クエスト4-7 星の降る夜

 






 イヤーズポート生活、7日目の昼下がり。





 大和田の動きに関しては、意外な形で落ち着きを見せた。





「2人の子分を引き連れた、軍服みたいな格好をしたならず者? あー、あいつなら衛兵に捕まったよ。今頃牢の中じゃないかな」

「ほぇ?」


 フィンと共に酒場でとある冒険者からその話を聞いて、思わず変な声が出た。



「そいつら、どっかの店で店員に暴行を起こして食い逃げをしようとしてたらしくてね、たまたま近くにいた衛兵に見つかって逃げてたんだ。そこを僕が魔法で足を引っ掛けてみたら、転んでしょっ引かれていったよ」

「そ、そうですか……」


 やつれ顔な赤髪の青年魔法使いは話し終えると、コーヒーのような飲み物を飲み干す。

 彼がコップを置いたテーブルには、小さな箒で掃除をするメイド服を着た妖精がいる。彼の使い魔だろうか?


 ……妖精がこっちを見て首を振る。考えを読まれたのか?






「エルノさーん!」

「おっと、呼ばれたので僕は行くよ。あいつは多分、南門近くの詰所にいると思うよ」



 そう言うと、魔法使いの青年とメイド妖精は去っていった。





「どうデス?」

「衛兵に捕まって牢屋の中だってさ……」

「おお! 悪は滅びた、デスね!」

「ひとまずは安心、といった感じでしょうか」

「ふーん……」


 トルカが若干不満気なのが気になるが、大和田に関してはフィンの言う通りひとまずは大丈夫だろう。

 願わくばそのまま大人しくしていてほしいが……




「……見に行く?」

「いや、いい。昼飯も済んでるし……とりあえず外に出るか」



 ……………………






 ………………



 酒場を出て街に繰り出してみると、どこもかしこも様々な飾り付けが行われており、まさにお祭り、といった雰囲気だ。

 華やかな衣装に身を包んだ人もいる。


 そういえば、今日が噂の降星祭の日だったな。



「もう始まってるのか?」

「いえ、始まりは夜からですね。今は最後の仕上げ……といった感じでしょうか」

「そうか。いずれにせよ、俺は初めてだから楽しみだ」



 そういえば、1年に1回、ってことは……ワーテル時代に1度見るチャンスがあった、ってことだよな?

