もしもいれるならば

(20.8.3 2018年の下書きを投稿)

人生は永遠に比べれば一日の長さすらない

めぐる歳は

もはや帰る望みなしにわれらの日々を追いたてる、

生れたものはみな滅びる、そうとすれば、

とらわれの魂よ、お前は何を夢みる?

なぜわれわれの暗い日がお前の気に入る?

もし、さらに一段と明るいところへ飛ぶために、

お前が羽が十分についた翼を背に持っているのならば?


あすこには皆が望む善がある、

あすこには誰もが憧れる憩いがある、

あすこには愛が、喜びがある。


あすこには、おゞわたしの魂よ、至上天へ導かれて、

お前はあすこにこの世でわたしがあこがれる

美のイデアを目にすることが出来るだろう。


–デュ・ベレー



振り返れば実らない想いが募った一年だった。

これほどにも、自分でさえ抱えきれない想いで飽和し、

息絶え絶えと寄りかかれるなにかを探し、放浪した経験は、無かった。

必死だった。なにかしらに託さなければ、想いを分霊しなければ、

永遠にこの意識に帰って来ることが出来なくなってしまいそうであった。

そうして、わたしは言葉に託した。

生命-息吹を。言葉は、呼吸器のようなものとなった。


感情が無となった時、もしくは感情が限界値をむかえた時、

生命は止まる。心臓など、あってないようなものだ。

能楽では、実らなかった様々な想いは、今世を閉じた後でさえ、現世をも上回る大きなエネルギーとなり、地上界をも揺り動かすものとして描かれる。



前書きが長くなってしまったが、今ここに文が書かれているのは、

またここに託さなければならなくなったということだ。






一月、会う日を決めた。

もうすでに、相手にも同量の

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