小学生編

藤田くん主役 🐸

ふじたの森

かがり町には、ふしぎな一家が暮らしています。

ふじたの家は、樹海だよ。


※これはかがり町のおとぎ話です。


日記のようにちょっとずつ書いていきます。

ふじたのご近所の、いろんな住民・猫たちが出てきます。

いつかおわるまで、しょうしょう、おつきあいください(主役・藤田)


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その① 【藤田と作文】


題名 『ぼくの家族』


 ふじたのおとうさんは、寄太郎です。

 (× 奇太郎だよ。ぱぱより)


 ふじたのおかあさんは、妙子さんです。

 (◎ よく書けました。ままより)


 町のひとには、ふたりあわせて、きみょうなふうふと呼ばれてます。


 ぼくは、はじめです。なんでも一番になるようにつけてもらいましたみたいです。がっこーでは体育はいつも一番みたいです。とび節がすきです。

 (× とび箱だと思う。 しのづか忍)


 国語はかん字は0点です。したから一番でした。算数はだいすきです。運命にみちびかれて正かいできます。 あとなにかあるけど、わすれました。


▼ つづく



しのぶ「なにこれ」

ふじ田「しゅくだいだよー」

しのぶ「思わず訂正いれちゃったよ、ごめん」

ふじ田「すごいでしょ!」

しのぶ「う、うん……」

ふじ田「しゅくだいするの、わすれなかったんだー」

しのぶ「うーん……」

ふじ田「あれ? しのちゃん、どしたー」

しのぶ「あのさ、ふじ田。読めない」


ふじ田「え」


しのぶ「これ絶対、先生に再てい出くらうと思う」

ふじ田「しょっく!」

しのぶ「こっちがショックだから、朝からなにこれ。ていうか宿題なのに “つづく” ってなに」

ふじ田「スペクタル長編! になるヨカン」

しのぶ「どこでおぼえた、その単語……」

ふじ田「しのちゃんは、どんなの書いたの?」

しのぶ「ひみつ」

ふじ田「たか史くんのこと?」

しのぶ「家族のことだから、まあそうなるよ……なんだよ」

ふじ田「へへへ」

しのぶ「……なに」

ふじ田「ぼくのこと、書いた?」

しのぶ「ごめん。いっぺんたりとも、ふじ田は思い出さなかったな」

ふじ田「そうなんだー 心ぽっきり」




その② 【藤田と夏休み】


 きょうはしゅうぎょう式です。

 そして夏休みです。 やったー

 ねむれなくて、あさ匹時におきました。

 もう夏休みの心でしたが、がっこー行くことにしました。

 父さんはまだ家にかえってませんでした。たまごごはんを食べました。


 ひまなので虫たちとあそびました。

 ひらひらかがりげらが2メートルになりました、とぶと、ひこうきみたいです。

 かがりほうじゃくもぱたぱたしてます。1メートルうれしいね、でも重そう、ふとったよ。

 あとの虫は、しょくぶつの下とかで、ねてました。 はちみつおいしー

 池のおたまじゃくしが元気でした、いつのまにかせいそくしてました。

 カエルこわい。


 きょうは半日でかえれる日です。ラッキーです。

 きょうしつにいきました。きょうは、しのちゃんが元気がないです。元気をわけてあげようかと重いました、元気はいらないといわれました。


 かえりました。


▼ つづく



しのぶ「もう夏休みの日記を書いてるんだ。えらいなふじ田。そして “つづく” 再び」


ふじ田「はやめ、はやでき! ほめてー」

しのぶ「?」

ふじ田「いつも二学期はじまってから、しぬきでやるでしょ。それはひ・こうりつてきと思ったんだー」


