物の外見は全く描写していないので、勝手に想像して楽しんでもらえばいい。

 プライベートに関しても、好き勝手に設定を盛ってもらってかまわない。

 2人のその後の話を、想像を膨らませまくって妄想してほしい。


 できたら誰かに続き書いてみたい! なんて思ってもらえたら、作者冥利に尽きますね。


 ただ、この登場人物の説明が少ないこと、オチで明言しないこと。これが刺さる人と、ダメな人とに分かれるのではないかと思うんです。


「万人受けを狙わなくても、こだわりを持って書いていたらピンポイントで刺さる人はいる」っていうのは正にここで、今回たまたま描写を減らしたことがコンテストにおいてプラスに働いた、という。


 おそらく、細かい描写の好きな人や、思わせぶりなオチが嫌いな人には受け入れられない作品なのだと思います。


 編集長さまの好みと、私の狙いが合致した結果の受賞だった、ということですね。

 そういう意味では、賞品はすごく楽しみです。ただ、編集長さまと(おそらく)趣味が似ているということは、すでに同じ本を所持している可能性も微レ存……(笑)




 今回の受賞作は、私のBLに対する妙なこだわりが強く影響していました。

 次回は、そのへんを掘り下げて書いてみようかなぁと思います。

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