鬼頭家のバレンタイン㊦


これまでのお話〉

忍が学校から帰宅すると、養父の綺麗な鷹史が風邪を引いたらしく寝込んでいました。忍はじぶんが看病しなくてはと思い立ちますが、「鬼頭先生がひと晩、忍の面倒みてくれるっていうから、鬼頭医院へGO★」と送り出されてしまいます。


綺麗な鷹史が、食べかけのお菓子をこっそり隠しているのは、お部屋に充満していたピザポテチの香りで気づいていましたが、忍はあえて言及しませんでした。


篠塚家を出て、忍がとぼとぼ坂を下りながら考えたのは、意外と謎に包まれている鬼頭先生の暮らしぶりについてです。プライベートでは喧嘩っぱやくて傲慢ちきな大人のひとですが、いつも身綺麗な恰好をしているので、きっとおうちも綺麗に違いない、と幼心ながらに予想しました。


――そして今、同じ町内でも、厳蔵さんや、藤田さんに預けられなくて、ほんとうに良かったと確信したのです。綺麗な鷹史、ぐっしょぶ★




その⑭ 【鬼頭家へようこそ!】


しのぶ「タワーだ……!」


▼ 見あげすぎて、倒れそうな忍


鬼 頭「タワーではないw かがり町は、景観条例があるからな……おっと!(支え)」

しのぶ「すごおぉい……、ここに住んでるの?」


▼ かがり町北部(町の一等地)、新築分譲マンション



外観からエロ……すてきな、マンションです。

鬼頭先生は元々都心の大学病院へ勤めていましたが、惜しまれつつもそこを辞めて、地元のかがり町で開業医となりました。しばらくは都心に借りていたお部屋からクリニックへと通勤していましたが、生活圏もかがり町へ戻そうと、住む場所を探していたのです。けれども中々良縁がなく、やっと巡り合えたのがこちらの物件です。



しのぶ「あ、ぼうはんカメラ……////」

鬼 頭「恥ずかしそうにピースをするな」


▼ 風除室、カードキーをかざす鬼頭先生


しのぶ「おーとろっく? ですか」

鬼 頭「そう、良く知ってんな。藤田のおっさんみたいな不審者を、侵入させないためのシステムな✧」


▼ エントランス・ホールが解放されました



かがり町のアートを飾ったラグジュアリーな空間です。夜間は暖かな間接照明が灯り、フロアをアダルティに演出しています。日中は、管理人さんと猫がいます。



しのぶ「ホ、ホテルだ……!」


鬼 頭「放心すんな、まだ入り口だぜー。ここ別に、高級マンションってワケでもないと思うんだがなァ……(※先生は、北部のお坊ちゃん育ち)」


しのぶ「えれべーた、ボタン押していいですか?」

鬼 頭「いいよ。連打すんなよ」


▼ エレベータ、召喚(高速)


しのぶ「お、おじゃまします……」

鬼 頭「そんな畏まんなって!」


しのぶ「あの、なんかいのボタン?」

鬼 頭「ん。英語のボタン」


しのぶ「これかな?(PH)」

鬼 頭「そうそう、ソレ」


しのぶ「なんてよむの?」

鬼 頭「水素イオン濃度指数」


しのぶ「えっ?」


▼ 水素イオン濃度指数。



(*σ - σ)? <(*`▽´*)>ʬʬ



しのぶ「まじめに聞いてます」

鬼 頭「あごめん。ペント・ハウスな✧」


しのぶ「え、(……ぺっとはうす?)」




その⑮ 【チーン♪(最上階)】


しのぶ「あれ。マンションなのに門があるよ」

鬼 頭「ハイハイ、今開けてやる」


▼ 玄関ポーチ(門扉)出現


鬼 頭「鬼頭家の門デース、ここをくぐったら忍も、鬼頭・・だからな」

しのぶ「きとう、しのぶ?」


鬼 頭「ああ。そうなってたかも、な……」

しのぶ「?」


鬼 頭「イヤ、こっちのハナシ。では忍くん、鬼頭家へようこそ✧」


▼ かがり町、お宅訪問 🏠



File2『鬼頭家 ψ(*`▽´*ψ』


最上階、メゾネットタイプの高級住戸です。

モダンかつエレガント、適度にアダルト成分も含んだ住居となっております。


まずは玄関から広く、すぐ横にシューズインクローゼットが設けられています。お洒落で運動好きな鬼頭先生のお履き物コレクションや、スポーツ用品などがディスプレイされる予定です(現在は、引っ越しの段ボールが積み上げられています)。一番目立つスペースには、お気に入りのバッシュを飾ると決めているそうです。今ではめっきりですが、バスケをしていた青春時代へと想いを馳せたいのでしょう。



鬼 頭「すまん、まだ片付かなくてよ……」

しのぶ「あ、バスケットボール!(抱)」


鬼 頭「で。スリッパが、大人用のしかないんだが……いる?(段ボール開封)」

しのぶ「いえ、持ってきました」


鬼 頭「……、(段ボールぽいっ)」



廊下の先には、開放感たっぷりの吹き抜けのリビングが広がります。内装は、黒とダークグレーを基調としており、二階ぶんの高さの天井からは、モダン・アートな高級照明がぶら下がっています。ふかふかの巨大ラグの上には、ダークブラウンのセンターテーブル。そして長身男性でも余裕のソファが二つ横並びになっています。うちひとつはカウチで、鬼頭先生のお気に入りです(ひとを寝落ちさせるソファ)。