 あの時は訓練に明け暮れていたとはいえ、ちょっと勿体ないことをしてしまったかもしれない。


 まあ、その分今日楽しめばいいか。



「フィン、あれ着る?」

「えっ? ああ、あれですか?えっと、そうですね。ちょっと待ってもらっていいですか?」

「? うん……」


 トルカとフィンが何やら話していると思ったら、フィンが唐突にトルカとは逆の方向を向いて何やらブツブツ呟いている。





「い、行きましょう!」

「うん」


 気合い入れだったようだ。




「俺達はここで待ってた方がいいか?」

「いえ、今から行く店の前で待っていてもらえませんか?」

「分かった」




 トルカとフィンについていくと、彼女達は洋服店に入っていった。


 あれかな、道行く人々みたいに着飾ったりするのだろうか。


 2人とも年頃の少女なわけだし、やっぱりそういう面もあるのだろう。

 2人ともベクトルは違えどすごく顔がいい。華やかな衣装に身を包めば、美しく可愛い姿を見せてくれるだろう。




 ……何か俺まで緊張してきた……





「シンヤー、ピスー」

「すみませんお待たせしました」


 しばらく待っていると、トルカとフィンが出てきた。




「シンヤー、ピスー、似合ってる?」

「ど、どうでしょうか……」



 トルカとフィンは、道行く人々のように華やかな衣装に身を包んでいた。






 一目見て、ドキッときた。




 目を奪われる、というのはこういうことなのだろう。




 トルカは沢山のリボンの付いた、明るい青色のエプロンドレスを身にまとい、花飾りの付いた赤いカチューシャが目を惹く。

 ドレスのスカート部分には星をイメージしたと思われる、白く輝く小さな飾りもまた可愛らしい。

 普段はマントや服、マフラーなどで隠れているそのスタイルは、細く無駄のない、スレンダーなものであった。


 普段の姿も可愛らしいが、このドレス姿は彼女の可愛さをより際立たせ、魅力的に見せている。




 フィンの方は夜空をイメージしたであろう、紺色のドレスだ。初めて出会った時のようなお嬢様結びに、これまた夜空のようなリボンを後頭部につけている。

 デザインはあまり飾り気のないシンプルなものだが、それが彼女のスタイルの良さを際立てている。スラリとした長身や、初めてあった時に見せたメリハリのついたプロポーションをより引き立てているが、どこか少女らしさを感じさせる。


 普段は重装備もあって凛々しくかっこいい、というイメージが先行しているが、このドレス姿は打って変わって、貴族の令嬢らしい気品と、1人の少女としての可愛らしさを引き出している。





 偉そうに長々と羅列してみたが、要約するとどっちもすごく似合っていて可愛い。



「トルカもフィンも……とても可愛くて、綺麗だ」



 頭の中で色々羅列しておきながら、実際に言えたのはその一言だけであった。



 かつての世界のSNS上で高クオリティの作品に対して極端に磨り減った語彙で良さを表現する人はよく見かけたが、その人達の気持ちが今なら分かる気がする。

 言葉に出来ないって……こういう事なのか……




「ほんと?」

「そ、そうですか……?」

「バッチリ決まっているのデス! お2人とも、とても麗しく様変わりしたのデス!」



 トルカは嬉しそうに反応し、フィンは顔を赤くして視線を逸らす。

 反応も大変可愛い。




「シンヤも、着よう?」

「今から間に合うのか? 間に合うなら構わないが……」

「間に合うと思いますよ。折角の機会ですし、どうでしょう?」

「あ、ボクも着たいデス!」

「じゃあ、着てみようかな……」




 ……………………






 ………………



「どうだろうか……」



 俺が袖を通したのは、夜空の意匠を感じるタキシードっぽい服。執事服のような雰囲気も併せ持つ。



「かっこいい!」

「素敵ですよ、シンヤさん」

「あ……ありがとう」



 ポーランド辺りの民族衣装に似た服もあったが、こっちの方がスーツっぽくて馴染みがあったのと、ファッションデザイナーっぽい格好の洞窟の民の女性店員にやたらこっちをプッシュされたので、こっちにした。



「ビシッと決まっていますデスね!」

「ピスもよく似合ってるぞ」



 その民族衣装っぽい服はピスが着ている。色は赤を基調としている。

 元々着ている服が少し派手なので、俺達3人ほどガラリとは変わっていないが、色を変えただけでも結構印象は変わるものだ。



「日も暮れてきましたし、そろそろですね。広場の方に行ってみます?」

「そうするか」

「思いっきり楽しみますデスよー!」

「トルカもー!」



 2人はそう言うと、広場の方へ駆け出していった。



「おい、走ったら危ないぞ! ったく……」

「ふふ、元気いっぱいですね」

「俺達も行こうか、フィン」




 フィンと一緒に、先走る2人を追いかける。









 ……………………






 ………………







 夜。





 町を彩る飾りはライトアップされ、より幻想的な雰囲気を醸し出している。

 これは……魔法によるものだろうか?



