バディアクションの最高傑作……「リーサル・ウェポン」
――とある女性の飛び降り自殺を調べていた刑事、マータフは死亡した女性がベトナム戦争時代の戦友の娘と知り、裏が無いか捜査を始める。一方、妻を交通事故で失い自暴自棄になり自殺願望に取り付かれた麻薬課の刑事リッグスはマータフの捜査へ参加する事を命ぜられ、2人はコンビを組む事になる。だが、2人は真相を追っていく内に、犯罪組織の陰謀に巻き込まれていく――
バディアクションものというジャンルがある。主役2人がコンビを組み、共に戦い難題や事件に立ち向かう――というものだ。今作はそんなバディアクションの刑事ものでもズバ抜けて知名度があり、そして完成度が高い名作だ。
監督するリチャード・ドナーの手腕、秀逸なキャラクター造詣と脚本を残したシェーン・ブラック、そしてメル・ギブソンとダニー・グローヴァーという2人の名優、その他素晴らしきスタッフと出演陣が成せた作品だろう。
4作続いたシリーズの記念すべき一作目だが、実は一番異質な作品である。シリアスではあるが軽さも含み始めた2、コメディとシリアス入り混じる軽快なアクション映画であった3・4と比較すると重油の様に重くてシリアスな出来になっている。
映画自体はオーソドックスなバディアクションだが、主役2人の対比が映える。刑事としての限界にさしかかりつつある家庭人マータフ、そして妻を交通事故で失い絶望の縁にいて自殺願望のある破天荒刑事リッグス。どちらも正反対のキャラクターであり、何かと衝突したりするが、根の「タフで悪党を許さない刑事」である部分は共通しており、事件を通して互いを理解し、相棒として活躍していく。
マータフは破天荒なリッグスに対して最初は当然ブチ切れるし、リッグスは痛々しいほど自暴自棄で殉職してもそれでいい、と言わんばかりの行動を繰り返す。見ていてギスギスするが、やがて事件を追う内に2人は互いの境遇を知り、相棒として捜査に乗り出し巨悪へと立ち向かっていく。2人が打ち解けて強力なコンビとして巨悪に立ち向かう過程を感情移入して見ていると実に気分がいい。
それだけに、マータフの家庭が脅かされ、リッグスも命を狙われてからの悪役への反撃が実に痛快である。映画としてのカタルシスも用意されている。
映画自体も単なる巨悪と立ち向かうアクション映画に終わらず、最初は自殺願望に取り付かれたリッグスという絶望の縁にいる男が、家庭を愛するマータフと知り合った事で思いとどまるという救済の話も描いており、実際にシリーズ全体を通してこの救済が描かれている。単なるおちゃらけアクション映画だけじゃない人間ドラマ描写も優秀な作品だ。
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