徒然なるままに

沈殿する鯛

美味しい1日

(2018年10月28日執筆 転載)


親友がいる 高校時代の同級生 物腰が柔らかくチャーミングで才色兼備の人格者 知性を感じる声質も好きだ 卒業をしてから親交がより深まっていると感じる、稀有な存在だ


今日は題名そのままの一日だった。

1ヶ月前、モンブランの食べ比べ会をしようと設定し、改めて前日に相談して4種類賞味することに決定(韻 oh yeah)

其々買ってきたモンブランを片手に、もう一種類の「和栗や」のモンブランを求め合流、日暮里 初上陸。

初めは風通しの良い懐かしい響きのする和やかな街だと思って歩いていたものの、ある角を曲がった瞬間 活気のある下町の商店街が広がっていた

日暮里の谷中商店街 である。

揚げたてであろうお肉屋さんやお惣菜屋さんの惣菜が立ち並び、かと思えばデザイナーのこだわりを感じさせる質の高い瀟洒な洋服店だったり、下町の酒屋さんや八百屋さんだったり

其々が個性的な魅力を持ち合わせていて、翻弄されながらも目的地に着いたと思えばイートインでしかたべれない事が発覚。

粘って食べたいものだったが、私の左手には1時間以内の消費期限(お店のこだわり)を言い渡されたモンブランがあったので、けろっと計画変更。


和栗やでは、栗のソフトクリームを。

ただ、それだけではこの街から引き上げられない。余命僅かのケーキを一応気にかけつつ、コロッケ食べ比べを即決。

全部で3店舗。

一つ目はお肉屋さんのコロッケ。

ごろっとした じゃがいもらしいどこか朴訥とした存在感、それをしっかりと支える厚めでざくざくとした信頼感のある衣、そしてじゃがいも本来の素朴で滋味広がる味。

「THE 昔ながらのコロッケ。」

「。」も欠かせない。異議は受け付けません。これがコロッケです。何者の意見も寄せ付けない頑固ささえ感じる。それは作り手のおばちゃんだかおじちゃんだかが、誰よりもお肉屋さんにおけるコロッケ、という、実は隠れ主役の立場であるポジションの責任の重さを理解していて、且つ、コロッケを大変に愛している、誰よりも真摯にコロッケを想う姿勢ゆえだと思う。

おやつのコロッケ ではなくて、体当たりで勝負してくる真っ直ぐなコロッケを食べたい人類にとって、ありそうでないこの完成形。揺るぎない信頼を寄せられるコロッケだった。

いつまでもあってほしいと願う。

一個100円。


二つ目はお惣菜屋さんだったのかな

これが先ほどとは打って変わって、

じゃがいもが限りなくジューシー。

ジュゥシィー……(残響)

という感じ。なんだこれ…美味しい…。

まず、先ほどのコロッケとは使用しているじゃがいもの種類が違う。

少し甘みがかった、味。軽やかな薄めの衣。

主役は生クリームの様なまろやかさが売りのジュゥシィなじゃがいもなので。私たちは影薄くていいのよ。みたいな。ちょっとツンッとした衣の声が聞こえる。でも主役のコロッケを誰よりも愛している気持ちも伝わってくる、さりげなく主役を包み溶け込んでいる ナイスガイなスリムな衣。

ショートショートが出来上がっちゃった。でも本当に、浪漫を感じたんだよね。衣とじゃがいもの間に。

売り手のおばさんめちゃくちゃドライ。

新しいコロッケでした。光GENJIとか少年隊とか、昭和に生きるコロッケではない。これは平成の終わりを感じさせる。2人で感動してました。

「ちょっと小粋な 平成コロッケッ 」

一個110円。


三つ目。下町のお惣菜屋さん。ああ、安心する。お惣菜がむき出しの状態で敷き詰められ積まれズラーーーッと並べられてる。あー。手を伸ばして食べたくなる。焼き鳥。焼きおにぎり。カニクリームコロッケ。焼きナス。そこに、野菜コロッケ。

…コロッケありますか…?