 広場では神父による開会式……ではないが、演説のようなものによって祭りが始まりを告げる。


 件の流星群まではもう少し時間があるようで、贈り物を渡すのもその後らしい。


 取り敢えずピスから贈り物一式は受け取っておいた。





 俺達はというと、喉が渇いたトルカに付き添い、広場の外れの露店で飲み物を買っていた。



 トルカが水分補給を終えて広場に戻ると、周囲の人々がざわつき、こぞって空を見上げている。



「そろそろですね……」

「流星群か?」

「はい。ほら、蒼月と翠月の輝きが増しているでしょう?」


 空を見上げると、確かに空に浮かぶ2つの月の輝きがいつもより増している。

 なんとなくスーパームーンを思い出させる光景だ。



「本当だ。いつもより輝いている……」

「これは、流星群の前触れなんです。この現象が始まれば、流星群はもうすぐですよ」

「それで皆ざわついていたのか……」




 正直これだけでも十分神秘的な光景なのだが、これが前座みたいな扱いだからすごい。




 観衆と同じように、空をじっと見守る。





「あっ!」





 1つの流れ星が見えたのを皮切りに、次々と流星が降り注ぐ。




「さあ、星降りの夜が始まりました。捧げましょう! 感謝の祈りを! 祝いましょう! 善きこの日を!」




 神父の言葉が終わると共に、周囲から歓声があがる。



 広場の中心では聖歌隊が歌を歌い、沢山の人々がそれに聴き入っている。



「シンヤ! 来て!」

「おわ、どうした急に!?」


 トルカがいきなり俺の手を引く。


「一緒に、お店、行こう!」

「いいけど……皆はどうする?」

「先に買ってきてしまったのデス……」

「すみません、聖歌隊の歌を聴きたくて……それが終わったら、ご一緒させていただきます」

「トルカ、どうする?」

「じゃあ、待つ……」



 俺達は、聖歌隊の歌に聴き入った。


 歌っている曲がどんなものかは分からないが、まるで透き通るような綺麗な歌声は聴いていて心地いい。


 フィンもピスも聴き入っている。

 トルカは……少し眠そうにしていた。




 ……………………




 ………………



「早く早くー!」



 聖歌隊の歌が終わった後、トルカが先を行く形で、皆で露店の立ち並ぶ通りを歩く。


「トルカ、サンドラールでの約束だ、好きなだけ食っていいぞ。代金は俺が持つ」

「やったー!」

「喜ぶのはいいが、あまり走るなよ」


 テンションの上がるトルカを宥めつつ、露店を見て回る。



 にしても、平時に比べて露店が増えているのを見ると、小学校の盆踊りで校庭に様々な屋台が並んだのを思い出す。



「それ、ください!」

「はいよー」


 トルカは甘い食べ物を買っては、それを口に運ぶ。



「甘くて、美味しい……」



 美味しそうに甘味を食べるトルカの姿は、立ち塞がる敵を魔法でなぎ倒す魔法使いではなく、年相応の幼い少女そのものだった。



「フィン、これ美味しいよ」

「そうなのですか? では、私もお1つ買ってみましょう。すみません、私にも同じものを……」

「まいどー」

「ありがとうございます。では、いただきます……あっ、美味しいですね!」

「でしょー!」



 トルカと仲良く甘味を食べるフィンの姿もまた、貴族や騎士といった身分や役割から解放され、1人の少女として純粋に楽しんでいるように見えた。



 ……それは結構だが、手持ち無沙汰で口が寂しいから何か欲しいな。

 でも甘いものって気分じゃないしなぁ……




「シンヤ様ー!」


 声の方に振り向くと、何やら棒状のものを4本くらい持ったピスの姿が目に入る。



「シンヤ様が好きそうなものを見つけたので、買ってきたのデス!」

「俺の好きそうなもの?」

「ミザン稲を使った食べ物だそうデス!」

「米……いや。ミザン稲か」


 よく見ると、ピスの持っているそれは、きりたんぽのような、米を串に付けて焼いたものだった。


 漂ってくる匂いだけで既に美味そう。


 ピスから1本貰って食べてみると、味付けはきりたんぽというより焼きおにぎりに近い印象のものだった。

 少し不意を突かれた気分だが、美味しいので問題は無い。むしろいくらでも食える。



「美味ぇ!」

「気にっていただけて何よりデス! まだまだありますデスよ!」