しのぶ「ふじ田の口から効率! だいじょうぶ、あたま?」


ふじ田「しのちゃんこそ、だいじょうぶ? おなかへったの? 校長せんせーのながいはなしのとき、フラフラたおれそうで顔まっさおだったよー」


しのぶ「うん……風邪かな」

ふじ田「えー、かぜ? いいなー」

しのぶ「よくないよ!」

ふじ田「すごいことだよ! シロップのめるし、保けん室でねむれるし、そうたいできるんだよ!」


しのぶ「……そ、うだね」

 しのぶ「……そうだけど、」

  しのぶ「……帰り道だし、もう学校終わったし、ていうかすぐ夏休みなんだけど」


ふじ田「あとで、しのちゃん家あそびにいくねー!」

しのぶ「Σ今日これから? えっと、風邪うつるよ」


ふじ田「うつらないよ?」


しのぶ「あそっか。じゃあ、お見舞いきてよ」

ふじ田「うん! あとで、おみまいするねっ!」

しのぶ「……(なんかミサイル飛んできそう)」




その③ 【藤田事変】


メモ 『はじめちゃんへ』


 はじめちゃん、学校おつかれさまでした。

 あすから夏休みですね、いっぱい遊んでステキな思い出をたくさんつくってね。


 ままは、森へいきます。

 瞑想し、滝にうたれてきます。

 しばらく帰りません。

 今日からごはんは、ぱぱと考えてね。栄養のバランスも考えてね。奇太郎ちゃん、今はぐっすりねむって、夢のなか。お仕事がんばったみたいだから、起こさないであげてね。

 ままより


 追伸・奇太郎ちゃん、今月からおこづかい制にしました。


▼ 母、家出



ふじ田「これはたいへんだー」




その④ 【藤田とギャル】


♪ ピンポーン


ふじ田「しのちゃーん……」



買い物帰りの 綺麗な鷹史「げ」



ふじ田「あ……たか史くん」

綺麗な鷹史「きみは……ふ、藤田……くん! うちの前で泣きそうな顔をして、どうしたんかな?(ドキドキ)」


ふじ田「しのちゃんいないの?」

綺麗な鷹史「忍? いるけど……ごめんね。さっき帰ってきたんだけど、寝込んじゃったんだ」


ふじ田「かぜー?」

綺麗な鷹史「風邪……だと思う。今朝学校へ行った時は、元気だったのに」


ふじ田「今日、しのちゃん元気なかったよー」

綺麗な鷹史「まじで?」


ふじ田「まじだよー」

綺麗な鷹史「え……やばい。やばい俺、やっぱり気づかなかったんだ。うそうそ、ごめんねしのぶ……やだ」


ふじ田「たか史くん?」

綺麗な鷹史「こ、このまま……しのぶがししし死んじゃったらどうしよう……、お、俺もう生きてられないよ……しのう、そうしぬ、もうだめ、だめしぬ……」


ふじ田「かぜ?」

綺麗な鷹史「どうか俺を……おいてかないで……うっ、うう、うっうっ」


ふじ田「よしよし」


▼ なぐさめる、ふじ田


ふじ田「つかってー」


▼ ぐしゃっとしたタオル


ふじ田「そんなことより、たか史くん!」

綺麗な鷹史「Σハイ! ふぇ!?」


ふじ田「今日も、“ぎゃる” だねー」

綺麗な鷹史「……ギャル? どこでおぼえたその単語」


ふじ田「父さんがいってたよー」

綺麗な鷹史「ああ、奇太郎」


ふじ田「その、チカチカふしぎなふく、どこでうってるのー」

綺麗な鷹史「これ? このシャツ? ふつうの豹柄じゃん。その辺で売ってると思うけど」


ふじ田「まえ、すごいパッカリあいてるねー」

綺麗な鷹史「そうそう。胸元あいてた方が、涼しいじゃん★」


ふじ田「かみの毛もぎゃる。たか史くん、今日もきれいー」

綺麗な鷹史「んーさんきゅー。でもそろそろ年相応にしないとダメかなって……店でも絡まれちゃうし」