リビングの西側は一面窓ガラスです。日中不在がちの鬼頭先生のため、遠く、偲び川を越えた先、都心の輝く夜景を望めるようにマンション規模で設計されています(かがり町のノスタルジックな夕焼けはもちろん、夏には偲び川の『花火大会』も見られます)。

北側はオープンキッチンと収納スペース、東側には二階へと続くスケルトンの直階段が伸びています。



鬼 頭「おい忍。頑張って窓張りついても、篠塚家は、方角的に見えないぜ」

しのぶ「そうなの。ふじた山は?」


鬼 頭「ふじた山も! 実はここ、松雪家が建てたマンションなんだわ。最後の一室を安くするってんで買わされたんだが、まさかの最上階でよォ! ……松雪オーラ、最近ばんばんマンション建ててんだろ。篠塚家のそばの土地にも、バカでかいのが建つんだってな」


▼ 篠塚家のすぐそば、『世界マンション』建築計画!


しのぶ「たか史が、じゅうみんせつめい会、いってたよ」

鬼 頭「あれ、条例でキメてる高さをぶち抜くらしいぜ……オーラ、どうすんだろなw」




その⑯ 【お二階、拝見】


しのぶ「きとうさん、かいだんのぼっても、いいですか?」

鬼 頭「おう。コート掛けにいくから、二階も案内するぜ」


▼ そして鬼頭先生は、後悔する……


しのぶ「下が見える、スケスケかいだん…… ワ!」

鬼 頭「うお危ね! 手すり使え、Σ手すりッ! Σちょ、そんなとこ座んな、Σ足ブラブラさせんなーッ!」



_(σ - σ_≣ σ - σ ≣σ - σ)/ ψ(*`▽´*ψ 💦


⚡ψ*`▽´*)ψ ∩(σ - σ∩≣ σ - σ)ノシ♪


\(σ - σ≣ σ - σ ≣σ - σ)ノシ ψ(*`▽´*ψ 💦💦



🔥⚡≣ * ` ▽ ´ *)ψ (σ - σ)



しのぶ「きとうさん、たのしいね……////」

鬼 頭「もう、おとうさん疲れたわ……」


▼ きとう しのぶは、意外とやんちゃ



吹き抜けの二階フロアは、本棚の並ぶ、オープンな書斎となっております。そこから東西へ部屋が分かれていて、主寝室、クローゼット(1室)、ルーフバルコニーなどがあります。



しのぶ「たくさん部屋がある……みぶんが、ちがう」


鬼 頭「つっても、かがり町の3LDKだぜ? 都心のマンションの最上階は、もっと比べものにならんくらいスゲェから」


しのぶ「上と、くらべすぎでは? (σ - σ)」

鬼 頭「Σごもっとも……!ψ(*`▽´*;」




その⑰ 【……ところで、先ほどから】


▼ さりげなく主寝室の扉を隠すよう立つ、鬼頭先生


鬼 頭「ざっと見てまわったが、間取りはおぼえたか?」

しのぶ「しんしつ、入っちゃだめなの?」


▼ もっと主寝室を隠すように立つ、鬼頭先生


鬼 頭「ウチもなぁ……ゲストルームっつうか、客用の布団でも置いときゃよかったぜ」

しのぶ「ふとん? いっしょでいいよ」


鬼 頭「ソファってのもの、可哀想だしよォー」

しのぶ「ふとん、いっしょでいい」


鬼 頭「アアー……どうしたもんか」

しのぶ「いっしょじゃ、だめなの?」


鬼 頭「あまりよろしくは、ない……」

しのぶ「ちゃんとお風呂はいるよ……」


鬼 頭「だってさァー…………」


▼ ふとよみがえる、都心の残り香



(*`▽´*) 。o(鬼頭家の寝室事情 ~淫行の数々🔞~)



鬼 頭「あのベッドで、寝かせたくねぇー………って、アレ。なんで忍が落ち込んでんだ?」

しのぶ「きらいに、ならないで……」


鬼 頭「なんかスマン(?)……あ、シーツだけは新品のにしような;」

しのぶ「うん……」


鬼 頭「忍……、忍くん、」

しのぶ「はい」


鬼 頭「鬼頭先生、独身だから……いろいろ許してください(恥)」

しのぶ「いいよ」




その⑱ 【一階、キッチンへ戻ってきました】


鬼 頭「さて忍、飯が炊けるまで時間かかるから、先に風呂はいろうぜー!」

しのぶ「おふろ? ひとりで入れるよ」


鬼 頭「え、Σおまえ小2だろ……鷹史と入ってんじゃねーの?」

しのぶ「いつもひとり。ひみつへいき、があります」


▼ 忍は、シャンプーハットを取り出した✧



✧(*σ - σ)_👑  (*`▽´*)?