…うちのは野菜コロッケよ

アッ ここのは野菜コロッケらしいです。1個34円…?!元祖・お惣菜屋さんですね。嬉しい会えて嬉しいです光栄です!!!ていう心の声、聞こえてましたかね。嬉しかった。下町のお惣菜屋さんと言ったら、こういうこと。

野菜コロッケを一つ。

アッ…焼きおにぎり…

もうこの惣菜の饗宴を目にしてしまったら理性のコントロールなんてできないんですね。

というか、理性を持ち出す方が失礼。食欲に委ねて指差して"お願いします"と言うのがマナーでしょ。ここでは。

ということで焼きおにぎりも購入。

ヘヘッ。もう誰にも邪魔させないぜ食べ歩き天国。

野菜コロッケですが、予想を上回って野菜でした。なんか素朴なポテサラ食べてる感じ。きゅうりとコーンと人参の風味が豊かに広がってた。優しい。お惣菜屋さんの母ちゃん…母ちゃんの愛を感じる…仕事帰り 疲弊しきった自分に、この野菜コロッケを与えてリセットして差し上げたい。大丈夫。あたしがいるよ。この街はあんたをいつだって迎え入れるよ。ありがとう母ちゃん…俺また…頑張るわ…

愛のストーリーを感じました。

1個34円。ちょっと4円気になっちゃう。実はきちんと刻んでるの、愛おしいな。


…とまあ、三者三様とはこういうこと。

各々にハートを掴まれました。

美味しかったー。2人で一つの食べ方も美味しかったんだろうな。顔緩ませながら美味しいねぇぇぇと2人で共有し合うのが、何よりも美味しいよねえ。

またリベンジしようという話になりました。今年の忘年会は谷中で決定だな。


駅に向かう途中、つくだ煮専門店とかあった。下町ディープだワン…でも温もりのある街だった。また来るニャン。そう、猫のモチーフ多かったの。ニャン。


さて本題。実は池袋で、東京一と騒がれるアンジェリーナのモンブランを引き取って帰るつもりだったんだけど、コロッケで満たされてしまったので()、今回は2つにしようという話になりました。


やっとこさ、拙宅にてモンブラン食べ比べ会。

…コロッケへのレビューで体力使いすぎた。モンブランの比較書けない。疲れた。

とりあえず結論としては、

1位 小布施堂 朱雀

2位 アマンド

3位 パティスリーサダハル

ですね。私はラムとか生クリームに寄りかかったモンブランよりも、栗本来の魅力を感じるモンブランが好き。でも、その範疇でアイデアのセンスの良さを感じる作品も評価したい。のでこの順番かな。

…アテスウェイとアンジェリーナは試していないので、まあまだまだこの順位は入れ替わる可能性大ですね。食べ比べ楽しかったです。


さて、モンブラン食べ比べ会に谷中銀座食べ歩きオプションが加わったわけですが…実はこれには続きがありました…そう…おでん…


おでんを食べたいと思っていたら母が作ってくれたんですね。

谷中で下町居酒屋の「おでん」メニューを目にしてから2人で騒いでいたので、タイムリーヒット。気持ちの高揚が止むところを知らない。

山形の名酒 上喜元を嗜みながら、おでんを頂きました。

ポテトフライとサラダも作ってくれたので、奇天烈な組み合わせでしたが美味しい食卓だった。


つまりこういう話だったんですね。「美味しい一日」は。




まあ心満たされる夜だった。

久しぶりにゆっくり彼女と話せた。

AIの話から、人間の意識はどこなのかね。脳内筒状の中にある光なのかね。ロボットはどうしたら生き物になれる?

AIを開発することは、同時に人間を考察することでもある。人間を人間が説明できない限りは、AIは生き物にはなれない。人間にはなれない。なってはいけないものだけどね。

いつか人間が担っていることを全てAIがこなせる時代になった時、人間がSF小説で何を描くのか。神とは何か、宇宙人とは。

行き過ぎてはいけないけれども、見てみたい好奇心も無くはない。道徳という時代によって変化し得るものさしの中で、技術を必要としているところに補給され支える時代を、見てみたい気は、する。

魔法のようだね突き詰めていくと

生とは面白いね。なんてことも話した。


あとは、彼女と話すとこんがらがった回路がリセットされるので必要不可欠。

できることをすれば良いんだよ。

あなたはあなたのままで良いんだよ。大丈夫だよ。もっと自信を持って。

シンプル。いつでも戻ってこれる場所のような存在でもある。有り難い。


良い夜でした。ご馳走様。

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