ふじ田「たか史くん、なんさいなのー」

綺麗な鷹史「ん?(美しい笑顔)」


ふじ田「たか史くん、なんさい?」

綺麗な鷹史「ん?(美しい笑顔)」


▼ 沈黙



綺麗な鷹史「ところでねぇ、奇太郎生きてる? 昨日、ちょう酔っ払って帰ったんだけど~」

ふじ田「あのね、」


綺麗な鷹史「今日もうち寄ってくれるかな、奇・太・郎。今日はね、ハモの天ぷらやるつもり。あと夏野菜、オクラたくさん貰ったんだ! 天ぷらとネバネバ祭りしちゃう!」

ふじ田「あのねのね、」


綺麗な鷹史「興味あるなら、藤田……くん、きみも食べてけば?」

ふじ田「うーん……おいしそうだけど、たか史くんあのね、」


綺麗な鷹史「なに。なんか苦手? オクラ、山芋? メカブ? きみ好き嫌いなく何でも食べるっしょ」

ふじ田「うちの父さん、おこづかい制にされちゃったー」


綺麗な鷹史「あ。……妙子さんついに、キレた?」

ふじ田「なぞ」


綺麗な鷹史「むしろ妙子さん来てくれないかな~。カウンターが華やぐだろうな~……俺、本気のサービスしちゃう★」

ふじ田「ぶじに帰ってきたらいっとくよー」


綺麗な鷹史「あれ、妙子さん旅行かなんか?」

ふじ田「家出だよー」


綺麗な鷹史「えっ」

ふじ田「家出だよ……ぐすん」


綺麗な鷹史「えっ」

ふじ田「すん……」


綺麗な鷹史「まあなんだ、立ち話もなんだし……なか入ろっか」

ふじ田「わーい! おじゃましまーす」




その⑤ 【藤田とお医者】


――鬼頭医院。


事務員・森屋「先生、篠塚さんから先生宛てのお電話です」



▼ ガシャガシャ ガシャン(椅子から転げる音)



森屋「わっしょい」

鬼頭「――な、何事でしょう。森屋くん」


森屋「僕の台詞ですよ。坂上のおうちの篠塚さんです」

鬼頭「篠塚、鷹史……!」


森屋「じゃあ僕、お昼行ってきます。先生の分なにか適当に買ってきましょうか?」

鬼頭「いや、大丈夫……誘いかもしれないので、あ、昼食のですよ」


森屋「そうですか。外出なさります? 僕、パオさんの中華屋に行こうかなって。もし午後の診察まで戻られないようでしたら連絡下さい。僕、一度 “実家へ帰らせて頂きますので……”」


鬼頭「連絡します」

森屋「では」


鬼頭「――チッ。感じ悪ィな、森屋」



▼ Push(通話ボタン)



鬼頭「よォ~鷹史! メシでもいくか?」

でんわのふじ田『もしもし、しのづかですこんにちわ』


鬼頭「アー (撃沈)」

でんわのふじ田『きんきゅうじたい、はっせい!』


鬼頭「藤田かよテメー……倅のほう」

でんわのふじ田『ぴんぽーん』


鬼頭「ウルセェウルセェ営業妨害、暇じゃねんだよ開業医舐めんなや」

でんわのふじ田『せんせい、あのね。しのちゃんかぜなんだー』


鬼頭「何故それをお前藤田が電話してくる――鷹史は?」

でんわのふじ田『これはふじたの、どくだんです!』


鬼頭「藤田の口から独断! まじか、どんな感じ?」

でんわのふじ田『たか史くんお店のじゅんびと、かんびょうとでパニックだし、しのちゃんはすごくつらそう』


鬼頭「忍かァ……しょうがねぇ、診に行く! 伝えとけや」

でんわのふじ田『せんせい、ありがとお!』


鬼頭「それで、お前は風邪を貰わねぇうちに撤収しな」

でんわのふじ田『え、ナンデ。もらわないよ?』


鬼頭「あそうか、藤田だったな。――了解」

でんわのふじ田『またねー』




その⑥ 【藤田とねこりんご】


鷹史のレシピ帳 『甘味編』


◎くだもの嫌いの忍のために、タカシがんばる!!


