繧イ繝シ繝?繧ェ繝シ繝舌? 蜃。謇阪→螟ゥ謇
真っ暗。
また、ここか。
人の気配は無い。
歩こうとした時、地面に明かりが点々と灯る。
まるで映画館のようだ。
あれ、映画館って何だっけ?
映画館は映画観るところか。
何言ってんだろ俺。
今度こそ、死んでしまったのだろうか。
トルカとフィンとピスはどうなったんだ?
今更知る術は……無いか。
妙に自分の身体が重く感じるので、自分の格好を見てみると、強化黒コートではなく中学校の時の制服になっていた。
くそっ、またこれかよ。
照らされた道を歩いていると、何かがポスターのようにして収められている。
2組の男女。
両方とも、赤ん坊を抱いている。
……あれ、これどっかで見たような……どこでだ?
考えても仕方ない、進もう。
…………
………………
歩くと、またポスターがあった。
小学校の入学式。
笑顔の女の子と、何故か敬礼している男の子。
学校名は美多原小学校……あれ、これ俺の母校じゃん。
ってことは……まさか……
…………
………………
また写真がある。
笑顔の警察官と、真顔で敬礼する子供。
これは……小学校2年生の時の俺と親父の写真だ。
親父は正義感に溢れる人物だった。
どんな時でも困っている人がいたら手を差し伸べていた。
子供を探す親がいれば一緒に探し、不良に絡まれる学生がいれば割って入り、電車でお年寄りや妊婦がいれば真っ先に席を譲った。
親父の事は尊敬していた。
時折お袋や俺、妹の優佳を放ったらかしにするのは子供心にもどうかとは思ったが、俺も進んで人助けが出来る人間になろうと思った。
なれているかは……分からない。
…………
………………
まただ。
今度は何だ……?
全国統一小学生テストだかなんだかの結果だ。
俺のものと、相澤のものがある。
俺は全教科大体60〜80点止まり。
相澤は全部100点。
今更見せつけやがって、何のつもりだ。
……俺は昔から劣等生だった。
何をやっても相澤に勝てない。
勉強も、スポーツも、ゲームも。
…………
………………
またポスターがある。
今度は運動会の写真だ。
100m走で1位を取った相澤と、3位だった俺の写真。
運動会前、毎日3時間は練習して、それでも駄目で、泣いた記憶がある。
親や先生はよく頑張った、と言ってくれたが、何の慰めにもならなかった。
一度でいいから相澤に勝ちたかった。
神童と評され、あらゆる人から一目置かれる相澤を打ち負かして、俺も注目を浴びたかった。
努力した。
たくさんした。
何度も挑んだ。
何度も何度も挑んだ。
でも駄目だった。
だけど、この時は何だかんだで楽しかった記憶がある。
自分の実力が上がっていくのは嬉しかったし、相澤も自慢こそすれどそこに攻撃性は無かったからだ。
いわゆる余計な一言が無かった、とでも言うべきか?
…………
………………
再び歩けば、やはり当然のようにポスターがある。
今度は中学の時の写真だ。
俺と相澤の家は隣同士で、家族ぐるみで付き合いがあった。
だからああして一緒に写真を撮られることが多かった。
昔から相澤の事は好きじゃなかった。
自分の所業をいちいち自慢するところもそうだが、俺が必死に頑張って出来るようになったことを、相澤はたった1回で必ず超えるからだ。
自らを全否定されるようだった。
中学に入り、ある時期を過ぎてからは、それは明確な「嫌い」へと変貌していった。
表向きこそ昔と変わらなかったが、その素性はどんどん邪悪になっていった。
俺にも他人にも余計な一言が増え、やがてそれは明確な悪口になり、その悪意は行動へと変化していった。
気に入らない他人を潰すようになった。
相澤に挑みかかったのは、それを打ち砕き、正義のヒーローを気取るためだったのかもしれない。
…………
………………
先へ進む。
次はポスターではなく、トロフィー。
俺のものではなく、相澤のもの……というより、バスケ部のものだ。
中学生になった俺は美術部へ行き、相澤はバスケ部へ行った。
中学1年の時の俺は、特段これといった趣味の無かった人間だった。
強いて言うなら、自然を見るのが好きだったかもしれない。
部活動では、無心に空を描いたり、野草をスケッチしたりしていた。
人には多かれ少なかれ、才能があると思っている。
誰にも教えられない状態、あるいは誰かから一回やり方を聞いただけで、その物事をこなせる能力。
対戦ゲームで取扱説明書を読まず、チュートリアルも受けず、操作方法だけ教えられて、それでどこまで戦えるか、と言ってみると分かりやすいだろうか。
才能とは言ってみたが、要領の良さとも言い換えられるかもしれない。
俺はそういうものにことごとく恵まれなかった。
何をやっても最初はド下手クソだった。
初見でやるスポーツが運動音痴より下手だった事もある。
そこから努力して、何とか人並みに持っていくのが常だった。
相澤に勝とうと思って更に努力を重ねた時には、常人を追い抜く事はしばしばあった。
相澤に勝てた事は、ただの一度も無かった。
一方の相澤は、どんな事でも一度聞いたら覚えて、完璧にこなす。
勉強時間は俺の50分の1……いや、そもそも課題提出以外で勉強してたかどうかすら怪しい。
にも関わらず成績は俺より優れていたし、バスケ部でも同学年はおろか先輩すらあっという間に追い抜いて、1年の前半のうちからスタメンとやらになったらしい。
あのトロフィーも、相澤が取ったようなものと言われていたそうだ。
まあ、この辺は伝聞だからよく知らない。
相澤の活躍なんか耳に入れたくないが、あいつの活躍はどこにいても耳に入る。
逃げ場は、無かった。
…………
………………
どこまでも続く道を歩いていると、扉が見えてくる。
扉を開けて進むと、緩い坂道の先に巨大なスクリーンと沢山の座席。
映画館だ。
周囲は上映開始直前のように暗い。
何となく適当な座席に座ってみると、スクリーンに砂嵐が映る。
無駄に大迫力のノイズを聴かされる。
「……!……!」
「…………!」
「………………!」
ノイズに混じって、誰かの声が聞こえる。
何を喋っているかは分からないが、その声が誰だかは分かる。
覚えていないはずなどない。
俺を助け、導いてくれた、皆の……
皆の、声……!!
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