今日から僕が大統領!ホワイトハウスのファンタジー……「デーヴ」

 ――派遣会社の社長を務める男、デーヴ。人懐っこく心優しい彼には現職のアメリカ大統領・ミッチェルに瓜二つという特徴があり、デーブは大統領の物真似を得意技としていた。ある日、彼はホワイトハウスから一晩だけ大統領の替え玉になってほしいと依頼が入る。一世一代の仕事をやり抜いたデーブだったが、その晩に大統領が脳卒中で倒れ意識不明となり事態は一変。大統領特別補佐官の指示により本物の大統領とすり替わったデーブは持ち前の明るさと心優しさや大胆な改革で“大統領”として大衆の支持を得ていくが――


 「ゴーストバスターズ」など多くのコメディ映画を手がけたアイヴァン・ライトマン監督作品。主演は「ワンダとダイヤと優しい奴ら」のケヴィン・クライン、そのほか、シガニー・ウィーバー、ケビン・ダン、フランク・ランジェ、ベン・キングズレーなど豪華俳優陣が脇を固めるほか、オリバー・ストーンやシュワちゃん等豪華ゲストが本人役で登場する。


 ストーリーはコメディ映画らしくファンタジー色が強い。冷酷な大統領と陽気で心優しい男が入れ替わってしまったら?という突拍子も無い話だが、主人公デーヴのずば抜けた明るさと心優しさが、社会と政治を変えていくという筋立ては痛快だし、替え玉として突然訪れた大統領としての生活に四苦八苦する善良な市民、というコメディタッチの日常パートが面白い。


 それと同時に、ただのしがない一般市民であったデーヴが大統領として国の現状を見て、心を動かされ「大統領を演じる男」から「国と国民を思う政治家」として成長していく過程も良くて、コメディ映画としてではなくサクセスストーリーとしても楽しめる一面もあるのが良い。

 大統領の後釜を狙う卑劣な大統領特別補佐官という悪役の存在や、彼が「本物の大統領でない」という立場もあり、戦うべき敵や危険な障害も立ちふさがり、これからどうなるか?という波乱の展開もちゃんとあるのも良い。


 その苦難をデーヴが乗り切っていく姿や、彼に協力していく人たちや心動かされ味方となっていく人たちも良いし、大統領夫人とのロマンスもあったりとドラマ部分も盛り込みや脚本の緩急の付け具合も中々良いのにも驚いたり。

 ベン・キングスレー演じる副大統領(これがまた良い人)という芯の通った政治家とデーヴがついに顔を合わせ、政治家になった理由を聞いた後の決意や、終盤の演説などもグッと来てしまう。


 ラストも凄く後味が良いし、「このままどうなってしまうんだろう」という終盤の不安を吹き飛ばす着地点へ向かうのも好きな所のひとつ。これから多分凄くいい結末が待ってるんだろうな、と予期させながら終わるラストや、締めのあの人の登場とか伏線回収も良く出来ていた。見た後の爽快感と満足感はハマる人にはかなりの物だろう。でもあのSPのおっちゃん、あのセーター着てほしかったよね。

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