『りんご大福』:忍、一口だけ。

(和菓子で落せないタカシ切ない)


『りんごゼリー』:忍、香りを楽しんで飾る。

(部屋の芳香剤じゃねえ!)


『りんごパイ』:忍、食べ方わからず口内に突き刺してしまう!

(かわいそう)


『フレンチ・アップルパイ』:忍、苦そう。

(ガトーさんのレシピ大人向けすぎた。材料費)


『アップルトライフル』:忍、真っ青。

(闇すぎる。あのイギリス人許すまじ)


 ~日々のりんご奮闘記録~


『りんごサンド』:忍、もううんざり。

(顔には出さないタカシ涙)


 ~新作メモ~

『焼きリンゴにカスタード、りんごカスタード、パンか焼き饅頭、もうひと味、ねこ』



▼ 篠塚家のキッチン。



 テーブルの上に、鷹史のものと思われるボロボロの手帳と、ふしぎなお菓子が、ちょこんと乗っていた。その、まんまるに、ぴょこっと耳のようなものがついたシルエットは、まさしく?


ふじ田「ねこ……!」




その⑦ 【藤田と尋問】


綺麗な鷹史「――で。りんごのおやつ、食べたろ」


ふるふる首を振るふじ田「!」

綺麗な鷹史「そんな口いっぱい、頬張っちゃって。ここにあったおやつ、食べたっしょ?」


しゃべれずとぼけるふじ田「?」

綺麗な鷹史「きみね、餌を頬張るハムちゃんかっつーの、絶対食べたろ?」


こっそりもぐもぐする藤田「う゛」

綺麗な鷹史「わかった、わかったからほら、飲み込んでいいから。ごくんしな、ごくん!」


ごくんするふじ田「ふぅ。おいしかったー」

綺麗な鷹史「ほんと!? ほんとに美味しかった!?」


ふじ田「たか史くん、あれなぁに……ねこ? おいしー! ほっぺた落ちちゃう!」

綺麗な鷹史「やっぱり食ってんじゃんw」


ふじ田「あうち」

綺麗な鷹史「いいよ別に。忍のおやつだったけど……あの様子じゃあ、どのみち食えないだろうし」


ふじ田「(はんせいちゅう)」

綺麗な鷹史「そうだ! ねぇ、藤田……くん」


ふじ田「なあに」

綺麗な鷹史「栄養満点の、りんごを摩りおろすから、忍に食べさせるの……手伝ってくれるかな?」


ふじ田「はーい!」

綺麗な鷹史「いいお返事!」


▼ とことこ階段上がって、篠塚家三階・忍のお部屋



しのぶ「いらない……ごめん」


綺麗な鷹史「ガーン」

ふじ田「しょっく」


しのぶ「食べれない、たぶん……すぐ吐く」


綺麗な鷹史「しのぶぅぅぅ! ツラいね、苦しいね、俺なんかピンピンしてるのにさ……ナンデ? なんで忍がこんな目に遭うの? できることなら、俺が代わってあげたいよ……うう、ううっ」


ふじ田「たか史くん、つかってー」


▼ もっと、ぐしゃっとしたタオル


綺麗な鷹史「うう、ううう……忍が、忍がかわいそう!」


▼ ぶええええええ(鼻ちーん)


