究極ふじたのたまご祭り①

前回までの、最後のあらすじ🥚💥


~ふじたの黙示録~

藤田は図書室にいた。

藤田はイースターを知った。

藤田は同級生たちをたまごの日のパーティーに誘った。

藤田は夜空の星々にたまごの日の大成功を祈った。

藤田のご近所さんたちが失踪した。

「たまご病」が蔓延した。



~かがり町滅亡の日~

藤田は「たまご病」の忍を発見した。

藤田は喜んだ。

藤田は「たまご病」の忍に食べ物をあげようとした。

藤田の好意は拒まれた。

藤田は「たまご病」の忍をお風呂に入れようとした。

藤田の好意は拒まれた。

藤田は「たまご病」の忍に温泉たまごをあげようとした。

藤田の好意は拒まれた。

藤田は「たまご病」の忍に温泉たまごをもっとあげようとした。

藤田の好意は諾された。

「たまご病」患者から初の復活が確認された。


★ かがり町上空に、なぞの浮遊物体が現れた。



~さよなら、かがり町~

「たまご病」の治療法が鬼頭精一郎により確立された。



★★ かがり町上空の、なぞの浮遊物体が落下し始めた。



~まほろば、かがり町~

(とくになし)


★★★ かがり町上空で、なぞの浮遊物体が怪電波も流してた。



これっきり。

これっきり最後の、究極ふじたのたまご祭り、改め真題――



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プロローグ 【ふじたの山頂のお客さん:万賀青羽】


かがり町の記憶 『あおばくん』



“ にっちょく しのずかくん ”



 その日、あおばは確かにそう書いた。

 次の日直にっちょくの子の、名前。


 喋った事はない。

 いつもひとり。

 ぽつんひとり座っている子。

 あおばといっしょ。

 あんまりクラスの子と喋れていない。

 どうしたら友達を作れるのか、わからない。

 友達はどうしたらなれるのかもわからない。


 ランドセルをしょって、あおばはひとり、帰ってく。



“ にっちょく /////  ”



 次の日、あおばの書いた名前が消されてた。

 黒板をごしごしと、こすったあとだった。

 あおばは、もいちどその子の名前を書いた。



“ にっちょく しのずかく ”



しのづか「そんな名まえじゃない」


 白のチョークを握る、あおばの手。

 その子につかまれ、止められた。


あおば 「?」

しのづか「かかないで」


 ぴしゃりと一言。それだけだった。

 その子は、教室を出てってしまった。


まつゆき「まちがってる」

あおば 「?」



“ にっちょく しの づ かくん ”



まつゆき「これ」

あおば 「しの……づ かくん?」

まつゆき「づ……で、しのづか、ってかく」

あおば 「!」


 名前を、まちがえてたのだ。

 しの づか くん

 もうまちがえないよ。

 あおばは、しっかりとおぼえた。


あおば 「しのづかくん!」

しのづか「……」

あおば 「しのづかくん!」

しのづか「……あ。ごめん」

あおば 「しのづかくん?」

しのづか「……なれなくて」

あおば 「しのづかくん?」

しのづか「……まだ、なれてなくって」


 けっきょく会話、続かなかった。

 けっきょくその子、窓の外ばかり見て、いつもの通り、さみしそうだった。



〇「篠塚くんって、ほら」

△「ああ、あの子! ・・・のおうちの子」

▢「篠塚さんって、そっちに籍も移ったみたい」

×「壮絶だったものね…」



 はじめての授業参観。

 その後の保護者のあつまりで、あおばの親が聞いてきた。

 その子の名前は、

 本当は、


 しのずかでも、しのづかでも、なかったようだ。


 謝りたいよ。

 あおばはずっと想ってる。

 ずっと想い続けていたのだけれども、

 いつの間にか、

 その子のまわり、

 いい友達が囲むようになっていて、

 おんなじひとりぼっちでも、あおばの入れるすき間なんて、なくなってた。



“ もっと、もっと想い続ければ、いつか謝れる日が、来るのかな。”



