辛い時こそ見たいハイテンション映画……「アドレナリン」
――殺し屋のチェリオスはマフィアのリッキーから猛毒「北京カクテル」を打ち込まれてしまう。アドレナリンを出し続けなければ心停止、即死亡というその毒を食らったチェリオスは、リッキーをぶち殺し毒から逃れるため、アドレナリン全開でLAを爆走していく――
ジェイソン・ステイサム主演映画でおそらく一番ブッ飛んでいる映画は何かと問われたら間違いなくこの作品が挙がるだろう。スポーツカーをぶっ飛ばし敵をスタイリッシュに始末し、しゃがれた渋い声と男の美学と色気全開な強い男ステイサムが破天荒に暴走しまくる映画、それが「アドレナリン」だ。
マーク・ネヴェルダイン&ブライアン・テイラー監督の尖った作風がフル回転する今作は「アドレナリンを出し続けなければ即死亡」という猛毒に侵されたステイサムがとにかくアドレナリンを出すため形振り構わず暴走していく。映画のストーリーは直球にそれだけで構成されており、毒を打ち込んだクソ野郎をとっ捕まえてやる!という闘争本能と生存本能だけで突っ走る内容だ。
それゆえにブッ飛んだ光景が連続していく。ステイサムはアドレナリンを出すためにエフェドリンを打つ、レッドブルを飲みまくる、コカインをキメる、AEDぶちかます、と暴走を繰り返し、その過程で色んなヤツがポコポコ死んで行くし、グロテスクな描写も連続するし、監督と脚本がトリップしながら映画撮ったんじゃないかと思うくらいなガンギマリ演出も連続していく。映画全体がCrank(原題。覚せい剤のスラングだとか)みたいなもんである。
だからこそギリギリカッコよくないステイサムがのた打ち回る姿がコミカルかつ破天荒に描かれるので面白い。入院着一枚でナニをギンギンに勃たせながら白バイを立ち乗りして爆走するステイサムなんてこの映画ぐらいでしか見られないし、彼の暴走に振り回され続ける人たちや、ガチギレのステイサムにぶっ殺される人たちも同じくらいコミカルに描かれている。
で、これのどこが辛い時に見る映画なんだろうか?と思う人もいるかもしれない。B級タイトルだしお世辞にも万人受けする映画でもないだろう。
ただ、ストレス多い今のご時勢。本能をむき出し、お構いなしに自由奔放に暴れまわるステイサムの姿には痛快感がある。気にいらねえヤツはぶっ飛ばすし、銃も撃つし、死にたくないのでアドレナリンを出しまくり暴走し続ける。辛い事に縛られてがんじがらめになってる時に見ると、その姿に羨望すら思える。映画自体もヤクみたいなもんで、こんなトリップ感覚の映画でも世に出たっていいじゃん、という気持ちにさせてくれる。そんな映画だ。
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