ふじ田「そんなことより、しのちゃん!」

しのぶ「な……に」


ふじ田「すりりんご、たべてー」

綺麗な鷹史「あ、たべてー★」


しのぶ「ねぇふじ田。話、聞いてた?」


ふじ田「あ りとる」

綺麗な鷹史「ムリムリムリしなくていいっ! 忍はりんご、ちょっとだけぇ、嫌いだもんね★」


ふじ田「そうなの? しのちゃんりんご、きらいなの?」

しのぶ「実は、……ちょっとどころか、けっこうキライ」


綺麗な鷹史「まじか――――ッ!」

ふじ田「そうなんだー。じゃあさっきの、ねこりんご、ぼくがたべて結果よかったね!」


綺麗な鷹史「ねこ……りんご?」

ふじ田「ねこりんご(にっこり)」


綺麗な鷹史「あ~そうね。結果、よかったかも」

ふじ田「うんうん(ぽへっ)」


綺麗な鷹史「今までごめんね、忍。タカシもう、忍にりんごとか……きょ、強要しない!」


しのぶ「え……なにそれ」


ふじ田「このすりりんごも、ぼくたべちゃうねー」

綺麗な鷹史「残念だけど、食べちまえ~」


ふじ田「たか史くん。ぼくならりんご、いつでもよろこんでたべるよ!」

綺麗な鷹史「ひとまず下の階へおりようか、テーブル使って、ゆっくり食べていいかr……」


ふじ田「すりりんご、いただきまーす!」

綺麗な鷹史「Σちょ、ここで⁉」


しのぶ「ふじた……勝手に、なに」


ふじ田「え?」

綺麗な鷹史「え?」


しのぶ「……セ、」

 しのぶ「……カ エ セ、」

  しのぶ「……すりりんご、食べるから……カエシテ!」


ふじ田「ひえ!」

綺麗な鷹史「でかした藤田ァ! 忍、あーんして、あーん! ハイよくできました~!」


しのぶ「もぐもぐ……あの、ねこりんご(?)も、ぜったい食べまふ!」


ふじ田「しのちゃーん。よかったね、たべれたー」

綺麗な鷹史「Σしのぶぅぅ、タカシ泣いちゃう!」


ふじ田「タオルぐっしょり」

綺麗な鷹史「栄養満点のりんご、忍はこれから好きなってくれるかな?」


しのぶ「はい、だいすきです! ぜったい大好き、ですっ!」


ふじ田「おめでとー ふじたの森の “はちみつ” があれば、りんごはもっとおいしいよ」

鷹史「Σそれだ! ってもうこんな時間、タカシ★開店準備してきまーす」


▼ 店の調理場へ移動する、鷹史




その⑧ 【藤田と恋煩い】


――割烹たかしの『只今 準備中』


鬼頭「Σん っなんつー格好してんだ鷹史あの野郎!」


▼ 驚愕で、固まる鬼頭先生



鬼頭「客、誘ってんのか? いやいやいや。いやいやいや。店の仕込み中だろ。しかし裏口の戸を開けっ放しだろ。俺が来んの知ってんだろ。俺ァ、絶対ここ通るだろ。……え、なにあの恰好、なにあの服……エっロ。あの馬鹿、まじで昔っからズレてんだよ。エロ過ぎるだろが。つーかエロい」