「何でそんなに買ってるんだよ! もう1本くれ!」

「がってんデス!」




 やっぱり米は美味い。次の大陸でも食えたらすっげぇ嬉しいが、はてさて……



 ……………………





 ………………



 一通り巡り終え、広場へ戻ってきた。


「美味しかった……」

「デスねぇ……」



 ご満悦な表情を浮かべるトルカとピス。


「満喫したか?」

「うん……」

「僕もデス……」



 話していると、広場に人が集まってきた。


「おや? 何か始まるのデスか?」

「確か、演劇をやると言っていましたね」

「おお、それは楽しみデス!」

「トルカも、観たい!」

「では、一緒に行きましょう! というわけでシンヤ様、シアルフィア様、行って参りますデス!」

「あ、うん」



 言うが早いか、ピスはトルカを肩車して早急に行ってしまった。


「「……」」


 取り残されたフィンと、珍妙な顔で見つめ合う。



「……どうする?」

「あの、えっと……その、もう少しだけ一緒に露店に行きませんか? 実は……食べ足りなくて……」


 フィンは恥ずかしそうにもじもじしながら言う。

 トルカに意識が行きがちだったが、そういえばフィンはそんなに食べてなかった気がする。

 この体躯に見合った食事量とはちょっと言い難いし、食べ足りないのも納得だ。

 正直俺ももう少し食べたかったりする。


「じゃあ、行こうか。ピスに伝えてくるから、ちょっと待っててくれ」

「は、はい」



 演劇の開始を待つピスにその旨を伝えて戻ってくる。



「じゃあ、行こうか」

「あ、はい」



 フィンと一緒に、再び露店の立ち並ぶ通りへと歩く。







 ……………………





 ………………




「すみません、付き合わせてしまって……」

「気にするな、俺もちょっと物足りないと思ってたし」

「ふふ、シンヤさんも結構大食らいですね」

「いや、そういうわけでは……」

「冒険者は身体が資本です。たくさん食べるくらいがちょうどいいと思いますよ」

「そうかな……」



 フィンと一緒に露店を見て回り、食べ歩く。


 フィンは結構じっくり選んで決める傾向があるようだ。



「降星祭は何度も経験しましたが……こうやって好きなように巡って楽しんだのは、久しぶりですね」

「前はどうしてたんだ?」

「昔は屋敷から眺めるだけでしたね。騎士学校に通ってからは、町の警備をやっていたり、演武を行ったり、交代要員として詰所で待機していたり……そういったこともまた訓練だったのです」

「それは大変だったな……」

「確かに大変でしたけど、必要なことでしたから」

「そうか……とにかく、今日は楽しもう」

「はい」



 2人で露店を巡り、様々なものを買っては食べる。

 その食べっぷりは、見ているこっちも気持ちがいいものであった。


 そしてこの構図がデートであると気付いて悶絶したのは、降星祭から数日経った後であった。






 ……………………





 ………………




 露店巡りを終えて戻ってくると、演劇は終わって別のプログラムが始まっていた。

 何やら冒険者同士がタイマンで決闘を繰り広げている。


 トルカとピスは……いたいた。広場の隅の方だ。


「あ、シンヤ様にシアルフィア様! おかえりなさいデス!」

「ただいま。演劇は面白かったか?」

「はい! とても面白かったデス!」

「どんな内容だったんだ?」

「あいの、とーひこー!」

「愛の逃避行……ですか?」


 そう尋ねるフィンに、ピスが突然咳払いを始める。

 直後、



「『申し訳ありません、ルナリア姫様。どうやら我々の旅もここまでのようです。私に構わず、どうかお逃げください』『できません! アルファス王子、愛しい貴方を忘れて生きるなど、私には出来ません!』」


 一人芝居をおっぱじめる。

 異様に決まっている声と演技、何より迫真の顔真似に、思わず吹きそうになった。


「すごーい! そっくりー!」

「んんっ……んふ……っ」


 目を輝かせるトルカに対し、笑いを堪えているのか、口を抑えて顔を背け、震えるフィン。


「つっかえるやつ、やってー!」

「がってんデス!『見つけたぜぇ太陽の国の王子様よぉ! ここを通りたきゃあこの柱槍のガドン様を倒しあ゛ーっ! 待って槍が、槍がつっかえ、つっかえた! お願い許して! 通しますから許してください!』」