鬼 頭「ブ ……ブハッ!(噴)」

しのぶ「Σなんでわらうの、なんで⁉」


鬼 頭「よしよし。風呂場はコッチ、着替えを持ってついてきな」

しのぶ「すごいんだよ、目が痛くならないんだよ!(ひっし)」


鬼 頭「ハイ、ハイwʬʬ」

しのぶ「ちゃんときいてよ(足しがみつき)」


▼ しのちゃんは、シャンプーハットを褒められたい(題)


鬼 頭「おまえ意外とガッツあるな」

しのぶ「……うん」


▼ 褒められなかった(了)




その⑲ 【ラグジュアリーバスルーム】


鬼 頭「脱衣所と、すでに見えているが、風呂場な」


▼ シャランラ~ン✧(ドア・オープン)



アラステキ。広々としたカウンタータイプの洗面化粧台と、その先に見えているのはガラス張りのバスルームです。西向きの巨大なFIX窓へ広がる、都心摩天楼の輝く夜景とともに、贅沢なバスタイムをご堪能ください。



しのぶ「Σまたスケスケだ……ぜんぶ見えちゃうよ⁉」

鬼 頭「ああ、でかい窓?」


しのぶ「窓の外をのぞくとき、窓の中のこちらもまた、のぞかれているんだよ」

鬼 頭「おおニーチェw」


▼ 近所付き合いに疲弊する、鷹史の教え


鬼 頭「大丈夫、大丈夫。外から浴室内は見えないからな……(多分)」

しのぶ「そうなんだ」


▼ あんまり気にしない鬼頭先生


鬼 頭「ボーッとすんなよ忍、……バスタオル、タオル(ぽいぽいっ)」

しのぶ「ふわふわ!(きゃっち)」


鬼 頭「一応、シャワーの使い方……お湯がでて、水がでる。俺のシャンプー、トリートメント、どれも自由に使って。顔用、これはボディーソープ」


しのぶ「あれ、せっけんは?」

鬼 頭「石鹸は……無い。逆に篠塚家の風呂場って、何がある?」


しのぶ「ふつうにせっけん、リンスいんシャンプー」


鬼 頭「エッ………… おまえんち、ブスなの?」


しのぶ「…… え?」


鬼 頭「え?(真顔)」


しのぶ「え?(真顔)」


▼ もっといろいろあるわぃ! byおこ鷹史




その⑳ 【お湯をはりました】


鬼 頭「このくらいの湯加減でどう?」

しのぶ「だいじょうぶ。いいにおいだね、きとうさん」


▼ 鬼頭の湯 ♨(オイルin)


鬼 頭「じゃあ俺、飯の準備するな。たまに溺れてねーか見に来るから」

しのぶ「うん…… あれ、」


鬼 頭「何をキョロキョロしてんだ、忍?」

しのぶ「おふろのイス、ふたもない……あれ?」


鬼 頭「は。要らなくね?」

しのぶ「!」


▼ よそ様のおうちにカルチャーショックを受ける、忍


  👑

 (*σ - σ) {まあいいや

人人人人人人



▼ カポーン…………




その㉑ 【精ちゃんの☆鬼くっきんぐ🍖】


鬼 頭「さて、やるか! ……ん?」



▼ PPPPP(でんわ)



鬼 頭「アイ鬼頭」


電話の森屋『あ、先生お疲れ様です。森屋です』


鬼 頭「どうしたのかな?」


▼ サロンエプロン巻き巻き by鬼頭


森 屋『はい先生。頼まれていたとおり、篠塚さんの様子を見にきました。で、お見舞いがてら、夕食の差し入れをしたのですが――あ、たまご雑炊です。作りました。篠塚さん食欲が旺盛でして、ペロリと平らげてくれました』


鬼 頭「へー……、で?」


▼ ワイシャツ腕まくり by鬼頭


森 屋「はい先生。それから、おかわりを要求されましたので、うちも近所ですし、急ぎまた作ってお届けに来たのですけれど、……待っている間に篠塚さん、熟睡されてしまったようです。現在、お玄関先で土鍋を抱えたまま困っている状態です』


鬼 頭「イヤ帰っていいですよ(棒)」


森 屋『はい先生。では帰らせていただきます』


▼ ピッ(でんわ終了)



鬼 頭「森屋なぁ……;」



▼ まだまだ融通の利かない頃の、森屋くんでした


(ノ□_□-){ほうれんそうが、大事ときいて;




その㉒ 【もっと鬼くっきんぐ🍖🍖】


鬼 頭「さて、やるか! ……ん?」



▼ ピンポン(インターホン)



鬼 頭「アイ鬼頭」


不審者F『あ、藤田です。そろそろディナーのお時間かなと思って、来てみまし――』



▼ ブツ(切)



鬼 頭「さあて忍に、ウマい飯を作ってやるか✧✧✧」




――次回、


🕗         👑🚿

 🍳(*`▽´*ψ ✧  (∩> - <∩)



――本当に、



((🥚🥚🥚 Σ(*`▽´*;) 🥚🥚🥚)) - σ)



――最終回 💝



m9(*`▽´*)✧ (σ - σ)

 

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