▼ どうしてもその場から動けない鬼頭先生



おむかえふじ田「やっほー せんせい」


のけぞる鬼頭「Σの、覗いてねぇぞ!」

ふじ田「のぞ? たか史くんより、しのちゃんをみてあげて」


鬼 頭「あ、ああ。少し待って、最後にもう一目……」

ふじ田「せんせー はやくー」


鬼 頭「ああ! ああわかってるから、もう少しだけ鷹史を見……」

ふじ田「せんせー せんせー せんせー はやくー」


鬼 頭「Σ先生いま行きますから、患者さんに悪いのでデカい声出すなやガキッ!」

ふじ田「にげろー」



▼ 篠塚家三階、忍のお部屋



鬼 頭「よぉ、忍!」

しのぶ「きとう先生?」


鬼 頭「少し診るから、寝巻きの上……脱げるか?」

しのぶ「わ、わざわざすみません」


鬼 頭「藤田。診察するから、外して」

ふじ田「は、 Σはい!(どきどき)」


▼ なぜか忍の寝巻きのボタンを外しはじめる、藤田


しのぶ「……」

鬼 頭「何してん、藤田」

ふじ田「あれ?」


しのぶ「……やめて」

鬼 頭「忍のボタンを外せとは言っていない。部屋から退出しろってこと」

ふじ田「わおー」


▼ 鬼頭先生の検診


鬼 頭「忍、目だけ上見て……OK。つぎ鼻……OK。口開けて、ベロ出して……おっと、」

しのぶ「のど、いたいです」


鬼 頭「そうだな。体温計……38.2℃」

しのぶ「かぜですか?」


鬼 頭「頭痛、腹痛、発熱、発疹、悪寒、倦怠感、そして喉の腫れ……注射打っとくか」

しのぶ「……っ!」


鬼 頭「とかつってる間に、注射おわってマース」

しのぶ「はやっ(痛くない)」


▼ 鬼頭先生は、注射上手


鬼 頭「もう横になっていいぞ」

しのぶ「はい」

鬼 頭「忍の喉から取ったこの “検体”、すぐ調べるから少し休んでな」


▼ 鬼頭先生は、医者鞄から検査キットを取り出した


鬼 頭「忍、とりあえず一週間の外出禁止だ」

しのぶ「え……そんなに」


鬼 頭「コレさ、まわりに感染するんだよ。特にこども、勿論大人もだ」

しのぶ「あの、かぜですか?」


鬼 頭「今回はいわゆる風邪ではなく、“溶連菌感染症”。それから扁桃線も心配だな、忍」

しのぶ「ようれん……きん?」


▼ 溶連菌感染症🍓


鬼 頭「舌出して。ほら、鏡で見れるだろ。イチゴっぽい特徴的な舌になっている」

しのぶ「イチゴ、うわ(※マッハでキライになった)」


鬼 頭「お薬を出します、しばらく安静にして経過をみせにまた来て下さ……診に来るからな!」

しのぶ「はぁ。せっかくの夏休みなのに」


鬼 頭「身体が疲れたんだ。早く治して、鷹史を安心させてやんな」

しのぶ「はい。ありがとうございます」


鬼 頭「ひととの接触は禁止、これを厳守するように。処方箋と指示書は、鷹史へ渡しとく」

しのぶ「あの、藤田もやばいです?」


鬼 頭「藤田? ……は、問題無い✧」

しのぶ「ねます。(断言)」


鬼 頭「帰る!」




その⑨ 【藤田と忠告】


鬼 頭「終わったぜ、藤田」

ふじ田「せんせい、しのちゃんはー?」


鬼 頭「一週間安静。」

ふじ田「あそべないの?」


鬼 頭「絶対安静。」

ふじ田「ぼくにできることは…」


鬼 頭「帰宅すること。」

ふじ田「しょっく」


鬼 頭「俺も、鷹史に詳細渡して病院帰るわ」

ふじ田「ありがとお。たか史くんならいま、おそとにいるよ」


鬼 頭「そう……Σは! あのエロい服で!? 倫理上まずいだろ!」

ふじ田「りんり? あ、せんせい、ばいばーい」


▼ きとうダッシュ




その⑩ 【藤田と忍】


ぽむぽむ。ぽむぽむ。


しのぶ「ん。ねむれる病人の頬をつついて遊ぶのは……ふじ田だな」

ふじ田「へへへ」

しのぶ「……なに、いつまでいるの、ふじ田」


ふじ田「しのちゃん、だいすきだよ。はやくよくなってねー」


しのぶ「え……あ、ありがとう」

ふじ田「ぼく、うたうよ!」

しのぶ「う、うん?」


♪ ふじたの子守唄 (うた・ふじ田 #天使の歌声)



ねむれー ねむれー むしかごのなかー

むしがいっぴき むしがにひき むしがさんびき

むしがよんひき むしがごひき むしがろっぴき…

むしが…… ∞ ∞ ∞



しのぶ「(さいあくの悪夢にうなされそう)」


ふじた田「おやすみ、しのちゃん」


zzz...。

ゆったりと。

そして、日が暮れる……。




▼ ふじたの森のぶんきてん


こどもたちは、夜のふじたの森へ・つづく (未執筆)

おとなたちは、オトナのおまけへ・つづく (未執筆)

 

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