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 玉座の間。




「やれやれ……ヒトガタどもめ、前より数段封印を厄介にしおって…… 本調子になるまでに随分と時間を食った……」




 燭台の炎揺らめく薄暗いその場所で、禍々しくも豪華な服に身を包み、頭から角を生やした男が、首を回しながら玉座に座る。




「お疲れ様です。万事、準備は整っております。いつでもご命令を」



 スーツを着た、悪魔の姿をした女が現れ、男のそばに立つ。



「そうさなぁ……まずは情勢を知らせよ。情報の把握は戦の基本だ」

「かしこまりました。少々お待ちを」



 女は水晶玉を取り出し、そこから光を放つ。

 光はプロジェクターのように映像を映し出す。



「クカカ……!久々に復活してみれば、かような事になっていようとは!これだから世界は面白い!」


 男は手に持ったグラスを揺らしながら高らかに笑う。



「しかし不思議な話よのう、才ある者は怠惰に遊び呆け、才なき者は勤勉に使命を全うせんとする。ヒトガタとは実に不思議なものよ」



 男はグラスを口に運び、中の液体を飲み干す。





「いかがなさいますか?」

「泳がせておけ。じきに面白いことが始まる」



 男は不敵に笑いながら続けた。



「だが、奴だけは先んじて手を打っておくとするか。この分だと次はサンドラールだろう。四天王よ!」



 男が指を鳴らすと、現れるのは4つの影。



 その1人である重厚な甲冑に身を包んだ騎士が、男の前で片膝をつく。



「我らをお呼びですかな、アシュバルグ様」

「サンドラールに行って奴の相手をしてやれ。今回は様子見だ、軽く遊んでやる程度で構わん。誰が行くかはお前達で決めるといい」



「はっ」



「俺様が行く!アシュバルグ様、このワールヴェントにお任せください!」

「よかろう、では任せたぞ」

「はっ!」



 ワールヴェントと名乗る巨大な体躯の怪物は、竜巻を纏って消える。





「あいつ勝手に行っちゃったよ、まあボクは元々行く気無かったからいいけどさ」

 私も興味はありませんでしたが……ワールヴェントの身勝手さも考えものですわ」

「私語を慎め、アシュバルグ様の御前であるぞ!」

「やべ、石頭が怒った。逃ーげよ」

「あら、怖いこと怖いこと。私もお暇いたしますわ」


 仮面を付けた奇術師は水を、キセルを持った赤い服の令嬢は火を纏って消える。



「あいつら……!申し訳ありません、アシュバルグ様……」

「よい、バルトソル。お前も下がるとよい」

「はっ」





 重装甲の騎士は土煙を纏って消える。






「それにしても此度の勇者、よく見れば加護も無し、再構築も中途半端……これではまるで出来損ないではないか。一山いくらの冒険者にも届かぬその能力でどこまで食らいつけるか、見ものだな……ククククク……お前もそう思わないか? ファフニールよ」


「…………」



ファフニールと呼ばれた、フードを被った魔法使いはただ、沈黙を守っていた。

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