 ふじた山、山頂。

 この星見の祭壇で、あおばはひとり、眠ってる。



あおば「たまご……」



 さて。

 この祭壇のすぐ上空へと浮かんでいる謎の浮遊物体は、ひとりぼっちの、あおばの心の信号ねがいをキャッチしました。星見の祭壇とは、古の時代より続く、夜空の星々との交信場所です。日が沈み、星が瞬き、ついに、あおばの発する「たまご……」の心が拾われて。謎の浮遊物体は怪電波を流し始めたのです。


 謎の浮遊物体とは、いったい、何なのでしょう。


 この数日間。たまご病が蔓延してからというもの。かがり町全域には、ずっと謎の信号よびかけが流れていました。「たまご……」「たまご……」と。たまご病に罹った住民たちへの号令です。不特定多数の住民へと呼びかけていたのですが、今ぴたりと急に止みました。

 それから、「しのづか……」「しのづか……」と信号は変化して、今では一握りの住民のみに聞こえるようになったのです。



――ふじた温泉。


温泉のしのぶ「だれか、呼んでる」

ゆでふじ田 「ほえ」


しのぶ「いかなきゃ、」

ふじ田「しのちゃん?」

しのぶ「しのづか……」

ふじ田「し、しのちゃん?」


▼ 「しのづか……」と繰り返し呟いて、どこかへと消えてく忍



のん気なふじ田「しのちゃんってば、へへへ。こんどは “しのづか病” かなー?」


▼ 本当に消えてしまった、忍


仰天のふじ田「え。しのちゃ……⁉」


▼ しーん


ふじ田「うそ。し、しのちゃ―――――ん⁉」



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究極ふじたのたまご祭り、改め真題――


『さよなら、しのぶくん』


はじまり、はじまり。



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その① 【藤田の洞窟のお客さん:鷹史厳蔵たまただ精一郎守護】



―― ザアアアッ(究極の川のせせらぎ)



鬼頭「洞窟だ」

森屋「はい先生。洞窟です」


鬼頭「来た道を引き返し、川に沿って、下山のはずが」

森屋「はい先生。唐突に、洞窟ですね」

鬼頭「……」

森屋「……」

鬼頭「……」

森屋「先生、まさか……遭難です?」


▼ 立ち止まりしばし考え込む、鬼頭先生


鬼頭「行くか、戻るか」

森屋「あの先生。僕、重いですよね……いったん降りますか」

鬼頭「いいよ、ひとまず進む。……見ろ、森屋」

森屋「はい先生」

鬼頭「この川、……湯気立ってるぜ」

森屋「はい先生」

鬼頭「まえに、藤田奇太郎に聞いた事がある。ふじた温泉だ」

森屋「え?」

鬼頭「ふじた山ってさ、“藤田ども専用の温泉” があるんだと」

森屋「はあ」

鬼頭「ようは、藤田家の風呂場だな。ぶっちゃけそこで待ってりゃ、いずれ藤田に発見されんだろ✧」

森屋「あ、なるほど」

鬼頭「藤田頼み、ってのが癪だが。ついでだし、ひとっ風呂借りてこうぜ!」

森屋「はい先せ…… Σえぃ⁉」

鬼頭「Σうお! 突然耳元で、どデカイ声出すなやボケ」

森屋「僕は、ちょっと……他人と一緒は遠慮します////」

鬼頭「(無視!)しかし内部、スゲー湯気だな!」

森屋「はい。(……眼鏡が曇る)」


▼ 鬼森隊、洞窟内へ潜入!



その頃・鷹史「すっごい湯気だなぁ!」

その頃・厳蔵「そうですね~。いったいこの先に、何が(絶対温泉だろうけど)」


こだま先生「たまご……」


▼ 鷹厳+🥚、洞窟内を散策!