 整った顔を一欠片の遠慮もなく崩した迫真の顔芸とモノマネにトルカは大爆笑し、フィンも堪えきれず吹き出す。

 俺も我慢出来ずに吹き出してしまった。



「んふっ、どんな演劇だったんだよ」

「『愛の逃避行もおしまいだぜぇ!』」

「ふふっ、待ってくれ、その口調で話すのやめてくれ、腹筋に悪いから、んふふっ、ふふっ」



 この後も迫真の演技は続き、俺達の腹筋に大打撃を与えた。

 思えば、こんなに笑ったのは久し振りかもしれない。




 ……………………





 ………………



 盛大に笑い合った後は、それぞれのプレゼントを贈り合った。



「じゃあ、まずは俺からだ。トルカ、フィン、ピス。ここまで来れたのは、皆のおかげだ。本当にありがとう」


 そう言って、皆に贈り物の入った箱を手渡す。


「シンヤ、ありがとう!」

「ありがとうございます、シンヤさん」

「感謝感激デス、シンヤ様!」

「へへ、どういたしまして」


 なんか……ちょっと照れ臭いな。


「次、トルカ! トルカ、お菓子、買ってきた! 美味しいよ!」


 トルカは上機嫌でそう言って、お菓子の入った青い袋を俺達に手渡す。お菓子とは彼女らしいチョイスだ。

 手のひらサイズのその袋は可愛らしくラッピングされている。



「ありがとう、トルカ」

「ありがとうございます、トルカちゃん」

「どんなお菓子か……ボク、ワクワクするのデス!」

「えへへ……みんな、これからも、よろしくね」


 トルカは照れ臭そうに笑った。



「次は私ですね。好みや需要に合わせて選んだつもりですが……気に入らなかったら、捨ててしまっても構いませんので……」


 フィンはそう言いつつ、やや遠慮がちに箱を手渡す。

 これは……何だろう?


「大事にするさ、フィン。ありがとう」

「フィン、ありがとう!」

「シアルフィア様からの贈り物、ボクは捨てたりしないデスよ!」

「ありがとうございます。不束者ですが、これからもよろしくお願いしますね」


 フィンはふわりと笑ってみせた。




「最後はボクデスね! 皆様の需要に合わせた品々を用意したのデス!」


 ピスはそう言って、贈り物の入った箱を手渡していく。


「ありがとう、ピス」

「ピス、ありがとう!」

「ありがとうございます、ピスさん」

「えへへ……戦闘ではお役に立てないデスが、ボクなりに頑張りますので、これからもよろしくお願いしますデス!」



 贈り物の交換を終え、ふと広場の方に目を向けると、中央で演奏家が音楽を奏で、周りの人々がペアになり、音楽に合わせて踊っている。

 男女で踊るもの……ってわけでもないらしいな。同性のペアが結構いる。



「ダンスか……」

「シンヤ、踊りたい!」

「構わないが……俺は初心者だぞ?」

「踊りたい!」

「じゃあ、行こう」




 トルカの手を引き、見様見真似でダンスを踊る。


 俺もトルカも上手いわけではなかっただろうが、トルカが楽しそうに笑っているところを見ると、俺も楽しくなってくる。



 ふとフィンとピスの方を見ると、2人もペアになって踊っていた。

 しかも2人ともすげぇ上手い。




「楽しいね、シンヤ!」

「ああ、そうだな」

「トルカ、こんなに楽しいの、初めて!」



 思えば、トルカがこうして屈託の無い笑顔を見せたのはこの日が初めてかもしれない。


 仲間になりたての頃からは想像できない光景だ。






 星の降る夜。



 夜空を彩る流星の下、俺達は勇者ではなく、ただの少年少女として、降星祭を楽しんだのであった。

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