鬼頭「しっかし湯気、やばくねーか」

鷹史「やばいやば~い。もくもく白くてなんも見えね~」

森屋「はい先生。そして熱いです」

厳蔵「あれ鷹史さん、今もしや、俺の貸したシャツ……濡れてピタリと纏わりついてるんじゃ」


こだま先生「たまご……」


鬼頭「ア? 鷹史ィ?」

鷹史「お? 先生ぇ?」

森屋「は? 濡れシャツ……」

厳蔵「あれ何か、人数増えてます?」


こだま先生「たまご……」


鬼頭「?」

鷹史「??」

森屋「???」

厳蔵「????」


こだま先生「たまご……」


▼ しめりけ洞窟に響く「たまご……」


鬼頭「たまご……?」

鷹史「た、たまご?」

森屋「たまご……?」

厳蔵「声で点呼とります。一たまご、二たまご、三たまご……俺で、四たまごだろ」


こだま先生「たま五……」



びっくり一同「えっ!(増えてる!)」


▼ 一斉点呼



鬼頭「アー……鷹史か?」

鷹史「そ、その声は鬼頭さん」

森屋「篠塚さんですか」

鷹史「は? お前ダレよ」

森屋「き、近所の森屋です;」

鷹史「お。まもるんくんっ★」

鬼頭「Σブハッ(爆笑)」

森屋「その呼び方、やめて下さい;」

鬼頭「……と、もう一匹は」

厳蔵「……」

鬼頭「絶対ゴリラだろ✧」

森屋「ゴリラ? え、ゴリラがいるんですか?」


▼ 湯気で視界不良だが、森屋くんの真顔


厳蔵「えーと。山形やまがたです。山形ご――」

鬼頭「ゴリラです✧(声まね)」


▼ 湯気でなんも見えないが、森屋くんの吃驚


森屋「はあ……(山型+ゴリラ)、マウンテン・ゴリラ?」

鬼頭「Σアハッ(倒れ込んで爆笑)」


厳蔵「あのねぇ先輩。あんたもそろそろ中年なんだから」

鬼頭「ウルセェウルセェ! ゴリラだってそろそろ中年だろがッ」

厳蔵「Σ自分はまだ執行猶予があります」

鬼頭「ねーよボーケ」


▼ フヒー……(たかしの溜息)


鷹史「おじさんたち、バカみたい。醜い争いは、やめて」


鬼頭「フン!」

厳蔵「フン!」


森屋「すみません悪気はありません;」


こだま先生「たまご……」


▼ たまご……


鬼頭「ん⁉ あと、もうひとりいるよな」

鷹史「たまご先生な★」

鬼頭「何。新たな、たまご病患者か⁉ すぐに治療してやる」

森屋「!」

鷹史「ええ。治療法みっけたの?」

鬼頭「任せとけ、すでに森屋に試した!」

森屋「……」

鷹史「ほーん。さっすが鬼頭医院♡」


▼ だんだんと、明るく開けた場所に近づいていく


鬼頭「ところで鷹史。テメーやっぱり、ふじた山へ来てたんだな」

鷹史「そう。そんでもってピンチのところ、マウンテン・ゴンゾーに助けて貰った♡ ね♡」

厳蔵「いや~良い仕事、しましたよ!(お互いにね)」

鬼頭「ほーん。グッジョブ、ゴリラ」

厳蔵「先輩に褒められるとキミが悪いっす」

鬼頭「ア?」


鷹史「いやまじで、ゴンゾー来なかったら危なかったわ。たぶん俺、」



▼ 視界良好、ふじた温泉へと到着



とても綺麗な鷹史「無傷じゃあ、帰れなかった……と、思うんだ♡」



▼ どどーん (※濡れシャツ姿の、鷹史🔞)


鬼頭「 」

森屋「 」


▼ 絶句する、鬼頭医院のふたり


鬼頭「え 。無傷って何。ていうか何。何した? 何された?」

森屋「篠塚さん風邪、引きま、すよ」

鬼頭「完全事後だろ。つーか 事後だろ。 え」


厳蔵「いや~良かったです、本当!(ツタから解放できて)いい具合で!(助けられて)」

鷹史「そんで、すっごい激しかった!(胡椒からの、くしゃみが)……油断すると、まじ穴から垂れてきそう~(鼻みじゅが)……あっ、手首に酷くされた痕ついてらァ~」


厳蔵「え、Σうお! なんです、先輩!?」


鬼頭「……沈めっぞ。ゴリラ沈めて。鷹はもう手加減しねぇから、覚悟しろやゴルアアアア!!!!」

森屋「せ、先生⁉」

鷹史「お? おお……ちょ! 鬼頭さんダメ……ダメ、くぁwせdrftgyふじたlp」


▼ その後、小一時間かけて誤解を解きました



放置中のこだま先生「まだたまご……」



 

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